県内企業の業況感は製造業を中心に改善(2021年上期 新潟県企業動向調査)

新潟経済社会リサーチセンターの近です。

当センターでは 県内景気の現状と先行きを探るため、県内企業1,000社に対して年2回、アンケート調査を実施しています。 今回は、5月に行なったアンケート調査 (2021年上期企業動向調査) 結果の一部をご紹介いたします。

 

調査 計算 イメージ

業況感は改善し、19年7-9月期の水準まで回復

県内企業の業況判断BSI(「『良い』と答えた企業の割合」-「『悪い』と答えた企業の割合」)は 、2021年1−3月期に ▲18.4と、20年10−12月期の▲37.8から19.4ポイント上昇しました(図表1)。 3四半期連続の改善となり、 19年7−9月期(▲10.4)以来の水準まで回復しました。世界経済が回復するなか、中国を中心とした海外からの受注が増加したほか、新型ウイルスの感染予防に伴って外出が控えられたことによって、家庭用品などのオンラインが好調に推移したことなどが要因とみられます。

続く21年4−6月期(含む実績見込み) は▲22.0と、同1−3月期と比べて3.6ポイント低下しました。海外からの受注は回復が続いている一方で、県内で感染者数が増加したことや東京・大阪などの一部地域で緊急事態宣言が発出されたことから経済活動が停滞し、4四半期ぶりの低下となりました。

先行きを示す見通しBSIは21年7−9月期が▲27.0、続く同10−12月期は▲26.4と、同4−6月期の実績見込みに比べて低下しており、慎重な見通しが示されています。

 

業況判断BSI

21年度の設備投資計画は前年度並みとなる見通し

21年度の設備投資額(含む計画)は、20年度実績比0.7%増となり、前年度並みで推移する見込みです(図表6)。

業種別にみると、製造業は同11.5%増となっています。食料品やその他製造などは減少しているのに対して、精密機械や金属製品などが大きく増加しています。一方、非製造業は同12.4%減となりました。建設と小売は増加していますが、運輸やサービス他などが大幅に減少しています。

設備投資額

経営上の問題点では「仕入価格の上昇」「人材不足」などが上昇

経営上の問題点を尋ねたところ(複数回答)、「生産・受注・売上の不振」(52.7%)と「人材不足」(52.4%)の回答割合が特に高くなりました(図表5)。以下「先行き見通し難」(48.1%)、「仕入価格の上昇」(32.6%)などが続いています。

20年下期調査と比べると、「人材不足」「仕入価格の上昇」などの割合が上昇した一方、「先行き見通し難」「生産・受注・売上の不振」などの割合が低下しています。

経営上の問題点

まとめ

アンケートの調査結果を振り返ると、21年1−3月期の業況判断BSIは大幅に上昇しており、県内企業の業況感の改善が示されました。世界経済の復調を背景とした海外向けの生産の増加などから、特に製造業が大きく改善しています。一方、企業活動や個人の行動に制約が課されているため、飲食や観光などのサービス業は依然として厳しい状況が続いており、回復の速度や程度をみると、業種間での違いが鮮明となっています。

先行きについては、新型ウイルスによる影響の長期化に加えて、「経営上の問題点」では「仕入価格の上昇」が20年下期調査と比べて上昇するなど、原材料の価格高騰や調達困難な状況が一部で広がっていることなどから、慎重な見通しとなっています。

ワクチン接種の普及が進んでいるものの、足元で感染者数が増加していることもあり、当面は経済活動の制約が続くとみられます。したがって、県内経済の持ち直しは緩やかなものとなると思われます。