統計で確認!パンの消費量~神戸市、京都市が全国上位~

新潟経済社会リサーチセンターの江口知章です。

今月の4月12日は、「パンの記念日」なのだそうです。そこで、本日はパンの生産動向と消費動向をご紹介したいと思います。

 

パン 消費動向

「パンの記念日」の由来

まずは、「パンの記念日」の由来をおさえておきましょう。パン食普及協議会のWebsiteによると、以下のように説明されています。

日本人ではじめて本格的にパン製造を行ったのは、伊豆韮山の代官であり、軍学者でもあった江川太郎左衛門です。

江川太郎左衛門の師に当たる高島秋帆の従者に、長崎のオランダ屋敷に料理方として勤め、製パン技術を覚えた作太郎という人がいました。そこで、作太郎を伊豆韮山の江川太郎左衛門宅に呼び寄せ、パン焼き窯を作り、1842年4月12日、記念すべき「兵糧パン」第1号が焼き上げられました。

この兵糧パンはまあまあの評判を得て、その後、大規模な製パン所で、大量のパンが作られるようになったのです。また、水戸や薩摩でも、同じようなパンが作られるようになりました。

4月12日が、いわば日本のパン発祥の日であることから「パンの記念日」とし、そして毎月12日を「パンの日」として全国のパン屋さんがより一層のサービスに努めることを、パン食普及協議会が1982年に定めました。



パン食普及協議会 「パンの日」
https://www.panstory.jp/panday/panday.html  (2020年3月16日アクセス)

以上の説明によると、日本でパンが作られるようになってから、約180年が経過しているということになります。

パンの生産動向

パンの生産動向について確認してみましょう。

まずは、農林水産省『食品産業動態調査』をみると、長期的には食パン、菓子パンとも概ね横ばいで推移しています。ただし、近年は食パンが4年連続でわずかに前年を下回る一方、菓子パンはやや上昇傾向にあります。

以上の生産動向は主に大手製パン会社による工場等での生産数量と思われますので、まちなかで営業しているパン製造小売業の動向も以下のとおり確認したいと思います。

菓子・パン製造業の営業施設数の推移

パン製造小売業の店舗数を厚生労働省の「許可を要する食品関係営業施設」数で確認してみましょう。菓子とパン製造を合わせた数値となりますが、下のグラフのとおり、 菓子・パン製造業の営業施設数は増加傾向が続いています。

パンの店舗数

都道府県の事業所数

次に、パンの製造小売店の店舗数を総務省『経済センサス』の事業所数をもとに都道県別にみると、下の表のとおりとなります。事業所数は東京都が最も多く、続いて神奈川県、大阪府、埼玉県などとなっています。概ね人口の多い都道府県が上位を占めています。

また、人口1,000人当たり事業所数をみると、徳島県が最も多く、愛媛県、京都府、長崎県などが続いています。四国や九州、近畿地方などがやや多くなっている印象です。

一方、私たちが住む新潟市は事業所数で14位、 人口1,000人当たり事業所数で23位と中位程度に位置しています。

パンの支出動向

パンに対する家計の支出動向も確認してみましょう。

支出動向については、総務省「家計調査」を使って確認していきます。なお、「家計調査」の見方については、こちらの投稿をご確認下さい。

年間の支出金額

まずは、パンに関する1世帯当たりの年間支出金額の推移を確認します。

下のグラフをみると、食パン(クロワッサン、フランスパンなどを含む)は概ね横ばいで推移しているものの、直近に限ると2年連続で上昇しています。また、他のパン(あんパン、メロンパン、カレーパン、あげパンなど)は2014年以降、概ね緩やかな上昇傾向をたどっています ¹ 。

パンの支出金額・年推移

月別の支出金額

2018年の支出金額を月別にみると、 他のパンは2月にわずかに減少する一方、3月にやや増加しているものの、それ以外は他のパン、 食パンともに年間をとおして大きな差はみられません。

パンの支出金額・月推移

年代別の支出金額

2018年の支出金額を世帯主の年齢階級別にみると、食パンは60~69歳や70歳~の高齢者層で支出金額の割合が他の年代に比べてやや高くなっています。

これに対して、他のパンは~29歳、30~39歳、40~49歳の若年層で支出金額の割合が他の年代に比べてやや高くなっています。

パンの支出金額・年代別

地域別の消費ランキング

食パンの消費ランキング

参考までに1世帯当たりの年間支出金額(2016年~2018年平均)を都道府県庁所在市(政令指定都市を含む)別 ² にみると、食パンでは神戸市が最も高く、続いて松江市、そして奈良市、和歌山市、堺市などの近畿圏が上位に位置しています。

こうした中、 新潟市は21位と中位に位置しています。

食パンの支出金額・都道府県別

他のパンの消費ランキング

他のパンに対する年間支出金額(2016年~2018年平均)についても都道府県庁所在市(政令指定都市を含む)別にみると、京都市が最も高く、以下、岡山市、大阪市、堺市などが続いており、近畿圏をはじめとした西日本の都道府県が上位を占めています。なお、新潟市は29位にとどまっています。

他のパンの支出金額・都道府県別

パン全体の消費ランキング

食パンと他のパンを合わせたパン全体に対する年間支出金額(2016年~2018年平均)についても都道府県庁所在市(政令指定都市を含む)別にみると、神戸市が最も多く、以下、京都市、大阪市、堺市などとなっており、近畿圏の自治体が上位を占めています。なお、新潟市は26位となっています。

パンと米の支出金額

念のため、パン全体に対する年間支出金額(2016年~2018年平均)と米に対する年間支出金額 (2016年~2018年平均) を組み合わせて、都道府県別にみると、岡山市や神戸市のようにパンに対する支出金額が米よりも極めて高くなっている地域がある一方で、那覇市、札幌市のように米に対する支出金額がパンよりも非常に高くなっている地域もみられます。

パンと米の支出金額

感想

米の消費量が低迷する一方で、パンの消費量が堅調に推移していることが確認できました。こうした中、パンの生産動向および消費動向とも近畿地方をはじめとした西日本の都道府県が上位に位置していたのが印象的でした。



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¹ 総務省『家計調査』によると、「他のパン」は以下のように内容例示されています。
「パンのうち,基本的な原材料以外の材料を加え,初めから一つに成形されたパン。原材料としてハム,卵,チーズなどが使われていてもよい。」とし、アップルパン、あんパン 、コロネ、ジャムパン、ぶどうパン、メロンパン、カレーパン、ピロシキ、揚げパン、ジャム・バター・チョコレート付き食パン、ピザパン、野菜入り食パン(ほうれん草・にんじん・たまねぎなど)が例示されています。
一方、「食パン」は以下のように内容例示されています。
「パンのうち,基本的な原材料(穀粉,酵母種,食塩,砂糖,脂肪)のみでできているもの。」とし、ソフトブレッド、バターブレッド、バターロール、クロワッサン、コッペパン、フランスパン、サンドウィッチ用パン、ハンバーガー用パン、ホットドッグ用パン、ナンが例示されています。
また、「他のパン」「食パン」以外にも「調理パン」が項目としてあるものの、「家計調査」ではパンではなく調理食品の項目に含まれているので、今回の投稿からは除外しました。なお、「調理パン」は 以下のように内容例示されています。 「パンを材料として,それに加工食品,調理食品,野菜,果物などを挟んで調製されたもの。冷凍も含む。」とし、サンドウィッチ(ハムサンド 野菜サンドなど)、コロッケパン、焼きそばパン、ホットドッグ、ハンバーガー、タコス、ケバブサンドが例示されています。
総務省「家計調査 収支項目分類」
https://www.stat.go.jp/data/kakei/9.html

²  都道府県庁所在市(政令指定都市含む)の結果はサンプル数が少ないため、参考として記載しました。必ずしも実態を反映しているとは限りませんので、ご注意ください。