こんにちは。新潟経済社会リサーチセンターの江口です。
12月に入り、忘年会の出席が続いている方も多いと思います。確かに12月に入ると、宴席が増えるので、飲酒代の出費が多くなりがちですよね。そこで実際に、年末を迎えると、どの程度、飲酒代が増えるのか?を調べてみました。
本日は、家計調査のデータを使いながら、最近の飲酒代金の傾向と、地域別の特徴についてご紹介したいと思います。
飲酒代の動向
いつものとおり、総務省「家計調査」を使って、最近の飲酒代の動向を確認していきたいと思います。
なお、飲酒代とは家ではなく飲食店等で支払った飲酒代金や料理代金を指します。飲酒を目的とした諸会費も含んでいます。いわば「外飲み」の支出額です。一方、自宅でお酒を楽しむ「家飲み」の支出額は除いています。
年間支出金額の推移~増加傾向~
そこでまず、1世帯あたりの年間飲酒代をみると、2011年を底に支払金額は概ね増加傾向となっています。特に2013年~2014年の2年間は過去と比べて支出額が多くなっています。景気の持ち直しが影響しているのかもしれません。
月別の支出金額~12月がトップ~
続いて、1世帯あたりの年間飲酒代を月別にみると(2014年)、やはり12月の支出金額が最も多く、月平均の1.7倍となっています。また、2番目に支出金額の多い月が1月です。
やはり、忘年会や新年会など、宴席の機会が多いことが影響しているのでしょう。
年代別の支出額~29歳以下がトップ~
さらに、世帯主の年齢階級別にみると、「29歳以下」で最も支出金額が多くなっています。最近は「若い人が飲まなくなった…」とよく聞きますので、この結果は意外に感じられます。
ただし、調査年によって増減が大きく変わる時があるため、念のため、2013年の支出金額を調べてみると、同じく1位、2012年は4位、2011年は1位となっています。
したがって、「外飲み」の支出額は「29歳以下」が多い傾向にあると言って問題なさそうです。当然ながら、友人等との宴席・お付き合いが多いのだと思います。
地域別のランキング~高知市がトップ~
そして、参考までに1世帯あたりの年間飲酒代(2012年~2014年平均)を都道府県庁所在市(政令指定都市を含む)別¹にみると、「高知市」の支出金額が最も多くなっています。全国平均の2.1倍、2位である東京都区部の1.3倍の支出額となっています。
さすが「酒国土佐」と呼ばれる土地です。高知市や高知市観光協会のウェブサイトをみると、単にお酒が好きというよりも、お酒を通して人とコミニュケーションをとるのが好き、という県民性がうかがわれます。
中でも、可杯(べくはい)と呼ばれる、飲み干すまで下に置くことができず、穴があいていたり、アンバランスだったりする杯を使う余興があるなど、お座敷遊びの文化がしっかり根付いている地域です。
私も以前に1度、訪れたことがありましたが、飲食店街と住居の距離が近い、コンパクトな街との印象があります。
なお、新潟県は第9位となっています。全国平均の1.3倍の支出金額となっていますが、もう少し上位かと思っていました。そこで「外飲み」ではなく、自宅でお酒を楽しむ「家飲み」のデータも確認することにしました。
酒類に対する支払金額の地域別ランキング~新潟市がトップ~
清酒・焼ちゅう・ビール・ウィスキー・ワインなどを合わせた「酒類」に対する1世帯あたりの年間支出金額(2012年~2014年平均)を都道府県庁所在市(政令指定都市を含む)別にみると、やはり「新潟市」が第1位となっています。中でも、清酒の支払金額が多いのが特徴となっています。
また、盛岡市、秋田市、仙台市、青森市、山形市など東北地方の県庁所在地が上位となっている点も特徴的です。
飲酒代と酒類を合わせた総合ランキング
さらに、飲酒代と酒類に対する支出金額を合わせて、都市別の総合ランキングを作成してみました。
すると、最も支出金額の多い都市は「高知市」となり、以下、新潟市、東京都区部、盛岡市などの順となっています。
なお、さらに細かくみてみると、①高知市、新潟市、東京都区部のように「外飲み」「家飲み」ともに全国平均を上回る都市がある一方、②和歌山市、津市、岐阜市のように「外飲み」「家飲み」とも全国平均を下回る都市があることに気づきます。
加えて、③那覇市、鹿児島市のように「外飲み」は全国平均を上回るものの、「家飲み」は全国平均を下回る都市や、④青森市、広島市のように「家飲み」は全国平均を上回るものの、「外飲み」は全国平均を下回る都市もあり、地域によって特徴があるようです。
最後に
地域によって、お酒の楽しみ方は様々ですね。
なお、自宅でお酒を楽しむ「酒類」の支出金額をより詳しく調べると、清酒好きな地域もあれば、焼ちゅう好きな地域もあり、さらに特徴が浮かび上がります。この点については、長くなりましたので、日を改めてご紹介したいと思います。
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都道府県庁所在市(政令指定都市含む)の結果はサンプル数が少ないため、参考として記載しました。必ずしも実態を反映しているとは限りませんので、ご注意下さい。