BCP策定支援に向けた動きが本格化 ―中小企業強靭化法が施行されました―


新潟経済社会リサーチセンターの銀山です。
2019年7月に「中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等の一部を改正する法律(通称「中小企業強靱化法」)」が施行されました。

今後、中小企業の事業継続計画(以下、BCP)策定支援に向けた動きが本格化してくることが想定されます。また近年、震災や水害などが多発しており、関心を高めている企業の方も多いと思われますので、今回は法律の概要や、BCPの策定状況などをご紹介したいと思います。

中小企業強靱化法の概要

経済産業省のウェブサイトから、中小企業強靭化法の概要が記載されている箇所を抜粋して、以下にご紹介します。

本法律案における主要な措置事項は以下の通りです。

(1)中小企業・小規模事業者の事業継続力の強化

①事業継続力強化に関する「基本方針」の策定

中小企業が行う事前対策の内容や中小企業を取り巻く関係者(サプライチェーンの親事業者、金融機関、保険会社、地方自治体、商工団体等を想定)に期待される協力を規定した基本方針を策定します。

②中小企業の事業継続力強化に関する計画を認定し、支援措置を講ずる

中小企業者が単独で行う「事業継続力強化計画」や複数の中小企業が連携して行う「連携事業継続力強化計画」を経済産業大臣が認定する制度を創設し、認定事業者に対し、信用保証枠の追加、低利融資、防災・減災設備への税制優遇、補助金の優先採択等の支援措置を講じます。

③商工会・商工会議所による小規模事業者の事業継続力強化の支援

商工会又は商工会議所が市町村(特別区含む)と共同して行う、小規模事業者の事業継続力強化に係る支援事業(普及啓発、指導助言、復旧支援等)に関する計画を都道府県が認定する制度を創設します。 これらに要する経費について地方交付税措置を講ずることとしており、地方における小規模事業者支援を推進します

以下、省略

経済産業省「『中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等の一部を改正する法律案』が閣議決定されました」 URL  https://www.meti.go.jp/press/2018/02/20190215002/20190215002.html

これらをみると、各関係機関からの支援が本格化するとことに加え、BCP等を策定すると減税措置や補助金採択の優遇などのメリットが受けられるケースが増えてくると予想されます。

BCPとは

そもそもBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)とは、企業が地震や水害などの自然災害や感染症の流行など不測の事態により被害を受けても、重要な事業(製品・サービスの提供)を中断させない、または中断しても可能な限り早急に再開するように、事前に取り決めておく計画のことです。

よく防災計画と何が違うのかといわれることもありますが、防災計画とBCPの大きな違いは、防災計画が人命の安全や建物等の物的被害の軽減などを目的に作成するのに対し、BCPは重要な事業の継続・早期復旧に主眼を置いて作成する点です。

またBCPでは、本社や工場など特定の拠点に留まらず、社外の取引先など重要な事業に関わるすべての業務が対象となります。被害状況をみながら場当たり的な復旧を行うのではなく、あらかじめ復旧までの目標時間を定めておく点、代替先を確保しておく点、情報・データのバックアップを実施しておく点なども特徴となっています。

BCPの策定状況

内閣府「平成29年度 企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」によると、大企業や中堅企業におけるBCPの策定済みの割合は上昇傾向にあります(図表1、2)。規模の大きな企業において、災害等に向けた準備は普及しているといえます。

図表1 大企業のBCP策定状況

(資料)内閣府「平成29年度 企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」

図表2 中堅企業のBCP策定状況(資料)内閣府「平成29年度 企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」

一方、調査対象に中小企業を含めた民間企業の調査をみると、BCPの策定済みの割合は15%程度という結果もあります。おそらく、規模の大きな企業で普及は進んでいるものの、規模の小さい企業では普及が進んでいない状況ではないかと考えられます。

まとめ

規模の大きな企業を中心に普及しているBCPですが、今後、国の支援が本格化するため、中小企業においてもBCP策定が広がっていくことが期待されます。一方で、BCPは災害等がなければ直接的な利益を生まない計画という見方もあり、日常業務に手一杯でBCPまで手が回らないという中小企業も多いと思れます。

当センターではセンター月報2017年9月号で「BCP(事業継続計画)の効果的な策定・運用のポイント─BCPの実効性を高めるために─」というレポートを掲載しており、このなかで実際に被災した際にBCPを策定していたため迅速に復旧できた事例や、災害に合わなくてもBCPの策定により、取引先との関係強化や新規開拓につなげた事例などを紹介しています。 BCPについて興味のある方は、センター月報2017年9月号の記事をご覧ください。