新潟経済社会リサーチセンターの江口知章です。
私どもの機関誌「センター月報」では、毎月、ビシネス心理学講師 酒井とし夫氏より、商売に役立つ心理学的なヒントやアイデアなどをご紹介いただいております。
今月の「センター月報11月号」では、客単価を上げるヒントについて、ご説明いただきました。本日はその原稿の一部をご紹介いたします。
鑑定料と指導料
私の知人に中国の有名風水師のもとで修行をしたAさんという女性がいます。彼女から、「鑑定料を上げることができないので困っている」と相談を受けました。
普段、彼女はお店で四柱推命や風水のアドバイスを行っています。お客様は学生やOLが主で鑑定料は数千円です。彼女と話していて分かったのですが、今までに中小企業の経営者からも風水の依頼を何度か受けていて、会社やお店に行って鑑定をしたことがあるとのこと。その度に数十万円の鑑定料を支払ってくれたそうです。鑑定後には売り上げが上がり依頼主も喜んでいることが分かりました。さらに他にも有名スポーツ選手や芸能人も鑑定したことがあるということが分かりました。
そこで、私が企画して都内でビジネス風水セミナーを開催しました。講師はもちろんAさんです。Aさんが1時間にわたって金運や人気運、仕事運をアップする基本的な風水の話をしました。
Aさんのセミナーの後、私が参加者の前に出て次のように言いました。「通常、Aさんのビジネス風水の鑑定料は20万円です。しかし、今日ご参加の方には末広がりの8万円で5名限定にて鑑定を受け付けます」
すると…10分で5名枠が埋まりました。
もし、私が次のように言っていたら、鑑定希望者はもっと少なかったかもしれません。「今日の参加者のうち5名だけ個別鑑定を受け付けます。鑑定料は8万円です」
人は比較してその価値の高い安いを感じます。
ちなみに私はアガリ症、緊張症、口下手、コミュニケーション下手、会話下手の人のために個人レッスンを行っています。指導料は6ケ月で50万円です…ですが正直に言うとこの50万円の指導に予約された方は今までにいません。しかし、ワン・デイ個人レッスンの予約は入ります。指導料は10万円です。
これだと比較の対象が無いのでお客様は高いのか安いのかの判断ができません。
ところが下記なら比較ができるようになります。
あなたは車を買った後に思わずカーナビやアクセサリーパーツを追加で契約したことがあると思います。これもそれらが自動車本体価格に比べて相対的に安く感じてしまっているからです。スーツを買った後にネクタイやワイシャツを買うのも同じ。着物を買った後に帯やバックを買うのも同じです。
売り方が巧い人はこのような相対的感覚の感じさせ方、みせ方が効果的であることを理解しています。
さて、あなたの商品やサービスはもちろん質の高いものだと思いますが、さらに相対的に「お買い得」「良質」とお客様に感じてもらうことはできないでしょうか?
人は比較して価格を感じるのです。
酒井とし夫(2017)「街でみつけた商売繁盛心理学 今すぐできる選りすぐりのアイデア 第20回」『センター月報』2017年11月号
感想
客単価の向上には「比較」が大切であり、何と「比較」し、どの順番で「比較」してもらうのかも、とても重要のようです。
それはきっと、お客様にとって商品の価値が分かりやすくなるからなのだと思います。つまり、客単価向上には「分かりやすさ」が不可欠ということなのでしょう。