これからの働き方と「しごとのみらい」vol.06

新潟経済社会リサーチセンターの江口です。

私どもの機関誌「Monthly」では、竹内義晴氏より、これからの働き方に関するコラムを毎月、ご寄稿いただいております。本日はその原稿をご紹介いたします。

 

仕事の未来

仕事を通じた「関係人口」で新潟の企業に新たな風を

「私は「東京の関係人口」です」

私ごとで失礼します。私はいま、地元妙高に住み、NPO法人しごとのみらいを経営しながら、東京のIT企業サイボウズでも働いています。「複業」「週2日」「テレワーク」という働き方ですが、コロナ禍前は月に1回、東京のオフィスに出勤していました。

サイボウズで働き始めた当初、私にとって東京は「仕事をする場」であり、土地自体にはそれほど強い思い入れはありませんでした。というより「住むなら断然、新潟だよな」と思っていたほど。

しかし、新潟と東京を行き来し始めると人とのつながりができます。そして、ランチに行ったり、飲みに行ったりするようになります。また、街並みに触れるようにもなり、次第に「東京という地域」のことが分かってきます。すると「新潟もいいけど、東京もいいよなぁ」となってきて、両方の地域が好きになる……これは、実際に起こった出来事です。そこで私は思いました。「ボクは、東京の関係人口になったんだ」と。
 
と同時に、こうも思いました。「これ、逆にできたらいいのに!」と。つまり、新潟の企業に、都市部の人が「仕事を通じて行き来できる関係を作れないか」と思ったのです。

「ビジネスに優れた関係人口が経営に与えてくれること」

この連載で、以前「地域複業」という話をしました。地域複業とは、経営やIT、Web、マーケティングなど、「地域の中に欲しい人材がいない」と困っている新潟の企業と、都市部、あるいは他の地域で「複業をしたい」「いままで培ってきたスキルを地域のために生かしたい」と思っている人たちをマッチングして、「仕事を通じた関わりを作る」取り組みです。現在、妙高市の事業として、この仕組みづくりに取り組んでいます。

この取り組みを進めるために、先日、2名の複業人材を募集しました。その結果、38名の方からの応募がありました。しかも、応募者はビジネスの経験が豊富でスキルが高く、新潟に関心を寄せてくださっている方ばかり。現在、東京、新潟、長野に在住の複業人材と一緒に仕事をしていますが、経営者としてはかなり助かっています。

新しい事業を作るとき、何が正解かなんて正直分かりません。誰かに相談したい。でも、立場が違う人にはなかなか理解されない……孤独です。そんなとき、ビジネス経験が豊富で「地域の役に立ちたい」と思っている仲間がいれば、気軽に相談できます。しかも、ビジネス感覚に優れているから、多くを語らずとも「あぁ、それはいいですね。絶対必要ですね」と感覚的に理解してくれますし、「これ、〇〇のほうがよくないですか?」といった、ちょっとしたアドバイスもうれしい。

地域の中で、こういった人材を見つけるのは難しい。でも、地域外にいる複業人材となら、それができる。しかも、仕事を通じて行ったり来たりできる関係もできる。そこで最近思うのです。「これこそが、まさに、関係人口じゃないか」と。

仕事を通じた関係人口づくり。こういった取り組みが、新潟でも広がったらいいな。そうすれば、新潟の企業にも新しい風が吹いて、もっと発展するんじゃないかなと思うのです。

注:「関係人口」とは、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域と多様に関わる人々を指す言葉。
出典:総務省関係人口ポータルサイト
https://www.soumu.go.jp/kankeijinkou/about/index.html


竹内義晴. これからの働き方と「しごとのみらい」. Monthly. 2021, 10月号, pp.26-27.

感想

人口が減少する中、近年、仕事だけではなく、観光やボランティア、インターンシップなどを通じて「関係人口」を増やそうとする取り組みに注目が集まっています。

現在のように人の流れを抑制して感染拡大の防止を目指す時期は具体的な動きが取りにくいと思われますが、感染が収束した際には、さらに注目が増し、様々な展開が生まれる可能性がありますので、その準備をしておく必要があるのかもしれません。