減少傾向にある新潟県の農業産出額

新潟経済社会リサーチセンターの小林です。

本日は、先月農林水産省から公表された平成30年の「生産農業所得統計」をもとに、新潟県を中心とした農業産出額の状況についてご紹介したいと思います。

米

13位に順位を落とす

新潟県は農業県として広く認識されていますが、1年間に産み出される農業産出額(農産物や加工農産物の産出額)は全国で上位から何番目くらいかご存じでしょうか。

先月農林水産省から平成30年の農業産出額が公表された直後に、新聞各紙で新潟県の順位に関して数多くの報道(
https://www.niigata-nippo.co.jp/news/politics/20200116518863.html )がされたことから、ご存じの方もいらっしゃるかもしれません。答えは13位(平成30年)です。前年の12位から、お隣りの山形県に抜かれて13位となり、山形県に農業産出額を抜かれたことが統計を取り始めて以来、初めてであったことから大きく報道されたものとみられます。

近年の新潟県を含む全国の農業産出額の推移をみると、全国の農業産出額は、平成30年は前年からやや減少しましたが、傾向としては増加傾向にあります。一方の新潟県の農業産出額は、緩やかながら減少傾向にあるほか、順位も過去の1桁台から12~13位で定着している状況です。

米の産地間競争の激化が一因

この背景の1つには、米の産出額の減少が大きく影響しているものとみられます。新潟県の米の産出額が減少する要因としては、消費量の減少のほか、産地間競争の激化などが挙げられます。

新潟県産のコシヒカリ(一般) の価格(玄米60キログラムあたりの相対取引価格) と、ななつぼし(北海道 )、あきたこまち(秋田県)、はえぬき(山形県)のそれぞれの価格(同)の差の推移をみると、年々価格差が縮まっていることがわかります。他の産地の品質向上や新種ブランド米の投入などにより、新潟県産米としての優位性が失われつつあるものとみられます。

園芸や畜産の強化が奏功

また近年、新潟県の農業産出額を抜いて上位にランクインした4県(岩手県、山形県、栃木県、長野県)と新潟県の5県について、各県の農業産出額の上位10品目の推移をみてみました。

新潟県では、2010年から2018年にかけて農業産出額が増加している品目は米と豚の2品目のみとなっているのに対し、長野県では10品目中半分の5品目、残りの3県では8品目が増加しています。

4県の品目ごとの推移をみると、4県とも米が増加していることから、上述のとおり、各県とも品質向上や新種ブランド米の投入などの成果が表れ始めているものとみられます。同時に、各県とも野菜や果物などの園芸品目が大きく増加している所が多いほか、肉用牛や豚などの畜産品目を伸ばしている所もあります。つまり、各県とも主力の米の高付加価値化を進めると同時に、園芸や畜産での産出額の向上に向けた取り組みを同時に進めてきているものと推察されます。

まとめ

新潟県においても、米の新品種ブランド「新之助」の投入や、園芸・畜産品目のブランド化などが積極的に進められています。現時点では、新潟県の農業産出額と同規模の自治体に、それらの取り組みがやや先行され、結果として新潟県の農業産出額の順位低下につながっているとみられます。地道な取り組みを継続することで、新潟県の農業産出額が増加傾向に転じることが期待されます。