2021年8月の新潟県経済

新潟経済社会リサーチセンターの近です。

弊社では毎月、新潟県経済の基調判断を発表しています。独自に行っている県内の企業様へのヒアリング調査やアンケート調査と、毎月発表される経済指標をもとに、県内の景気動向を簡潔にまとめています。 本日は以下のとおり、2021年8月の基調判断をご紹介します。

 

新潟県 景気 経済 見通し

基調判断

一部に弱さがみられるものの、持ち直している

~感染者数の高止まりから「特別警報」発令が全県に拡大され、下振れリスクが高まっている~

概況

生産活動は持ち直している。個人消費は持ち直しの動きが鈍化しており、設備投資は下げ止まっている。一方、住宅投資は弱含んでいる。総じてみると、県内経済は一部に弱さがみられるものの、持ち直している。

生産活動~持ち直している~

6月の鉱工業生産指数(季節調整値)は、前月比4.9%上昇して102.1となった。出荷指数は同1.8%上昇して99.6となった。在庫指数は同0.1%上昇して89.5となった。

汎用・生産用・業務用機械や化学は海外向けの増加により、回復しつつある。金属製品は作業工具が好調となっているほか、建設需要の改善傾向をうけて建設用金属製品が持ち直しており、前年を上回っている。食料品は業務用が低調である一方、量販店向けなどは堅調な動きが続いていることから、横ばいで推移している。一方、輸送機械は感染者拡大を背景とした海外工場の停止や半導体不足などの影響から、生産調整の動きがみられる。

設備投資~下げ止まっている~

製造業では、既存機械・設備の更新や省力化・合理化を目的とした投資を中心に、投資が増加している。

非製造業では、運輸やサービス他で前年の大型投資の反動がみられるほか、業況の厳しさから投資に対する慎重姿勢が続いており、投資額は前年を下回っている。

7月の非居住用建築物着工床面積は前年比75.7%増となり、2カ月ぶりに前年を上回った。

雇用状況~ 持ち直しの兆しがみられる ~

7月の有効求人倍率(パートタイム含む全数・季節調整済)は前月比0.02ポイント上昇し、1.37倍となった。

7月の新規求人数(同・実数)は前年比0.7%増となった。製造業や卸売業・小売業などの増加により、5カ月連続で前年を上回った。

個人消費~ 持ち直しの動きが鈍化している ~

7月の小売業販売額 ¹は百貨店・スーパーやコンビニエンスストアなどの増加により、前年比2.5%増となった。気温が高めに推移し季節商品が好調だったことなどから、2カ月ぶりに前年を上回った。一方、感染者の増加や飲食店を対象とした営業時間の短縮要請などの影響により、外食や旅行などのサービス消費は厳しさが増している。

8月の乗用車(軽含む)新規登録・届出台数は前年比1.1%減となり、3カ月連続で前年を下回った。

¹ 小売業販売額:経済産業省「商業動態統計」の百貨店・スーパー、家電大型専門店、ドラッグストア、ホームセンター、コンビニエンスストアの全店販売額を合計したもの

住宅投資~弱含んでいる~

7月の新設住宅着工戸数は前年比2.5%増となった分譲などの増加により2カ月連続で前年を上回ったものの、5―7月期では前年比3.2%減となり、基調としては弱含んでいる。

公共投資~下げ止まりつつある~

7月の公共工事請負金額は国などの発注が減少したことから、前年比4.6%減となり、3カ月ぶりに前年を下回った。

最後に

新潟県経済は持ち直しの動きが続いています。

新型ウイルスの影響をうけて以降、個人消費は、サービス消費は弱含む一方、モノへの堅調な支出に下支えされ、持ち直しの動きが続いていました。ただし、前年みられたようなまとめ買いが一服したこと、特別定額給付金を利用し、家電などを購入する動きが一巡したことなどから、足元ではモノへの支出にやや落ち着きがみられます。こうしたなか、県内では7月後半から感染者数が急増し、「特別警報」の発令が全県に拡大されたことで、サービス消費は大きく落ち込みました。以上のことから、当センターでは個人消費の基調判断を「持ち直しの動きが鈍化している」に下方修正しています。

ただし、感染者数は9月以降、減少傾向にとなっています。「県民向け宿泊割引キャンペーン」を利用した予約 や「Go To イート」のプレミアム付き食事券の販売が再開され、観光関連や飲食店の需要喚起策の効果が見込まれます。加えて、ワクチン接種が完了した人や検査で陰性が確認された人を対象に、飲食店の利用や移動制限の緩和が認められるといった「政府からワクチン接種が進む中における日常生活回復に向けた考え方」が示されました。行動緩和が決定されれば、今後サービス消費の改善も見込まれます。