2020年4-6月期のGDPは戦後最大の落ち込み

新潟経済社会リサーチセンターの近です。

新型ウイルスが県内経済に与える影響について、当センターではこれまで統計データのほか、県内勤労者や県内企業を対象にしたアンケートなどで調査を行ない、その結果を当ブログや機関誌で発表してきました。

こうしたなか、先日内閣府から2020年4-6月期のGDP(1次速報)が発表されました。そこで本日は、新型ウイルスが日本経済全体に与える影響について、GDPの結果をもとにご紹介したいと思います。

 

人混みの写真

4-6月期GDPはリーマン・ショック後を超える落ち込み

20年4-6月期のGDP(1次速報、実質・季節調整済)は前期比▲7.8%と、大幅なマイナス成長となりました。

 

四半期別GDP項目別寄与度(実質季節調整系列・前期比)

リーマン・ショック後の09年1-3月期(▲4.8%)を大きく超える戦後最大の落ち込み幅となり、新型ウイルスが日本経済に与えた影響の大きさを示す結果となりました。

また、GDPがマイナス成長となるのは、消費税率が10%に引き上げられた19年10-12月期以降3四半期連続です。

個人消費の悪化が鮮明

では、これほど大きなマイナス成長となったのは具体的にどの項目なのでしょうか。GDPの内訳をみていきたいと思います。

マイナス成長に最も大きく寄与した項目は「個人消費(民間最終消費支出)」で、前期比▲8.2%となっています。個人消費のGDPに占める割合は全体の5割以上あり、最も高い項目です。

個人消費のなかでも特に落ち込みが大きかったのは、外食や旅行といったサービス消費(同▲12.7%)でした。4月から5月にかけて発出された緊急事態宣言をうけて、外出自粛や商業施設などの営業時間短縮・休業の動きが広がったことが要因といえます。緊急事態宣言解除後の6月には、人出が徐々に回復してきたほか、特別定額給付金の支給により消費意欲の持ち直しがみられましたが、4月から5月の落ち込みを補うほどの回復ではなかった模様です。

財の輸出に加え、インバウンド需要の落ち込みにより輸出が大幅に減少

個人消費の次にマイナス成長への寄与度が高かったのは輸出(前期比▲18.5%)です。

輸出は財とサービスに分類されます。財の輸出では、欧米の主要都市で都市封鎖(ロックダウン)が実施されたことなどを背景に、欧米向けが大幅に減少しました。

近年、存在感を増していたインバウンド需要はGDPの内訳において「サービスの輸出」に分類されます。新型ウイルスの世界的な感染拡大に伴い訪日外国人延べ宿泊者数(速報値)は、4-6月期で前年比▲98.3%にまで急減しました。

 

(資料)観光庁「宿泊旅行統計調査」

こうした訪日外国人の減少を背景に、インバウンド需要が「蒸発」したことも輸出の減少の一因となっています。

世界各国のGDPも軒並み大幅なマイナス成長

新型ウイルスの影響により、日本のGDPは過去に例のない落ち込みとなりました。では世界的に感染が拡大するなか、世界各国のGDPはどのような結果となっていたのでしょうか。

 

主な国の20年4-6月期GDP成長率(実質、前期比)

       (資料)各種報道資料より作成

米国や欧州では感染防止のため、ロックダウンを実施した国が多かったことから、経済の落ち込みが日本よりも大きかったことがわかります。なお、現時点では感染者数が世界で2番目に多いブラジルや3番目に多いインドなどのGDPは発表されていません。

一方、中国では1-3月期のGDPが前期比▲6.8%となり、四半期ベースGDPとしては初のマイナス成長となりました。その後、中国政府の対策などが下支えとなり、4-6月期には+3.2%とプラス成長に転換しています。

各国とも、経済活動の再開により4-6月期を底に経済状況は回復傾向に向かいつつありますが、そのペースは緩慢なものにとどまるとの見方が多いようです。

まとめ

4-6月期のGDPは日本をはじめ、世界各国で歴史的な落ち込みとなりました。

日本では緊急事態宣言の解除後、個人消費や生産活動など底打ちを示す統計データが発表されており、持ち直しの動きがみられつつあります。7-9月期のGDPは4-6月期が低水準であったことからプラス成長となるとの予想が大方のようです。一方で、世界的に感染者数が再び増加していることからさらなる景気の下振れも懸念されています。