3分でわかる!新潟県の地価調査(2020)

新潟社会リサーチセンターの近です。

新潟県が2020年9月に県内の地価調査地点530地点の地価調査を発表しました。「地価調査」とは、都道府県が毎年7月1日現在で基準地の価格調査を実施し、その結果を公表しているものです。新型ウイルスの影響が表れた最初の大規模な地価調査ということで、結果が大きく注目されました。本日はこの地価調査の結果についてご紹介します。

 

県内の地価は25年連続して下落

2020年の新潟県の地価は、全用途平均で▲1.2%と1996年以来25年連続の下落となりました。前年までは8年連続して下落幅が縮小(前回調査:同▲0.8%)しており、基調としては下げ止まりつつありましたが、今回調査では下落幅が拡大し、地価の下げ止まりに変調の兆しがみえています。

(資料)新潟県「令和2年度新潟県地価調査結果の概要について」

用途別にみると、工業地は前回調査で22年ぶりに上昇に転じていましたが、今回調査では前年比▲0.3%(前回調査:同+0.4%)と2年ぶりに下落しました。また、住宅地は1998年以降23年連続で、商業地は93年以降28年連続で下落しており、それぞれ下落幅も拡大しています。

地価の下落は、全国的にも同様の傾向がみられています。全国の地価の全用途平均は前年比▲0.6%(前回調査:同+0.4%)となり、3年ぶりに下落に転じました。下落幅をみると、本県と比較して大きくなっており、特に大都市圏での下落や伸びの大幅鈍化が目立っています。

地価下落の要因は?

本県及び全国の地価の下落には、新型ウイルス感染症の拡大が大きく影響しています。用途別に新型ウイルスがどのような影響を与えたかをみてみましょう。

商業地の下落には外出自粛や訪日外国人の減少から店舗や宿泊施設の収益性が低下したほか、在宅勤務の増加でオフィス需要の低下がみられたことがあげられます。

工業地では新型ウイルスの世界的感染拡大により、国内外の需要が減少したことなどから、企業が工場の新設などに慎重になっていることが背景にあるとみられます。

住宅地は商業地と比較すると下落幅は小幅にとどまっていますが、景気の先行き不透明感が高まり、雇用・所得環境への将来的な不安から住宅購入意欲が低迷していることなどが下落の要因として考えられます。

地価の変化で全国と本県との違いは?

前年と比較した本県と全国との地価(全用途)の変化をみると、本県よりも全国の下落幅が大きくなっています。

特に全国では商業地の下落幅が大きいことがわかります。これまで大都市圏や観光地などでは近年訪日外国人が急増するなか、インバウンド需要を受け入れるための宿泊施設や商業施設の建設が続いていました。加えて、首都圏では東京オリンピック・パラリンピック関連やその後の再開発事業など新たな大型工事も予定されており、地価は上昇傾向にありました。しかし、新型ウイルスの影響により、海外との移動が制限されインバウンド消費はほぼゼロとなっています。また、東京オリンピック・パラリンピックの延期により予定されていた建設工事についても着工時期などが不透明な状況となっているうえ、新型ウイルスの影響長期化から計画見直しを懸念する声もあるようです。こうしたことから、これまで地価を押し上げてきたインバウンド需要や建設工事計画への期待が新型ウイルスの影響によって剥落し、地価の上昇幅縮小あるいは下落となったとみられます。

一方、 本県では人口減少が続くなか、下げ止まりつつありながらも地価の下落が続いていました。また、訪日外国人数の増加は大都市圏や他県の観光地などと比べると比較的小規模にとどまっていました。そのため、インバウンド需要の地価上昇に与えた影響が限定的であった分、反動も小さく地価の下落幅が全国よりも小幅であったと考えられます。

新型ウイルスの影響でこれまでの地価の傾向に変化が起きつつある

新型ウイルスは景気悪化やインバウンド需要の減退などを通して、地価へのマイナスの影響を与えています。

一方で、大都市圏から地方へのオフィス移転や移住促進といった動きが期待されるなど、地方にとってプラスの面も注目されています。こうした動きを取り込もうと地方自治体は移住促進政策などを強化しています。新型ウイルスの影響で働き方を含めたライフスタイルを見直す動きが広がり、地方への関心の高まりが続くのか、実際に行動として実行されるのかが注目されます。

まとめ

今回の調査では、新型ウイルスの影響から地価の下落幅が拡大しました。人口減少や少子高齢化が続く本県では、今後も地価の大幅な上昇は期待しづらいと予想されます。加えて、新型ウイルスの影響が長期化すれば地価へのマイナスの影響もさらに大きくなると考えられます。

ただし、地方への関心の高まりをうけて企業の誘致や移住の促進など、本県においてもこれまで進めていた支援策を加速する動きがみられています。リモート環境の整備といった働きやすい環境づくりや子育て支援の充実など、ヒトや資金を呼び込むだけでなく定着させる政策を推進していくことで、長期的な視点に立った地域活性化を目指していく必要があります。その結果、地価が上昇していくことを期待したいと思います。