残業を削減しても利益率は高まらない?働き方改革における成功要因とは

 

こんにちは。先般、働き方改革に関する調査レポートをまとめた銀山です。

働き方改革において企業が成果を出すための成功要因はいくつかあると思いますが、調査を通して、そのなかでも大事な要因があると感じるようになりました。今日はそのことについてお伝えしたいと思います。

 

 

残業削減を推進している企業は多いものの・・・

働き方改革が叫ばれるなか、企業が最も取り組んでいることの1つとして、残業の削減が挙げられるのではないでしょうか?2017年5月に当センターが実施した「働き方改革に関するアンケート調査」で、所定外労働時間(残業)の削減に向けた取組状況を尋ねたところ、「取り組んでいる」と回答した割合が70.8%に達しました。また、他機関の行なった同様の調査をみても、残業の削減や長時間労働の是正などに取り組んでいる企業の割合は、非常に高いものとなっています。

このように残業の削減に取り組んでいる企業は多いものの、その結果が会社の利益につながっているかというと、それはまた別の話のようです。

 

残業時間を削減しても利益率は高めることができない?

日本経済研究センター「残業時間削減は利益率を高めるか」のレポートでは、厚生労働省「毎月勤労統計」や経済産業省「企業活動基本調査」のデータを使い、残業時間の削減と利益率の関係性を調べています。その結果、「残業時間の削減と、利益率の間には有意な関係を見出せなかった」と結論付けています。また、「従来の働き方を前提とする限り、企業側にとって残業時間を削減するだけでは改革の成果を得ることは困難であることを示唆している」とも記載されています。

一方で、残業時間を削減させながら、労働生産性を上げ、利益率を高めることに成功している企業は多くあります。私が取材した企業でも、残業時間を削減し、利益を伸ばしている企業がありました。

 

安心して働ける職場環境を整えることで、意見が言いやすくなり生産性を高めることができる

取材した生産性を高めている企業では残業時間の削減だけでなく、育児や介護を抱えた社員が安心して働ける職場環境を整えている企業が多かったです。そして、フルタイムで働ける社員だけでなく、時間に制約がある社員も含め全員が仕事に対して自分の意見や、改善提案を言いやすい雰囲気がありました。その結果、ムダを無くす、あるいは、抜本的な事業の見直しなどにつながりやすくなり、労働生産性を高めることに成功していました。取材をとおして感じたことは、どんなに残業時間を削減したところで、自分の意見が言いにくい雰囲気では、働き方改革の成果は上がらないということです。

 

自由に意見

 

チームの生産性を高める要因は、心理的安全性

私が上記のように感じた背景には、グーグル社の生産性に関するレポートを読んだことがあります。グーグルがチームの生産性を高める要因を調査し、そのレポートのなかで「生産性が高いチームには、メンバー一人ひとりが気兼ねなく発言できて、本来の自分を安心してさらけ出せる雰囲気がある」と結論づけています。こうした状態や雰囲気のことを心理的安全性と心理学では言うそうです。この「心理的安全性」をチーム内に確保できると、労働生産性を高めることができます。

そして、同レポートによると、心理的安全性があって生産性の高いチームはどの仕事をやっても良い結果を出すのに対して、心理的安全性がなく生産性が低いチームはどの仕事をやっても悪い結果になるそうです。また、チームの成果において、個人の能力の高さはあまり関係ないようです。

詳しくは、「心理的安全性」とインターネットで検索すると多くのレポートや記事が出てくるので、興味のある方はぜひ読んでみてください。

 

まとめ

働き方改革における成功事例は多く報道されており、その取組内容や仕組みを取り入れたいと考える企業は多いのではないでしょうか。ただし、成功事例の形だけを真似て、残業を削減できたとしても、必ずしも生産性を高めることにはつながらないようです。

長時間労働を前提とした働き方を見直し、育児や介護などを抱える人でも安心して働けるように制度を充実させることなどを通じて、全ての社員が心理的安全性を確保し、仕事に対して前向きな意見や改善の提案をできる雰囲気を作ることで、初めて労働生産性が向上していくのではないでしょうか。