働き方改革の先進事例から学ぶ、建設業におけるテレワークの効果とは~ワーク・ライフ・バランスの実現から資格取得者の増加の好循環を生む~

 

こんにちは。先般、働き方改革に関する調査レポートをまとめた銀山です。

そのレポートでは、様々な業種の企業を先進的な事例として紹介しています。なかでも建設業からは2社を紹介しており、どちらも社員30名前後の中小企業ですが、早くから働き方改革を進め、残業時間の大幅な削減を達成しています。その2社への取材を通じて、建設業においてテレワークを導入すると、大きく労働生産性を向上することができると感じましたので、本日はそのことに関してお伝えしたいと思います。

※事例を紹介しているレポートは「働き方改革に関するアンケート調査(センター月報9月号」「働き方改革の現状と推進のポイント(同10月号)にそれぞれ掲載しています。

 

 

テレワークとは

テレワークとは「tele = 離れた所」と「work = 働く」をあわせた造語であり、情報通信技術(ITシステム)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のことです。

厚生労働省「働き方・休み方改善ポータルサイト」によると、テレワークは所属するオフィスに出勤しないで自宅を就業場所とする「在宅勤務」や、移動中や顧客先などを就業場所とする「モバイルワーク」、所属するオフィス以外の他のオフィスや遠隔勤務用の施設を就業場所とする「サテライトオフィス勤務」の3つの形態に分けられています。

参考までに、2015年3月に総務省委託の調査結果にあった「テレワークを導入済みの企業がテレワークの導入により実現した効果」をみると、「生産性・業務効率の向上」の回答割合が55.7%と最も高く、以下「社員の通勤・移動時間の短縮」(48.9%)、「社員のワークライフバランスの実現」(38.7%)などとなっています(図表参照)。

 

図表 テレワークの導入により実現した効果(複数回答)

 

2社がテレワークを導入した理由

レポートで取り上げた2社とも、勤務時間に占める移動時間の多さに課題を感じており、削減できる方法を探していました。また、育児や介護を抱えた社員が、仕事と両立できる方法も併せて検討しており、その双方を一度に解決する手段としてテレワークが必要だと両社とも判断されていました。

取材の際、「現場などへの移動時間が多い建設業において、テレワークの導入は生産性を大きく高めることができると考えた」という趣旨の発言が2社の担当者の方それぞれから、お聞きすることができました。地域や業務内容が異なるなか、偶然にも共通の認識を持たれていたことが印象的でした。

 

直行直帰が増え、移動時間が減り残業時間を大幅に削減

そして、2社ともITシステムを導入してテレワークを実現しました。1社は無料のソフトを組み合わせ廉価でテレワークを実現しました。もう1社はITシステムを数百万円で導入し、相応の出費でしたが、社員の離職を防止するメリットや新たに発生する採用コストを考えた場合、費用より効果の方が大きいと判断し導入を進められました。

その結果、従来であれば現場から会社に戻って行なっていた打ち合わせや書類作成を、ITシステムを通じて現場や自宅から行なえるようになりました。両社とも、現場や顧客先への移動は直行直帰が増え、移動時間が減り残業時間を大幅に削減できています。

 

定時退社する人が増え、空いた時間で勉強し資格取得者が増加

また、定時で退社する社員が増えたため、仕事に必要な資格や免許などに挑戦し、取得する人が2社とも増えています。そのうち、公共工事の受注を主力としている1社からは、資格保有者が増加し、公共工事の入札において有利となって、売上高を伸ばしているとの話もうかがえました。

仕事をする上で免許や資格が必要となる建設業において、社員には積極的に免許や資格の取得に挑戦して欲しいところです。そのためには、生産性を上げワーク・ライフ・バランスを実現し、残業をあまりさせずに、社員には早く帰ってもらわなければなりません。定時退社を促進し、免許や資格の資格保有者を増やすことで、企業をさらに発展させるという方向性もあると思います。

 

おわりに

テレワークを導入した事例をみると、大企業の事務部門やシステム会社において活用されているケースが多いようです。そのため、建設業の中小企業が導入している事例はまだ少ない状況です。事例数が少ないため、他の建設業の企業にとってもテレワークの導入の効果が高いとはいえないところもあるかも知れませんが、移動時間が多いと感じている建設業の企業はテレワークの導入を検討してみても良いのではないでしょうか。

なお、両者とも働き方改革に先進的に取り組み、ワーク・ライフ・バランスを実現している企業として各種メディアから取り上げられ、評価が高まっています。その結果、採用面にも有利となって、建設業では特に課題とされている人材不足の解消にもつなげられています。