なぜ働き方改革に取り組んでも従業員の満足を得られないのか ~労働環境の改善に加えて、必要なこととは~

 

こんにちは。先般、働き方改革に関する調査レポートをまとめた銀山です。

私自身ではなく、他社が行なった働き方改革のアンケート調査で、興味深い結果がありましたので、以下に紹介したいと思います。ちなみに当センターでも新潟県内企業1,000社を対象に「働き方改革に関するアンケート調査」を行なっております。興味のある方はこちらからご覧ください。

 

 

働き方改革に取り組んでも『従業員の満足を得られなかった』が4割強を占める

デロイトトーマツコンサルティング合同会社が2017年6月~7月にかけて実施した「働き方改革の実態調査2017」(238社回答)によると、働き方改革の効果を実感しているかどうかを尋ねた質問の項目において、「効果が感じられ、従業員の満足も得られた」(28%)と回答した企業の割合が3割弱となりました。一方、「効果が感じられたが、従業員の満足を得られなかった」(21%)や、「あまり効果が感じられず、従業員の満足も得られなかった」(22%)、さらに「全く効果が感じられず、従業員の満足も得られなかった」(1%)を合わせた『従業員の満足を得られなかった』の割合が4割強を占めました。

働き方改革では、従業員の労働環境や処遇を改善することで、従業員が働きやすく、生き生きと活躍できることを目指してます。その取り組みを行なった企業のうち、4割強で従業員の満足につながっていないという結果は、働き方改革に関する調査を行なった経験のある私にとって少なからずインパクトがあるものでした。

従業員の満足につながらない原因には様々なことが考えられますが、1つの考え方としてハーズバーグの2要因論があると感じましたので、以下に紹介したいと思います。

 

会社の制度や勤務条件、給与などを改善しても、従業員の満足は得られない?

海老原嗣生著「マネジメントの基礎理論 」ではハーズバーグの2要因論を以下のように解説しています。

 

モチベーションサイクルの理論の提唱者フレデリック・ハーズバーグは、「満足要因」と「衛生要因」という言葉を使っています。

衛生要因というのは、それがないと不満が高まるが、それがいくらたくさんあったとしても満足や納得にはつながらない要素です。

たとえば、給与が高い、残業が少ない、休日が多い、会社のネームバリューがある、快適なオフィスなどです。いずれも仕事の中身とは関係ありません。

中略

一方、満足要因は、達成する、承認される、責任を持つなど、仕事それ自体がもたらすやる気の要素です。これが満たされると仕事が楽しくなり、さらにやる気が出てくるというわけです。

 

▲ハーズバーグの2要因論

(資料)海老原嗣雄著「マネジメントの基礎理論」を参考に筆者が作成

 

働き方改革で、得られる効果とは?

私が働き方改革の調査を進めるなかで、新潟県内や県外で先進的に取り組んでいる企業の担当者の方に対し、働き方改革の効果を伺うと、「退職者の減少」を挙げる方が多かったです。

働き方改革では会社の制度や勤務条件などを改善することが多く、ハーズバーグの言う衛生要因を主に改善していることにつながります。そのため、不満が無くなり退職者は減るというのは、理論どおりだと納得するものがありました。

一方、従業員を満足させるためには、会社の制度や勤務条件の改善だけでなく、他にも改善させる必要があると考えることもできます。そのため、働き方改革を従業員にとってより満足度の高いものとするには、会社の制度や勤務条件を改善することに加え、従業員が達成感を得たり、他者から認められたりする機会や制度、仕組みも考えていくことが必要になるのではないでしょうか。

 

おわりに

働き方改革の取り組みにおいて、会社の制度や勤務条件などの労働環境を改善すれば、従業員は満足してやる気を出してくれるという簡単なものではないようです。労働環境などを改善したうえで、やる気につながる仕組みを構築していくことも必要なのだと、「働き方改革実態調査2017」をみて、改めて感じました。

なお、私がまとめた「働き方改革に関するアンケート調査(センター月報9月号掲載)」「働き方改革の現状と推進のポイント(同10月号掲載)」では、会社の制度や勤務条件を改善させているだけでなく、インセンティブを与えたり、従業員の資格取得を促進したりして、従業員のやる気を上げる仕組みをつくって企業業績を大幅に改善させている事例も紹介しています。良かったぜひ読んでみてください。