世界的なワインコンテストで最優秀賞(チャンピオンSAKE賞)を受賞した日本酒の秘密

 

今回は、糸魚川市の地酒「根知男山」を製造する渡辺酒造店に取材した内容を一部ご紹介します。

 

糸魚川の酒蔵を訪ねて

まだ雪の残る今年の3月中旬、上越市の酒蔵「渡辺酒造店」を訪ねました。北陸新幹線・糸魚川駅から車で15分、日本百名山「雨飾山入り口」の看板に沿って進むと、代表銘柄「根知男山」の看板が見えてきました。

 

blog.男山

 

ここ、渡辺酒造店のある根地谷(ねちたに)という地域は、四方を山に囲まれ、豊かな伏流水と美しい自然環境に恵まれた地域です。この豊かな環境のなかで、酒米から酒造りまで、一貫して自社で行っているのが、渡辺酒造店の特徴です。

 

理想は「テロワール」

同社は、2002年に杜氏が引退したことをきっかけに、これまでの杜氏制度を廃止して、地元の社員による週休制・通勤制の酒造りに切り替えました。酒造りの仕事は主に冬場だけですので、社員は夏場、酒米を自社で生産するために農業に携わっています。夏は米作り、冬は酒造りで無駄がありません。

フランス語に、“地域の味”とも訳すことのできる「テロワール」という言葉があります。これは、ワインで言えばボルドーのように原料の生産から製造まですべてをその地域でまかなうというものです。

社長いわく、日本酒でもこの考え方が必要だといいます。つまり、いくら新潟県産の酒米にこだわっていても、他の地域から仕入れては厳密にその良さや品質を消費者に伝えることはできないのだと。地元の水と米で日本酒を造り、地域の農業を守りながら、地域とともに生きていく。それが社長の理想なのだそうです。

こうした取り組みが認められ、同社の「nechi2008」が、イギリス・ロンドンにて毎年行われるIWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)において、最優秀賞となるチャンピオンSAKE賞を受賞しました。

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▲ ワインのように、製造された年によって異なった味わいが楽しめるNechi

 今日の一言

和食ブームもあって、新潟の清酒出荷量が持ち直しています。しかし社長は「新潟の酒の良さは“品質”というけれど、その良さを消費者に伝えることができる人はどれだけいるのでしょうか?」とおっしゃいました。

そのひとつの答えとして社長が語ったのが、地元で米から生産し、製造・出荷まですべて地元で責任を持つ「テロワール」という発想です。地元で生産しているからこそ、「なぜ美味しいのか」「他とはどこが違うのか」が伝えられる、という言葉に感動しました。100%自社栽培の酒米による生産体制を整備していることも非常に珍しいことです。

詳細は、センター月報のなかの「新潟ビジネス最前線~清酒~」にて後日ご紹介したいと思います。