新潟経済社会リサーチセンターの江口です。
気温の高い日が続いており、すいかがより美味しく感じられる時期となりました。
南魚沼市では、「八色スイカまつり」が7月22日(金)から8月10日(水)の期間で開催され、食べ放題や直売などがおこなわれているようです。
今日は暑い日の定番果実である「新潟のすいか」について、ご紹介いたします。
新潟産の特徴とは…
歴史
北陸農政局「食べ物のルーツを探る」によると、すいかの原産地は、南アフリカのカラハリ砂漠とする説が有力で、エジプトでは4000年も前から栽培されていたようです。一方、日本には1570年頃に伝わったものの、品質が合わず普及しなかったとのことです。その後、明治時代に入ると、品種改良が進み、夏の定番果物へと成長したようです。
また、新潟県「7月の旬 すいか」を読むと、県内では明治中期に砂丘地で栽培され始め、昭和28年頃から栽培が急増したとのことです。
主要産地
北陸農政局「今月の園芸特産作物」では、県内の主要産地として新潟市、南魚沼市、魚沼市、小千谷市などがあげられています。海岸砂丘地や丘陵地を利用して栽培され、県内以外にも首都圏や北陸方面に出荷されているようです。
特徴
新潟県「7月の旬 すいか」には、新潟産すいかの特徴として、シャリシャリとした口触りのある甘さが挙げられています。
また、美味しさの理由として、①砂丘地では春先が高温・多照なこと、②魚沼地方では、梅雨明け後の高温・多照と気温の日較差などが関係しているようです。むろん、農業生産者の高い技術も関係しているのでしょう。
なお、ハウス栽培されたすいかは6月上旬から出荷され、トンネル栽培(トンネル状にビニールで覆い被せて保温栽培)したすいかは7月中旬にピークを迎え、7月末まで出荷されます。なお、南魚沼市や魚沼市産のすいかはやや遅れて出荷され、お盆頃まで出荷が続くそうです。
全国的な作付面積・収穫量・出荷量
念のため、全国的な栽培状況もおさえておきましょう。農水省「野菜生産出荷統計(平成26年産)」によると、新潟県は作付面積で全国4位、収穫量と出荷量で5位となり、全国でも有数の産地となっています。
なお、熊本県が作付面積・収穫量・出荷量の全てで他の都道府県を引き離しているのが目立っています。
年間支出金額のランキング
総務省「家計調査」を使って需要側の動向をみてみます。なお、「家計調査」の見方については、こちらの投稿をご確認下さい。
すいかに対する1世帯あたりの年間支出金額(2013年~2015年平均)を参考までに都道府県庁所在市(政令指定都市を含む)別¹にみると、「新潟市」が第1位となっています。全国平均の1.4倍の金額を支払っています。
続いて、1世帯あたりの年間購入数量(2013年~2015年平均)を都道府県庁所在市(政令指定都市を含む)別にみても、「新潟市」が第1位です。こちらも全国平均の1.8倍の量を購入しています。
以上の結果から判断すれば、新潟は相当の「すいか好き」の地域といえるでしょう。
全国的な需要動向
併せて、全国的なすいかの需要動向も総務省「家計調査」を使って確認しておきましょう。
1世帯当たりの年間支出金額の推移をみると、2000年に比べると、かなり下がっていますが、近年は横ばいで推移しており、下げ止まりの状況にあるようです。
また、月別でみると、当然ですが6~8月にかけての夏場、特に7月の支出金額が高くなっています。
年代別にみると、世帯主の年齢が高いほど、支出金額が増える傾向にあります。「70歳以上」の世帯主では「29歳以下」の4.6倍の支出額となっています。先月、お伝えした「枝豆」と同様に、もしかすると、若年層へのアピールを強化すると、より一層、需要が増加するのかもしれません。
まとめ
新潟がここまで「すいか好き」の住民とは知りませんでした。なぜ購入量が多いのか?については、いずれ機会があれば、再調査したいと思います。
なお、北陸農政局の「野菜の入荷量と卸売価格の見通しについて」によると、8月のすいかの入荷量は平年並み、価格も平年に比べて安いとの見通しとなっていますので、もう少しの期間、相応の価格で、すいかを美味しく食べられそうです。
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¹
都道府県庁所在市(政令指定都市含む)の結果はサンプル数が少ないため、参考として記載しました。必ずしも実態を反映しているとは限りませんので、ご注意下さい。
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資料:
新潟県観光協会「八色スイカまつり」
http://www.niigata-kankou.or.jp/sys/data?page-id=2187
北陸農政局「「食べ物のルーツを探る」
http://www.maff.go.jp/hokuriku/kids/tanken/fruit02.html
北陸農政局「今月の園芸特産作物」
http://www.maff.go.jp/hokuriku/seisan/engei/tokusan201207.html
北陸農政局「野菜の入荷量と卸売価格の見通しについて」
http://www.maff.go.jp/hokuriku/news/press/160729.html
新潟県「7月の旬 すいか」
http://www.pref.niigata.lg.jp/syokuhin/shun07_suika.html