VR(仮想現実)に関する調査レポートをまとめました

 

新潟経済社会リサーチセンターの小林です。

近年、VR(Virtual Reality:仮想現実。以下、VR)と呼ばれる技術の活用が急速に広まっています。

「VR元年」とも称される2016年以降、VRを体験する際に使用するヘッドマウントディスプレイ(以下、HMD)と呼ばれる機器が出回るようになっているほか、ゲーム業界およびアニメや映画などのエンターテインメント(以下、エンタメ)業界などを中心にVRコンテンツ[1]も数多く制作されるようになっています。

一般的にVRの実用化が先行している業界は、上記のゲーム業界やエンタメ業界などといわれていますが、上記の2つの業界以外にも不動産や観光、医療、教育、建設など様々な業界へと活用が進み始めています。

そこで、VRの活用状況を整理するとともに、県内におけるVRの活用事例をふまえたうえで、VR普及に向けた課題を整理した調査レポートをまとめましたので、本日はその概要をお伝えいたします。詳しくは「センター月報2018年10月号VR活用の現状と普及に向けた課題」をご覧下さい。

 

 

[1] HMDなどのVRを体験するための機器に対応した360°動画やゲームなどのこと

 

VRとは

VR(Virtual Reality:バーチャルリアリティ)は「仮想現実」と一般的に訳されます。その他には「仮想現実感」や「人工現実感」などと訳されることもあります。

具体的にVRとは、主にコンピュータや電子技術を用いて実際には存在しない空間を作り出し、人間の視覚や聴覚などの五感を刺激し、あたかも現実の空間にいるかのように疑似体験をさせる技術のことを指します。「バーチャル=仮想」という言葉の印象から、コンピュータグラフィックス(以下、CG)で作り上げた空間や架空の世界の空間を疑似体験することを連想しがちですが、それだけがVRではありません。実在する観光地や自然景観などの映像を使って作り上げたバーチャルな空間に入りこむことで、現実の観光地や自然景観などに実際にいるかのような疑似体験をすることもVRです。

例えば新潟県内では、株式会社新潟放送が「VR NIIGATA」(http://www.ohbsn.com/contents/VR-NIIGATA/index.php)という360°動画アプリを開発し、県内の観光名所やイベントなどの疑似体験が可能な動画コンテンツを配信しています。そのアプリをスマートフォン(以下、スマホ)にダウンロードし(アプリのダウンロードは無料)、スマホ用のHMDを使うと、レインボータワー(新潟市)や美人林(十日町市)、長岡花火(長岡市)などの新潟県内の観光名所やイベントの魅力をどこにいても疑似体験することができます。

 

VR活用の現状

VRの活用状況

国内全体では、VRは多方面での活用が進み始めています。例えば、建設業では重機の操作体験や遠隔操作などを行なっている企業や、小売業ではVRを活用した売り場づくりに取り組んでいる企業などがあります。

一方、近年、新潟県内においてもVRを活用する動きがみられます。製造業では、自社製品を疑似体験するツールとして活用している事例や、住宅メーカーおよび不動産業では、モデルハウスや賃貸物件の内覧に活用するケースなどがみられます。しかし、国内全体に比べて活用企業の業種や活用範囲は一部にとどまっています。

 

県内のVR

 

また、調査レポートでは、県内において、いち早くVRを活用している事例として、株式会社リビングギャラリー様と株式会社ニイガタマシンテクノ様の活用事例を紹介しています。

 

VR普及に向けた課題

最後に、県内企業の活用事例などをふまえ、VR普及に向けた課題を整理しました。

(1)HMDの一層の普及

VR体験を行なうにはHMDの装着が不可欠ななか、HMDの普及はあまり進んでいないことから、手軽に自宅などでVRを体験できる一般消費者は少ないのが現状です。一般消費者がVRを体験できる場を提供していくことも重要と考えられます。

(2)活用事例の蓄積と展開

活用事例の蓄積と、さらなる活用の用途展開が重要と考えられます。さらに、支援機関なども活用事例に関する情報を収集・蓄積したうえで、新たに活用意向のある企業と、VR制作企業とを仲介していくことなども有効と考えられます。

(3)課題解決に向けたVRの活用

自社が抱える課題の解決方法の一つとして、VRの導入を検討していくことが重要であると考えられます。

 

最後に

今回VRの調査を実施してみて、VRには大きな可能性があると感じました。

その一方で、ビジネスにおける具体的な手段として活用することを考えた場合、既成概念にとらわれずに、自由な発想で活用法を探っていくことが必要だと感じたところです。ビジネスの活用には一工夫も二工夫も必要なような気がしますが、きっと数年後には、これまで思いつかなかったようなVRの活用法が確立されているかもしれません。

特に2年後には、東京五輪・パラリンピックが開催される予定であり、そこではVRを活用した観戦やプロモーションなどが行なわれる可能性があります。それを機に、爆発的にVRが普及することも考えられることから、今から消費者・企業ともVRに対する認識を深めていくことが必要と思われます。