売り手と買い手の思い違い?

 

こんにちは。新潟経済社会リサーチセンターの江口です。

さて、自己評価と他人からの評価は、なかなか一致しないものです。自己評価がみょうに高かったり低かったり、あるいは「えっ、そうなの?」と思うような点を他人から認められたり、改善を促されたりすることがあります。

これは商売でも同じです。経営者が自社の特徴だと思っている点と、お客様が良いと評価しているポイントが異なる場合があります。

私どもの機関誌「センター月報12月号」では、売り手と買い手の思いを一致させるためのヒントをご紹介しています。執筆は毎月、連載をお願いしているビシネス心理学講師 酒井とし夫です。

 

酒井とし夫先生 商売繁盛のヒント

 

お客様が真に求めているものとは?

酒井先生は「あなたが自社商品の強みや特徴やウリだと考えて訴求していることは、本当にお客様が欲しいと思っていることなのでしょうか?」と問いかけています。

 

売り手はAが自社商品の特徴だと考えている。でも、お客様はBの特徴を気に入って買っている…ということは往々にしてあります。

それを気づかずに売り手側がいつまでもAを中心にセールスを行っていても、何度も広告訴求を繰り返してもなかなか売れない。そして、「おかしい!なぜこんなに良い商品なのに売れないのだ?」となるわけです。

実は私も講演を始めた当初、自分の特徴は「知識やスキルや論理性」だと思っていました。

でも、何度か講演を行ううちに、「訴求ポイントがちょっと違うんじゃないだろうか」と感じ始めたのです。先のコンサルタントの言葉を借りるなら「もしかしたら私と参加者の思っていることは一致していないのではないか?」と思ったのです。
そんなとき、最も役に立ったのが感想文でした。下記は実際の感想文に書かれていたことです。

●「元気をもらいたい方にはこの方のセミナーはお勧めです。酒井さんのセミナーを受講すると、体中の血液が沸騰する感じで凄いパワーがでてきます」
●「2回目もあっという間の時間でした。より良い元気なパワーをありがとうございます!」

(中略)

自分では「知識やスキルや論理性」が強みだと思っていたのです。でも、感想文のどこにも「知識やスキルや論理性が良かった」とは書かれていないですよね。参加者の方が受け取り、認めてくださったものは「元気」とか「パワー」なのです。

ということは私が講演の主催者に「売上アップのための知識やスキルを論理的に紹介します」と営業、広告、販促活動を行っても食い違いが生じる可能性が高く、顧客満足度も下がる可能性が高いということ。

一方、「元気が出る商売繁盛講演会です。明日からまた頑張ろうというパワーが出ます」ということを訴求ポイントにした営業、広告、販促活動を行うと講演後には主催者も参加者も満足度が高まり、それによってリピートも増えるということになります。

極論ですが2時間の講演会でご参加の方が求めているものは具体的な知識やスキルではありません。それらは世の中に溢れています。やる気が出れば自分で勝手に学びます。そのきっかけとなる元気とパワーが欲しいのです。

酒井とし夫(2015)「街でみつけた商売繁盛のヒント 今すぐできる選りすぐりのアイデア 第57回」『センター月報』2015年12月号

 

読み終えて

冒頭申し上げたとおり、経営者が自社の特徴だと思っている点と、お客様が良いと評価しているポイントが異なる場合があります。

例えば、自分では納品の早さが特徴だと思っていても、お客様は納品の都度、改善に向けてきめ細かな提案をしている点を評価しているかもれません。また、自分では髪を切るテクニックの高さが特徴だと思っていても、お客様は髪を切ってもらっている時の会話が楽しくて来店しているかもしれません。

したがって酒井先生のように、時折、お客様にアンケートをしてみる、あるいは、やんわりと直接、尋ねてみるなどして、買い手の思いを知ってみるのも良いと思います。