大筋合意に至ったTPP11

 

新潟経済社会リサーチセンターの神田です。昨年11月、米国を除くTPP(環太平洋パートナーシップ)に参加する11カ国が、新たなTPP協定(TPP11)を締結することで大筋合意しました。

 

 

米国が離脱する前のオリジナル版のTPPのうち、医薬品の保護データ期間や著作権の運用期間など一部の項目を凍結するものの、関税撤廃や電子商取引(EC)のデータ流通、知的財産権保護といった日本企業が重視するルールについてはそのまま残すこととなりました。米国の離脱によりTPPの経済規模は当初より大幅に縮小しますが、アジア太平洋地域で新しい交易の軸となる初めてのメガ通商協定が誕生することとなります。

 

念のためTPP11を確認

TPP11とは日本をはじめ、カナダ、メキシコ、ペルー、チリ、ニュージーランド、オーストラリア、シンガポール、マレーシア、ベトナム、ブルネイの11カ国間で関税撤廃を進めて、貿易取引の活発化を目指す多国間の経済連携協定です。発効後は、モノの移動に関わる関税が撤廃・削減されることから、参加各国では貿易取引の拡大が期待されています。また、新興国を中心に金融などのサービスや投資規制が緩和されるほか、ビジネス目的での入国手続きの簡素化なども期待されています。

 

TPP11の発効はいつごろ?

TPP11の発効要件については、「参加11カ国のうち6カ国の最終合意・国内手続きで完了」とされたほか、オリジナル版TPPの「参加国の国内総生産(GDP)総額の85%以上」という条件は外されました。その理由としては、米国1国の離脱でTPP発効が行き詰まった反省を踏まえた措置とみられています。なお、早ければ2019年の発効を目指しています。

 

TPP11が及ぼす経済効果は?

政府の公表によると、TPP11発効による経済効果は、日本の国内総生産(GDP)を7.8兆円(1.49%)押し上げるほか、約46万人の雇用を新たに創出すると試算しています。ただし、GDPについては米国の参加を前提とした2015年時点の試算13兆6000億円と比べて4割減と大幅な落ち込みとなる模様です。

 

おわりに

今後は参加国における国内手続き等により、早期にTPP11発効を目指すことが目標となります。その一方で、当初目指していたアジア太平洋地域における包括的な通商ルールの構築には、米国のTPP復帰がカギになるともいえますので、今後の動向を引き続き注視していきたいと思います。