観光予報プラットフォームの使い方

観光予報プラットフォーム

こんにちは。新潟経済社会リサーチセンターの江口です。

さて、先日、本ブログ内で井門隆夫先生による「観光地のKPIの参考に!~観光予報プラットフォームの活用方法~」をご紹介しました。すると、「観光予報プラットフォームの具体的な使い方・操作方法を知りたい」との声をいただきました。そこで、今日はその使用方法についてお伝えいたします。

 

取り扱っているデータとは?

「観光予報プラットフォーム」とは、経済産業省がサービス産業の活性化・生産性向上を図るために、国内の宿泊履歴データ等や訪日した外国人の行動データを集約し、グラフ等で視覚化したものです。昨年12月から実証事業が開始され、当面の間は、誰でも無料に活用できるシステムとなっています。

また、取り扱っているデータについては、

日本全体の宿泊実績データのうち、6,575万泊以上のサンプリングデータ(店頭、国内ネット販売、海外向けサイトの販売)を抽出し、宿泊者数の実績、予測データを算出しております。

とされています。したがって、実測値をもとにした推計値である点には注意が必要です。

なお、データの提供元については、

サイト上に記載させていただいている場合を除き、各データ・情報のご提供元は非公開とさせていただきます。

となっているため、詳細は不明です。

以上から、推計値であるため正確性には欠ける可能性はあるものの、店頭・ネットの双方の販売データから推測しているため、宿泊施設全体のカバー率は相応に高く、傾向を知るには十分であると思われます。

 

操作方法…まずは会員登録

それでは、実際の操作方法や分析手法をみていきましょう。

まずは、こちらの経済産業省「観光予報プラットフォーム」(https://kankouyohou.com/)にアクセスし、会員登録をします。

会員登録すると、利用できるようになりますので、下の画像にある「会員登録」をクリックした後、適宜、必要な項目を入力して下さい。当然ながら「観光予報プラットフォーム」の利用や会員登録については、閲覧者ご自身責任においてご判断下さい。

観光予報プラットフォーム会員登録

仮に会員登録された場合は、上の画像にある「ログイン」をクリックして、アクセスしてみて下さい。

 

対象期間と対象地域の選択

ログインした後は、まず「対象期間」と「対象地域」を選択する必要があります。以下のように操作してみて下さい。

  • 「対象期間」については、左上のカレンダーをクリックして選択。
  • 今回は試験的に「2015年度」を対象期間とする。そのため、期間を「2015年4月1日」から「2016年3月31日」に指定。

マイページ

期間

続いて、「対象地域」です。

  • 画面の真ん中上にある「選択」をクリック。
  • 県名と市町村名を選択。
  • 今回は「新潟県」を代表する観光地の一つである「湯沢町」を選択。

地域

  • 「対象期間」と「対象地域」が揃ったら、右上の「更新」をクリック。これで分析作業の準備は終了。

更新

 

分析事例その1~宿泊者数の推移~

実際に分析作業を進めていきましょう。

  • 左のメニューバーから「観光実績」の「単純集計」をクリック。すると、正面に「単純集計」のグラフが表示される。
  • 表示されたグラフを上からの設定でみると、「グラフで見る」-「宿泊実績(単位:人)」。そして右が「日」となっているのを確認。

その結果、表示された下のグラフは2015年度の湯沢町における日別の宿泊者数を表したものです。最も人数の多い日が「12月30日」となっており、以下「12月31日」「12月29日」と年末の宿泊日が続きます。次いで、シルバーウィーク期間中だった「9月21日」が続いています。

単純集計

  • 続いて、右側のメニューで「日」を「月」に変更。
  • さらに、グラフ内の左メニューで「前年比」「一昨年比」をクリック。

すると、月ごとの宿泊者数が表示されます。好みもあるでしょうが、大まかな傾向を探るには「月」でみた方が理解しやすいようです。

宿泊実績

グラフによると、春季から秋季にかけては一昨年および前年に比べて宿泊者数が好調に推移したことがうかがわれます。ただし、冬季は小雪の影響からか前年を下回った模様です。

また、湯沢町はスキーヤーの利用が多い土地柄であるため、冬季が最も忙しい時期となっています。その一方で、6月が閑散期に当たるようです。

データだけで判断すると、繁忙期である冬季や夏休み期間中の8月を基準に考えれば、紅葉の美しい秋季の宿泊者数をより一層伸ばす余地があるのかもしれません。

なお、グラフ内の左メニューで「データを表示」をクリックすると、2015年度の宿泊者数が数字で表示されます。合計すると、2,578,924人となります。

宿泊人数

 

属性別の分析

今ほど確認した宿泊者数の推移を、年齢層・参加形態・居住地域・購入単価層などでみることもできます。ただし、「不明」が含まれていたり、分析単位が「人」ではなく「件」だったりする場合、宿泊者数の合計と、各属性別の分析結果の合計は必ずしも一致しないケースがあることには、注意した方が良いでしょう。

なお、操作方法はグラフの上部に「いつ・なぜ来ているの?」の下にある「「年齢層(単位:件)」「参加形態(単位:件)」「居住地域(TOP10)(単位:件)」「購入単価(単位:人)」へとそれぞれ選択します。

 

1.年齢層(単位:件)

年齢層別にみると、主力が「中年層」(40~59歳)であることが分かります。また、冬季を中心に「若年層」(20~39歳)も相応のボリュームを占めています。

一方、紅葉が見頃を迎える秋季には「老年層」(60歳以上)が増加傾向にあります。

参考までに、湯沢町から離れた新潟市にある温泉地・岩室温泉が含まれている新潟市西蒲区と比べてみると、スキーヤーの多い湯沢町では「若年層」(20~39歳)の割合が高い傾向にあることがうかがわれます。一方、「老年層」(60歳以上)の割合はやや低いようにもみえます。

年齢層別

▲湯沢町の年齢層

西蒲区・年齢層

▲新潟市西蒲区の年齢層

2.参加形態(単位:件)

参加形態別では、「家族」が夏季と冬季に大幅に増加し、春季と秋季に落ち込む様子がみられます。一方、「夫婦、カップル」は年間をとおしてほぼ一定数、お出でいただいていることが分かります。

参考までに新潟市西蒲区と比べると、湯沢町では「家族」の宿泊者数が多いという特徴がうかがわれます。

参加形態別

▲湯沢町の参加形態

西蒲区・参加形態

▲新潟市西蒲区の参加形態

 

3.居住地域(TOP10)(単位:件)

上位10都道府県までですが、居住地域別にみることもできます。

年間を通して最も宿泊者数の多い居住地域は「東京都」となっており、他地域に比べて特に多い人数となっています。一方、新潟市西蒲区では「新潟県」が主力となっており、湯沢町とは対照的なグラフとなっています。

居住地域トップテン

▲湯沢町の居住地域

西蒲区・居住地域

▲新潟市西蒲区の居住地域

なお、件数ではなく人数で居住地域を把握するには、次の操作をする必要があります。

  • 左のメニューバーを「単純集計」ではなく、「ランキング」をクリック。
  • 正面の画面に「ランキング」の画面が表示される。
  • 一番上に表記されている【「新潟県湯沢町」に宿泊しているランキングを見る】にチェックを入れる。
  • さらに、「見たいランキングを選択」について「居住都道府県(単位:人)」を選択し、「集計する」をクリック。

その結果、表示されたのが下の表です。これは年間の宿泊者数を都道府県別に多い順に表したものです。最も宿泊者数の多い都道府県が「東京都」。以下、「埼玉県」「神奈川県」「千葉県」と続いており、首都圏を中心とした「広域商圏型」の観光地であることが分かります。

ランキング都道府県

 

4.購入単価層(単位:人)

宿泊者数を購入単価層別にみると、当然ながら主力購入単価層は「10,000~29,999円」となっています。

また、年末・年始時期が含まれる12月~1月には「30,000~49,999円」「50,000~69,999円」の宿泊者数が増えています。

 

湯沢・購入単価層

▲湯沢町の購入単価層

西蒲区・購入単価層

▲新潟市西蒲区の購入単価層

 

分析事例その2~インバウンドの推移~

1.海外からの宿泊者数の推移

インバウンドの現状も分析できます。

  • 左のメニューバーから「観光実績」の「単純集計」をクリック。すると、正面に「単純集計」のグラフが表示される。
  • 表示されたグラフを上からの設定でみると、「グラフで見る」-「宿泊実績(単位:人)」。そして右が「日」となっているのを確認。
  • グラフの上部に「いつ・なぜ来ているの?」が表示されており、その下に「
  • さらに、グラフ左上の「前年比」「一昨年比」をクリック。
  • 加えて、右横の「日」を「月」に変更。

表示された下のグラフは月別のインバウンドの宿泊者数(2015年度)の推移を表したものです。

海外宿泊者数

グラフをみると、2015年度は8月と冬季に大幅に宿泊者数が増加していることが確認できます。

2.居住国別(TOP10)(単位:件)

海外からの宿泊者数の推移を居住国別にみることもできます。操作方法は次の通りです。

  • グラフの上部に「いつ・なぜ来ているの?」の下にある「「宿泊者(海外のみ)(単位:人)」を「居住国(TOP10)(単位:件)」に変更。

件数をみると、冬季に訪れる台湾や香港などが上位を占めています。

居住国

なお、件数ではなく人数で居住国を把握するには、次の操作をする必要があります。

  • 左のメニューバーを「単純集計」ではなく、「ランキング」をクリック。
  • 正面の画面に「ランキング」の画面が表示される。
  • 一番上に表記れされている【「新潟県湯沢町」に宿泊しているランキングを見る】にチェックを入れる。
  • さらに、「見たいランキングを選択」について「居住国(単位:人)」を選択し、「集計する」をクリック。

その結果、表示されたのが下の表です。これは年間の宿泊者数を居住国別に多い順に表したものです。最も宿泊者数の多い居住国・地域は「台湾」。以下、「香港」「シンガポール」「中国」「タイ」と続いています。これら海外の宿泊者数の合計は110,810人となっています。

なお、新潟県「平成 26 年度外国人宿泊数調査結果」によると、湯沢町の外国人延べ宿泊数は46,583泊となっています。調査方法や期間、単位が異なるため単純に比較はできないものの、「観光予報プラットフォーム」は比較的、湯沢町のインバウンドの動向を広く抑えていると推察されます。

ランキング居住国

 

まとめ

今回は、「観光予報プラットフォーム」の操作方法と分析結果を試験的にご紹介してみました。

使用した感想としては、①慣れると操作が簡単である、②速報性が高い、③地域別に細かに実態を把握できる、といった点がひじょうに優れていると感じました。

また、対象地域だけを分析するのではなく、他の地域との比較をすることで、より対象地域の特徴が把握できるようです。

新潟県内でも統計データを使って観光振興の検証をしようとする動きが出始めているので、そうした検証作業にも使える可能性があると思います。興味のある方は是非、経済産業省「観光予報プラットフォーム」にアクセスしてみて下さい。

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湯沢町以外の新潟県内の宿泊者数については、「宿泊者数の一番多い自治体はどこ?新潟県内の宿泊者数のランキング」をご覧下さい。