人前で話す・教える技術とは?

 

新潟経済社会リサーチセンターの江口知章です。

新年度がスタートしたということもあり、新入社員の方々を対象にした研修会をはじめ、講師を務める機会が相次いでいます。そこで今回は、研修を担当する中で試みた工夫や気づいた点、そして講義をする際に参考となる書籍をご紹介いたします。

 

研修会、講演会、セミナー講師

 

飽きずに眠くならない工夫とは?

特に新入社員研修などでは、仕事の現場経験がなく、業務知識が備わっていない状況で研修会に臨む受講者が当然ながら多くなります。したがって、私が話す機会の多い「マーケティング分野」など、研修テーマそのものに受講者自身の興味・関心がないケースもあるわけです。

したがって、いきなり講義の「本題」からスタートすることはしていません。そもそも「本題」に興味がない可能性もあるからです。

そこで受講者へクイズを出したり、質問をしたり、雑談をしたり、変わった事例を紹介したりすることから、講義を始めるようにしています。まずは、受講者の興味・関心を高めるわけです。

その後、紹介したクイズ・質問・雑談・事例から得られる教訓・知見を示した上で、講義の「本題」につなげて話し始めます。すると、会場の緊張感が薄まり、雰囲気も柔らかくなくなった中で、自然に講義を聴いてもらえやすくなります。

こうした講義の始め方については、過去の経験を踏まえて、試行錯誤を重ねた結果、今に至っています。実際、受講者の反応も良いのですが、その一方で「本当にこのやり方で良いのかな…」と不安な点もありました。

こうした中、「必ずしも間違っておらず、今のやり方の延長線上で工夫を続けていけば良いのだな」と安心できた書籍を読みましたので、以下にご紹介したいと思います。

 

寺沢俊哉氏著『人前で話す・教える技術』の感想

ご紹介する書籍は、寺沢俊哉(2017年)『人前で話す・教える技術』生産性出版 です。本書は複数人の前で、何かしらの講義をしなければならない人に向けて書かれたものです。講義の事前準備――受講者に配布する事前案内、テキストの作り方、会場のレイアウト――から始まり、講義の際の工夫――登壇前の準備、自己紹介のやり方、分かりやすい話し方、実習の進め方――まで、「ここまでこだわるのか…」と驚くくらいの様々なノウハウが学べます。

中でも、私自身が印象に残った点は、本書の「はじめに」に記載されている次の部分です。素晴らしい講義をする講師たちの特徴を著者が研究したところ、「ふたつのポイント」を発見し、それを示した箇所です。

 

ひとつめは、「対話」です。ライブ感あふれる講師は、全員、対話で研修を進めていました。たとえば、一方的になりがちな知識を伝えるタイプの講義でさえも「ここまで、ご理解いただけましたか」と丁寧に確認する。新たなテーマに話を移すときは、「◯◯について、どう思いますか」と質問で口火を切る。

さらに、聞き手が心の中で「◯◯がよくわからないなぁ」と感じていると、まるでそれを察したかのように

「◯◯については、わかりにくいかもしれないので、別の角度からも説明しておきます」と、無言のつっこみに答える形で進めていく。

(中略)

ふたつめのポイントは、「発見」です。参加者自身に、答えを発見してもらう。素晴らしい講師は、必ずそんな進め方をします。

(中略)

クイズを取り入れたり、研修ゲームを活用したり、どうしても、派手な実習に目が奪われがちですが、その本質は「参加者自身に答えを発見してもらう点」にあったのです。

 

寺沢俊哉(2017年)『人前で話す・教える技術』生産性出版 pp.5~6

 

話すテーマがどのような分野であれ、講義の本質を示している箇所だと感じました。示されているような講義レベルにはまだ達していませんが、「対話」と「発見」を十分に取れ入れた講義を目指していきたい!という今後の「目標」が明確になりました。

 

まとめ

今回、ご紹介した書籍を一読すると、「人前で話す・教える技術」が体系的に学べると思います。特に、すぐに役立つようなノウハウには目を奪われます。

ただし、示されたノウハウの背後には、「受講者の成長に貢献したい」「講師のレベルアップを応援したい」という著者の愛情や敬意が感じられます。どのような仕事でも、相手に対する愛情や敬意を忘れてはならないと改めて実感しました。