紅茶の消費動向は?地域別の消費量ランキング1位は川崎市…

 

新潟経済社会リサーチセンターの江口知章です。

先月、「ココアの消費動向は?地域別ランキング1位は那覇市…」という投稿をしました。その際、他の飲料――紅茶、緑茶、コーヒーなどの消費動向はどうなのか?と疑問を持ちましたので、それぞれの統計データを調べてみました。このうち、本日は紅茶の消費動向についてご紹介したいと思います。

 

紅茶 消費

 

紅茶の歴史

まずは、「紅茶」の歴史について確認しておきましょう。

日本紅茶協会のWebsiteによると、以下のように歴史が説明されています。

 

紅茶の樹は、紅茶やウーロン茶と同じツバキ科の常緑樹で、原種は中国の雲南省からチベット、ミャンマーにかけての山岳地帯に自生していたとされます。

お茶は、中国では有史以前からその葉を摘んで不老長寿の霊薬として珍重していたそうです。初期には薬として高貴な人々が飲用し、飲み物として一般化したのは6世紀以降。このような普及の仕方は、紅茶にもコーヒーにも共通しています。

ヨーロッパにお茶がもたらされたのは17世紀。海上貿易で世界に雄飛していたオランダによって、中国から伝えられました。それが18世紀のイギリス貴族社会で次第に人気を高めていったのです。

当時のお茶は緑茶でした。それが紅茶となった経緯については定説はありませんが、中国のウーロン茶系のお茶がヨーロッパ人の人気を呼び、製造業者が買い手の嗜好に合わせてその発酵を進めているうちに、強く発酵した紅茶が誕生したといわれています。

 

日本紅茶協会「紅茶の歴史」
http://www.tea-a.gr.jp/knowledge/tea_history/index.html
(2019年3月5日アクセス)

なお、日本に伝わった時代・経緯については、以下のように記載されています。

 

日本が初めて紅茶を輸入したのは明治20年(1887年)で、たったの100kgでした。その輸入は、原産地の中国からではなく、ヨーロッパ文化への憧れとしてイギリスから行われたのです。紅茶が、日本の茶の湯の伝統にも匹敵する舶来の文化として、上流社会でもてはやされたことはいうまでもありません。

かつては日本でも紅茶が生産されておりました。しかし、それは輸出品として生産されていたのです。第2次世界大戦後しばらくは輸入に割り当て制がとられていましたが、輸入が自由化された1971年以降、わが国で販売される紅茶は輸入品に切り替わりました。わが国の紅茶の消費は、ティーバッグの導入や缶入り紅茶ドリンクの開発などを契機に、飛躍的に増加しました。

 

日本紅茶協会「紅茶の歴史」
http://www.tea-a.gr.jp/knowledge/tea_history/index.html
(2019年3月5日アクセス)

日本に輸入された最初の紅茶が100kgということは、大人1~2人程度の重さだった訳です。それが今や日本中の人々に飲まれるまでに広まっています。何事も最初の一歩は小さくとも重要なのだと改めて感じます。

 

消費動向

それでは、紅茶の消費動向を確認してみましょう。

紅茶の消費動向については、総務省『家計調査』を使って確認していきます。なお、「家計調査」の見方については、こちらの投稿をご確認下さい。

 

年間支出金額の推移

紅茶に対する1世帯当たりの年間支出金額は、このところ700円~800円前後で推移しています。長期的にみると横ばい、あるいは若干の低下傾向で推移しています。

 

紅茶の消費金額

 

なお家計調査をみると、紅茶は「茶葉のみ」となっており、「セイロン、ダージリン」「中国(鉄観(冠)音)、ウーロン茶 プーアール茶など」が含まれています。したがって、ドリンクタイプの紅茶は除かれています。具体的には、紅茶や緑茶、ウーロン茶、麦茶などのドリンク(液体)は全て「茶飲料」として別途、まとめられています。

また、同じく茶葉のみである緑茶と比べると、2017年で紅茶は緑茶の1/6程度の金額となっています。

 

紅茶と緑茶の消費金額の推移

 

月別の支出金額

次いで、月別の支出金額を確認してみましょう。

下のグラフのとおり、ホットで飲む場合が多いので当然ながら夏に支出金額が減り、冬に増加しています。特に12月の支出金額が大きくなっており、支出金額の1番低い9月の約2倍となっています。

 

紅茶の月別消費金額

 

年代別の支出金額

続いて、2017年の支出金額を世帯主の年齢階級別にみると、大きな違いはみられませんが、「50~59歳」で支出金額が最も多くなっています。次いで、「~29歳」が続くなど、幅広い世代で飲まれているようです。

 

紅茶の年代別消費金額

 

地域別の消費ランキング

参考までに1世帯あたりの年間支出金額(2015年~2017年平均)を都道府県庁所在市(政令指定都市を含む)別¹にまとめたものが下の表です。

 

紅茶の地域別・都道府県別消費金額

 

支出金額では横浜市、数量では川崎市が1位となっており、神奈川県の自治体が上位となっています。その他では東京都区部、神戸市、奈良市などの支出金額・数量も多いようです。

なお、私たちの会社がある新潟市は支出金額で37位、数量で47位となっており、下位にとどまっています。新潟県村上市では「村上茶の紅茶」が作られていますので、より多くの人に紅茶に楽しんでもらいたいものです。なお、村上市観光協会「村上茶の紅茶 ~ 世界でも愛飲された、村上茶の紅茶 ~」によると、次のような歴史が紹介されています。

 

江戸時代の末、横浜港が開港すると、生糸とお茶が対外貿易の花形になります。明治2(1869)年、村上茶も茶業商を通じて販売を開始。明治5年には横浜に「取扱所」を設けます。

明治時代、お茶の主な輸出先はアメリカでした。アメリカでは一時、緑茶と紅茶が人気を二分しますが、次第に紅茶が好まれるようになります。それを受け、明治11(1878)年には村上でも紅茶が作られるようになったのです。

明治・大正と活況を呈した茶業界ですが、敗戦を経て次第に衰退。村上茶の紅茶も姿を消します。

それから数十年の時が流れて今、村上茶の若い担い手が古い文献等をひも解き、村上茶の紅茶を復活させました。今では数軒のお店で、それぞれの村上茶の紅茶が作られています。

 

村上市観光協会「村上茶の紅茶 ~ 世界でも愛飲された、村上茶の紅茶 ~」
https://www.sake3.com/murakamicha/44
(2019年3月5日アクセス)

 

 

他の飲料との比較

最後に、紅茶の100世帯当たりの購入頻度と1世帯当たりの年間支出金額を参考までに他の飲料と比べてみました。

下の図のとおり、購入頻度、年間支出金額とも他の飲料に比べて低くなっています。

 

緑茶・コーヒー・紅茶・ココアの購入頻度と支出金額

 

輸入動向

念のため、最後に日本の紅茶輸入量も確認しておきましょう。財務省「貿易統計」をもとに日本紅茶協会がまとめた資料をみると、輸入量は2010年頃と比べればやや低下していますが、近年はほぼ横ばいで推移しています。先程、確認した紅茶の「消費動向」と概ね同じような動きとなっているようです。

 

紅茶の輸入量

 

感想

茶葉のみとはいえ、紅茶はもう少し多くの人に飲まれているものと思っていましたので、やや意外な結果に感じられました。また、「村上茶の紅茶」は以前から飲んでいたものの、その歴史までは知りませんでした。こうした歴史に触れることができ、その価値を再認識する良い機会となりました。

 

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¹都道府県庁所在市(政令指定都市含む)の結果はサンプル数が少ないため、参考として記載しました。必ずしも実態を反映しているとは限りませんので、ご注意下さい。

²今回の投稿では、日本紅茶協会のWebsite「紅茶のデータ」
<http://www.tea-a.gr.jp/knowledge/tea_data/index.html>
を活用させていただきました。この場を借りて感謝申し上げます。