「食べないと飲まナイト」の実践者が語る地域活性化の方法とは?

 

お酒は好きですが、さほど強くない新潟経済社会リサーチセンターの江口です。

さて、地元飲食店の食事とお酒を食べ歩き、飲み歩くイベントが全国各地で開催されています。いわゆる「バル街」や「はしご酒大会」などと呼ばれるイベントです。

新潟県内でも開催されており、調べてみると…

などがあるようです。

こうした中、先日、越後湯沢温泉通商店街の視察研修の一環で、食べ歩き、飲み歩くイベント「食べないと飲まナイト」を企画・運営している前川弘美先生のご講演を聞かせていただきました。

一緒に聴講した飲食店主から「とっても楽しかった♫」「久しぶりに最後まで寝ないで聞けた講義だった!」といった感想が聞かれるなど、とても刺激的な講義でしたので、そのポイントをご紹介いたします。

 

食べないと飲まナイトの公式ページ

▲食べないと飲まナイトの公式ページ

 

バル街とは?はしご酒大会とは?

そもそも「バル街」や「はしご酒大会」とは、どのようなもので、いつ頃から盛んになってきたのでしょうか。

フリー百科事典「ウィキペディア」によると、

バル街(ばるがい・ばるまち)はチケット制の飲み歩き・食べ歩きイベントのこと。「バル街」の他に「街バル(まちばる)」、「街なかバル(まちなかばる)」、「バルチケ(ばるちけ)」、「バルチケット(ばるちけっと)」など様々な名称があり統一されていない。

イベントの主催者から前売りの飲食チケットを購入し、イベント開催期間中に複数のイベント参加店をハシゴして飲み歩き・食べ歩きする。

当イベントは主に地域および地域飲食店の活性化などの目的で日本全国で開催されている。

発祥は2004年函館西部地区で、函館西部地区バル街実行委員会が商標登録をしている。

バルとはバール(bar )のことで、南ヨーロッパで簡易食堂や軽食喫茶店、居酒屋などを指す言葉である。

「バル街 (イベント)」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。

2015年9月6日 (日) 12:53 UTC、URL:http://ja.wikipedia.org/

と説明されています。

また、はしご酒大会については、

はしご酒大会の実態はさまざまであり、数軒を巡ってお酒を飲みゴールする時間を競うものもあれば、お酒を楽しむことだけが目的の場合もある。著名なものとしては札幌すすきの祭りの前夜祭として開催される「すすきのはしご酒大会」や、小樽市の「小樽はしご酒大会」などが挙げられる。

こうしたはしご酒大会の発祥は、北海道の岩見沢市で開催されている『いわみざわドリンクラリー』(北海道観光社交事業協会岩見沢支部主催)と言われており、開催回数を見ても、いわみざわドリンクラリーは著名なはしご酒大会の倍以上となる24回目を数えている。また、岩見沢市と同じ空知地方に属する砂川市の「夜の酔人(スイート)ロードはしご酒大会」も23回と開催回数が多い事から、空知地方に強く根付いた文化との見方もできる。

「梯子酒」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。

2015年6月16日 (火) 00:42 UTC、URL:http://ja.wikipedia.org/

と説明されています。

一方、前川氏が企画・運営している「食べないと飲まナイト」は、そのウェブサイトによると、

「自店の常連さんを近隣の飲食店に紹介することで街全体を知ってもらい、さらに、これまで街に来たことのなかった人を数多く集客することで地域の活性化につなげよう」という街おこしの目的も兼ねたイベント

とされています。また…

参加店はお客様から提示された1チケットに対し『たべのまセット』を1セット提供すること。『たべのまセット』とは1ドリンクとおつまみのセットで、お客様がお得でおいしい・また来たいと思える料理

を楽しめるイベントです。

「食べないと飲まナイト」は、2011年5月に都内の上野仲町・湯島でスタートした後、広島、都内の神楽坂、赤坂、そして鳥取へと拡がり、これまでに合計で26回開催。集計の終わった22回までの参加者数が約13万人を超えるイベントに成長しています。

なお、イベント開催時の様子は、「食べないと飲まナイト in 上野仲町・湯島」のFacebookページをご覧下さい。

 

前川弘美氏の講演内容

前川氏は上野仲町で飲食店を6店舗運営している経営者です。自社の飲食店および周囲を巻き込んだ地域活性化の取組内容と、企画・運営する際の工夫、苦労した点、良かった点などについて、お話を聞かせいただきました。その概要は以下のとおりです(講師ではなく、あくまでも私なりの解釈です)。

=====

◆地域を元気にしようと思った時、まず自分自身の店を繁盛させる。次に地域活性。繁盛店の方が周囲にも理解を得やすいと考えた。

◆しかし、飲食店1軒だけで頑張っても所詮は点である。点では大きな街に飲み込まれてしまう。

◆「食べないと飲まナイト」のようなイベントをする場合、お互いの常連さんを近隣店に紹介し合おうという大らかな考え方を参加店同士で共有することが大切。

◆もし、違うエリアにお客様が行くのなら、近隣店で楽しんでもらった方が良いとの認識が浸透すれば、飲食店1軒ではできない新規客の集客を街全体で実現できるようになる。

◆1回のイベントで利益を出そうとしてはダメ!あきらめたり、ブレたりすることなく、時間をかけながら続けていくことが重要。

◆しかし、利用者数・平均利用店舗数などのデータは詳細に把握し、絶えず改善する仕組みは不可欠である。また、パンフレットのデザインなど、自分たちでおこなえることは自分たちで賄い、できるだけ外注に頼らないで、コストを抑えた方が良い。

◆ネーミングは分かりやすさを意識して、「食べないと飲まナイト」とした。格好良さを意識せず、伝わりやすい言葉に重点をおいた。

◆最初はエリアを狭くして始めた方が良い。知らない土地はお客様には分かりにくい。分かりやすい範囲で紹介した方が良い。

◆閑散期に開催した方がより多くの飲食店の協力が得られやすい。

◆飲食店からは参加費をいただいている。無料ではなく参加費制の方が各飲食店のモチベーションがより一層、上がると思う。

◆「たべのまセット」の料理には原価をかけてもらった方が良い。その1品で評価されるので、相応のクオリティが必要である。

◆来てもらいたいターゲットのイラスト・写真を販促物に掲載する。すると、そのとおりのターゲットが来てくれるようになる。

◆地域を元気にしようと思ったならば、自分を取り巻く環境を嘆いているだけでは何も変わらない。自分でできることから始めるしかない。やれることを見つけて行動した方が良い。

=====

以上が主なポイントです。優しい語り口ながらも、芯の通った講義に清々しさを感じる、とても良い時間となりました。

 

前川弘美先生の講演の様子

 

聴講してみて~地元愛を持ったリーダーが鍵~

講義では、前川氏が地域活性化に取り組むに至った経緯、そして活性化に向けた自分の想いを、時に心が折れそうな出来事に遭遇しても挫けることなく、周囲の賛同を得ながら実現させていく過程(講義の前半部分)が特に参考になりました。

聞いている私自身がドキドキ・ワクワクしながら、まるで一緒に「食べないと飲まナイト」の実現に向けて奮闘している錯覚に陥りました。恐らく、自分自身の過去の経験と重なる部分あったからだと思います。

その一方で、「地域活性化には、強烈な地元愛と、へこたれない強い心を持った強力な1人のリーダーが必要なのだなぁ」と改めて感じました。前向きに捉えれば、多少、嫌なこと、面倒なことがあっても、自分の住む場所を良くしようと考え、行動する人がたった1人でも想いを込めて周囲を巻き込んでいけば地域が劇的に変わる、ということを学ばせていただきました。

 

講義後の「食べないと飲まナイト」に参加してみて…

前川氏の講義後、講師を囲んで他の聴講者たちと「赤坂 食べないと飲まナイト」を一緒に体験してきました。

「はしごって、せわしないのかな?」と不安なところもありましたが、むしろ「次は何処の店に行こう?」とワクワクできるイベントでした。「赤坂 食べないと飲まナイト」の場合は、前売りで1部/3,500円(税込)[700円×5枚]で5軒回れるのですが、5軒では足りず、6軒目に足を運んだ聴講者もいらっしゃったようです。

なお、「食べないと飲まナイト」に興味を持たれた方は、公式サイトをご覧下さい。特に、同様のイベントを開催しようとしている方にとっては、「開催希望の方へ」のページが参考になると思います。