新潟県における事業承継の現状と好事例その2~「事業譲渡」は1割強の企業が『関心あり』~

 

新潟経済社会リサーチセンターの銀山です。

本日は「事業承継に関するアンケート調査」などの内容をシリーズでお伝えしている「新潟県における事業承継の現状と好事例」の第2回目をお伝えしたいと思います。

 

 

近年、後継者不足問題が大きく話題になるなか、事業譲渡が事業承継の一つの手段として認知されてきています。そこで、今回は事業を他社などに引き渡す「事業譲渡」に対する関心について新潟県内の企業に尋ねた結果をご紹介いたします。

 

事業譲渡に対する関心-「事業承継を予定しているが、後継者が決まっていない」先の2割半ばが『関心あり』-

県内企業に事業譲渡に対する関心について尋ねると、「関心がある」と「やや関心がある」を合わせた『どちらかといえば関心あり』の割合は13.2%となりました(図表1)。一方、「あまり関心がない」「関心がない」を合わせた『どちらかといえば関心がない』の割合は86.8%となりました。

 

図表1.事業譲渡に対する関心

 

また、事業譲渡に「関心がある」と「やや関心がある」を合わせた『どちらからといえば関心あり』の割合を事業承継の予定別にみると、「事業承継を予定しているが、後継者が決まっていない」先が24.2%と最も高く、以下、「事業承継は当面予定していない」先(12.6%)、「事業承継を予定しており、後継者も決まっている」先(6.2%)の順となりました。

 

事業譲渡を想定した場合の課題-「役員・従業員の雇用確保」がトップ-

事業譲渡に対して『どちらかといえば関心あり』と回答した企業に、事業譲渡を想定した場合に課題と感じる事項について尋ねました。回答数は少ないものの、参考までにその結果をみると、「役員・従業員の雇用の確保」の回答割合が61.5%と最も高く、以下「会社の発展が期待できるか」(44.6%)、「役員・従業員からの理解」(40.0%)、「借入や債務保証の整理」と「買い手企業をみつけること」(各36.9%)などの順となりました(図表2)。

 

図表2.事業譲渡を想定した場合の課題

 

まとめ

事業譲渡に『どちらかといえば関心あり』とした割合は、県内企業全体では13.2%にとどまったものの、「事業承継を予定しているが、後継者が決まっていない」先では24.2%となり、全体を11.0ポイント上回りました。

経営者の高齢化が進んでいることを勘案すると、今後、後継者が不在の企業を中心に、事業譲渡が事業承継の1つの手段としてより一層関心を集めていくとみられます。

また、事業譲渡を想定した場合の課題では、「役員・従業員の雇用確保」が61.5%となりトップとなりました。永年、苦労をともにした従業員の雇用維持が一番に懸念されることは当然のことだと思います。

今回、当センターでまとめた「事業承継に関するアンケート調査」では、事業譲渡を上手く行なった事例も取り上げています。その取材の際、事業を譲渡した前社長が「従業員の雇用維持は一番の懸念事項でしたが検討時間をしっかりと取り、余裕を持って相手先を決め交渉することで、従業員の雇用を守ることができました」と、お話されていたことが印象的でした。

次回は、「事業買収に関する関心」について、お伝えしたいと思います。

なお、他の事業承継に関するアンケート調査の結果や、事業譲渡の事例は、当センター発刊「センター月報6月号」に掲載しております。ぜひご覧になってみてください。