「スポーツツーリズムによる地域活性化」に関する調査レポートをまとめました

 

新潟経済社会リサーチセンターの神田です。近年、少子高齢化・人口減少が進むなか、国内外からの旅行消費の増加や交流人口の拡大を推進する観光振興には、地域社会の活力を高める役割が期待されています。そうしたなか政府は、地域のさらなる活性化に向け、観光とスポーツを融合させ、地域観光の振興を目指す取り組みであるスポーツツーリズムを推進しています。

 

 

そこで今回は、スポーツツーリズムの推進に向けた取り組みやスポーツツーリズムの類型についてご紹介したいと思います。なお、詳しくはセンター月報3月号 スポーツツーリズムによる地域活性化をご覧ください。

 

スポーツツーリズムとは

スポーツツーリズムとは、スポーツを『観る』『する』ための旅行や周辺地域の観光のほか、地域でスポーツを『支える』人々との交流などを含んだスポーツに関連する様々な旅行スタイルのことです。日本には、プロ野球やJリーグをはじめとしたハイレベルな競技を観戦する『観る』スポーツがあります。また、地域の自然環境を活用したサイクリング、トレッキング、スキーなどを体験する『する』スポーツも存在します。

 

 

さらに、スポーツ合宿の誘致や大会の運営、地域密着型のチームの支援などを行なう『支える』スポーツがあります。こうしたスポーツツーリズムの推進により、地域観光の振興を図ることで、旅行消費の増加や交流人口の拡大が見込めるほか、地域のスポーツ振興などの効果が期待できます。

スポーツツーリズムの推進に向けた取り組み

1.政府等の取り組み

2011年、政府はスポーツツーリズムの推進に向け、スポーツを活用した観光まちづくりやスポーツツーリズムに関連した人材の活用などを盛り込んだ「スポーツツーリズム推進基本方針」を取りまとめました。その後、同方針に基づいて発足した「一般社団法人日本スポーツツーリズム推進機構」では、スポーツイベントの開催支援や先進事例を紹介するシンポジウムの開催などを通してスポーツツーリズムの全国的な普及拡大を図っています。

 

2.スポーツコミッションの設立

近年、スポーツツーリズムの活性化とスポーツによる地域活性化の推進主体であるスポーツコミッションが全国各地で設立されています。スポーツコミッションは、自治体、企業、スポーツ団体などの地域内外の関係機関と連携し、スポーツイベントの開催やスポーツ合宿の誘致などを行なうことで、地域を活性化させる役割を担っています。なお、新潟県内には「一般財団法人佐渡市スポーツ協会」「十日町市スポーツコミッション」「新潟市文化・スポーツコミッション」の3団体が設立されており、都道府県別にみたスポーツコミッションの組織数は全国で8番目に位置しています。

 

 

スポーツツーリズムの類型

スポーツツーリズムを取組内容により整理すると、地域のトップアスリートやチームを市民、企業、行政で支えることで交流人口の拡大を目指す「①ホームタウン型」、様々なスポーツイベントの開催を通して選手や観戦者を集める「②イベント開催型」、スポーツキャンプ・合宿の場を提供することで宿泊などの経済効果の拡大を図る「③キャンプ・合宿型」、地域の自然環境や気候条件を生かしてアウトドアスポーツの活動の場を提供することで誘客を促進する「④リゾート型」の4つに分類できます。

 

 

新潟県内をみると、「①ホームタウン型」では、長岡市に拠点を置くプロバスケットボールチームである「新潟アルビレックスBB」と市民、企業、行政が連携する「バスケのまちづくり」があります。

「②イベント開催型」では、一般財団法人佐渡市スポーツ協会を事務局とした「スポニチ佐渡ロングライド210」などのスポーツイベント事業の取り組みがみられます。

「③キャンプ・合宿型」では、十日町市スポーツコミッションによるサッカークロアチア代表(U17)のスポーツ合宿の誘致などが実施されています。

「④リゾート型」では、湯沢町などで自然環境を生かしたスキーやスノーボードを目的とする観光客の誘客が行われています。

 

まとめ

2019年のラグビーワールドカップや20年の東京オリンピック・パラリンピック開催などにより、スポーツへの関心の高まりが予想されるなか、県内におけるスポーツツーリズムの取り組みが進展し、地域活性化の起爆剤となることを期待したいと思います。