副業を希望する人の割合は?


新潟経済社会リサーチセンターの小林です。

以前投稿した記事(深刻さを増す人手不足)において、人手不足の現状と先行きについてご紹介したところです。この人手不足への対応策として、多くの企業では生産性向上や定年延長、女性・高齢者の活躍促進、外国人労働者の採用 などの様々な取り組みが模索されているようです。

その一方で、既存の従業員の満足度の向上やスキルアップを支援することで、定着率を高めようとする企業もあるようです。この従業員の満足度向上やスキルアップ支援の一環として、副業・兼業に注目する企業も増え始めているようです。そこで、本日は副業・兼業の現状について、ご紹介いたします。

 

副業

 

 

1.厚生労働省のモデル就業規則が改定

中小企業庁が実施したアンケート調査の結果をみると、従業員の兼業や副業を「推進している」企業は皆無で、「推進していないが容認している」企業(14.7%)が約15%となっています。残りの約85%が「認めていない」としています。この調査は2014年に実施されたものですから、兼業・副業を認める企業は少数となっていますが、足元では推進または容認する企業は増加している可能性もあります。実際、民間企業が実施した同種の調査結果をみると、兼業・副業を推進または容認している企業の割合はいくらか増加しているようです。

 

 

 

また、厚生労働省では平成30年1月に、同省が提示しているモデル就業規則において、「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定を削除し、以下のような規定を新設しています。この条項は、あくまでモデル規定であり、各企業の事情に応じた兼業・副業の対応が進められることと思いますが、今後企業が兼業・副業を検討する際の推進・容認の後押しになると思われます。


(副業・兼業)
第68条  労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出を行うものとする。
3 第1項の業務に従事することにより、次の各号のいずれかに該当する場合には、会社は、これを禁止又は制限することができる。
① 労務提供上の支障がある場合
② 企業秘密が漏洩する場合
③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
④ 競業により、企業の利益を害する場合


(資料)厚生労働省「モデル就業規則(平成31年3月)」



2.副業・兼業を希望する人も増加傾向

一方、働く人たちのなかで、副業・兼業を希望する人はどのくらいいらっしゃるのでしょうか?厚生労働省「就業構造基本調査」において、「有業者」のなかの「追加就業希望者」を副業・兼業を希望する人として、その実数と有業者全体に占める割合をみてみました。全国では、副業・兼業を希望する人は年々増加傾向にあり、2017年には4,244千人となっています。有業者全体に占める割合も年々上昇しており6.4%となっています。

 

副業 全国

 

同様に新潟県についてみてみると、1992年から2012年にかけては、副業・兼業を希望する人は概ね横ばいで推移していましたが、12年から17年にかけて12千人増加の59千人となっています。また、有業者全体に占める割合も急上昇しています。ただし、この割合は全国に比べるとやや低くなっています。

 

副業 新潟県

 

 

3.副業・兼業を通じて起業を目指す場合も

中小企業庁「兼業・副業を通じた創業・新事業創出事例集」をみると、実際に兼業・副業に取り組む人たちの具体的な事例が紹介されています。事例集に掲載されている人たちは、人手不足への対応や収入を増やすことを目的とするよりは、これまでのスキルを活用して社会に還元する、または本業との相乗効果を発揮しながら副業で起業を志すといった人たちが多くなっています。兼業・副業を通じて、社会的な課題の解決や新規の商品開発やサービスの提供などにつながる新規起業の促進も期待できることが推察されます。



4.まとめ

企業サイドからすると、自社の従業員の兼業・副業を認めることは、本業へのマイナスの影響や情報漏えいなどのリスクを抱えることになります。その一方で、兼業・副業を認めることは、冒頭にも記載のとおり、従業員の満足度向上やスキルアップを促進し、定着率を高めることが期待されます。さらには、本業で培った技術やノウハウ、知見を活用したいと思う人にとっては、副業を通じて社会的な課題の解決や新規起業を後押しとなるようです。

新潟県は、全国的にも開業率が低いと言われていますが、副業・兼業を通じた新規起業に注目していきたいと思います。