信濃川の河川敷地にカフェがオープン! 新潟市における水辺の賑わい創り

 

新潟経済社会リサーチセンターの佐藤です。

2016年6月から7月にかけて、新潟市内の信濃川河川敷地に、ビールやおでん、やきとり、ラーメンなどを提供する11店のカフェや飲食店がオープンしました。これまで、国や県が管理する河川敷地で民間企業や個人が営業活動を行うことはできなかったのですが、国の規制緩和により可能となったものです。河川敷地における規制緩和の経緯や緩和による効果、さらに今後の可能性などについて新潟市(まちづくり推進課)の担当者にお話を伺いましたので、その内容を本日はお伝えいたします。

 

やすらぎ堤

▲信濃川河川敷「やすらぎ堤」のカフェ

 

河川敷地の活用

従来、国や県が管理する河川敷地に施設を設置したり活用することは、地方公共団体や電力会社などの公共性・公益性を有する者に限られていました。しかし近年、河川敷地を賑わいのある水辺空間として積極的に活用したいという要望が増加してきたことなどを踏まえ、2004年、京橋川(広島市)、道頓堀川(大阪市)、那珂川(福岡市)など全国8カ所において、民間業者が河川敷地で営利活動を行う社会実験が行われました。国や県が管理する河川敷地内で、民間企業が営業活動を行える道が開け始めたのです。

一方、2010年5月に取りまとめられた国土交通省の成長戦略では、行政財産を商業目的に利用して民間の成長を支援することを目指し、河川空間のオープン化が提言されました。自然豊かで貴重なオープンスペースである河川敷地において、適正かつ多様な取り組みを一層推進し、人々の河川への親しみを醸成しようとするものです。

前述の8カ所での社会実験の成果も踏まえ、全国のどの地域でも河川敷地の活用に取り組めるよう規則改定の準備が進められ、2011年3月には以下の手順により民間企業が河川敷地で営業活動を行うことが全国的に可能となりました。

=====

① 河川管理者(国など)、地方公共団体、民間団体などで構成される協議会での検討を通じ、河川敷地の利用について地域の合意を図る。

② 地方公共団体などが、河川敷地を占有する主体、占有区域、占有施設の活用方針などを定め、河川管理者に申請を行い、河川敷地占有の許可を得る。

=====

河川敷地に設ける施設については、広場や遊歩道、船着場などとともに、それらと一体をなす飲食店、オープンカフェ、照明・音響設備、看板なども認められることとなりました。さらに、地方公共団体など、河川管理者から占用許可を受けた主体は、営業活動を行う事業者に施設を使用させることもできることとなりました。

これらの改定により、地方公共団体が、民間事業者を募集し、その事業者が河川敷地に店を構えて飲食を提供することが可能となったわけです。

 

やすらぎ堤での取り組み

新潟市においても、この規制緩和を活用し、「やすらぎ堤」(注)において水辺の賑わいを創出しようとする取り組みが次のように進められました。

(注) やすらぎ堤 新潟市の中心部を流れる信濃川の両岸。緑化され、市民の憩いの場となっています。

16年1月 「信濃川やすらぎ堤利用調整協議会」が設けられ、河川敷地の活用方法や民間事業者選定の方針などについて検討が始められました。協議会は、河川管理者である国土交通省(信濃川下流河川事務所)のほか、新潟市、地区のコミュニティ協議会、新潟商工会議所などの有識者で構成されています。

16年2月 新潟市から国土交通省へ「都市・地域再生等利用区域」の指定について要望し、萬代橋から八千代橋間のやすらぎ堤約18haが指定を受けました。

16年5月 新潟市が、やすらぎ堤で飲食店やカフェなどを出店する事業者を公募。

16年6〜7月 公募で選定された事業者が順次営業を開始しました。

カフェなどがオープンして1カ月が経過した16年8月、ミズベリングやすらぎ堤研究会と新潟市が「やすらぎ堤」における歩行者・自転車の通行量調査を行ないました。河川敷地にオープンしたカフェや飲食店が、どれくらい利用されたのか大いに気になるところです。

 

信濃川右岸(上の写真参照)30分毎の人・自転車の通行量

▲信濃川右岸(上の写真参照)30分毎の人・自転車の通行量
(資料提供:ミズベリングやすらぎ堤研究会、新潟市)

 

平日(グラフ青線)は17時以後に通行量が増え、21時過ぎまでの間、30分毎通行量が100人を超えています。18時〜19時の通行量が特に多いのは、仕事帰りに一杯やりに訪れる方が多いためと思われます。休日(グラフ赤線)も、平日のようなピークはみられないものの、やはり16時以後に通行量が増え、21時頃まで通行量が多い状態が続いています。

日中の通行量は休日の方が若干多いものの、平日と大きな差はありません。調査を行ったのは8月の猛暑時期でした。気候が良い時期は休日の日中通行量はもっと伸びるものと思われます。

また、次のグラフは、今般16年8月の通行量を規制緩和前の14年7月の通行量と比べたものです。どの時間帯も今般の通行量が前回を上回っており、特に16時以後の通行量が大きく伸びているのが印象的です。

 

2016年8月、2014年7月 通行量比較

▲2016年8月、2014年7月 信濃川右岸側・通行量比較
(資料提供:ミズベリングやすらぎ堤研究会、新潟市)

 

規制緩和による河川敷地の活用により水辺に賑わいが生まれ、特に夕暮れ時以後は飲食関連の消費が喚起されているのは間違いなさそうです。

新潟市によると、カフェや飲食店の延利用者数は、7月は12千人(平日5千人、土日祝日7千人)、8月は10千人(同5千人、5千人)でした。8月の利用者がやや少なかったのは、新潟祭り期間中は混乱を避けるために休業としたことや台風の影響などで営業日数が少なかったことによるものです。今般の取り組みの評価をまとめるのは少し先になりますが、出店した11業者全員が「来年も出店したい」 としていることからも規制緩和による河川敷地活用の効果がうかがわれます。

 

夜のやすらぎ堤

▲近隣の人やサラリーマンで大いに賑わう(写真提供 新潟市)

 

まとめ

今回の取り組みは試行の位置付けであり、9月末で大半の業者が店を閉じました。出店した業者や来場者の意見を参考として来年以後の取り組みの検討が行われる予定です。市の担当者によると、来場者には概ね好評だったものの、周辺住民ややすらぎ堤を散歩などで使っていた市民などから、騒々しくなった、通行しにくくなったなどの意見も出ているそうであり、調整が望まれるところです。

市の担当者は、来年は河川敷地の活用全般について企画・マネジメントを行う民間業者を募り、その会社と協議しながら、賑わい創出の工夫や出店者の募集などを進めたいとしています。景観と調和するテナントの形態、飲食以外の可能性、冬期間の利活用、水場やトイレなどの設備の要否など、検討を行う点は多いとしています。河川敷地占有に関する規制緩和を十分に活用し、やすらぎ堤にさらに大きな賑わいが生まれることを期待したいです。

 

=

 

『センター月報』2016年12月号の「潮流 県内最新トピックス 第9回」を加除修正いたしました。