テレワーク、ワーケーション、ブリージャー…変わる!これからの働き方

 

新潟経済社会リサーチセンターの江口知章です。

私どもの機関誌「センター月報」では、毎月、井門観光研究所の井門隆夫先生より、地域活性化や観光振興などに役立つヒントやアイデアなどをご紹介いただいております。

今月の「センター月報8月号」では、都市と地方の両方をベースとして働く「マルチ・ベース」について、ご説明いただきました。本日はその原稿の一部をご紹介いたします。

 

井門隆夫氏 観光イノベーション

 

 

これからの働き方~マルチ・ベースとは~

 

世界中の国々で「働き手(生産年齢人口)」が減少し始めた今世紀は、「労働生産性向上の時代」だと先月号で紹介した。経済成長に必要なGDP(国内総生産)は「生産年齢人口×労働生産性」で表されるため、生産年齢人口減少の時代に経済成長するためには「労働生産性の向上」が不可欠。昨今、さかんに「AI(人工知能)」等のテクノロジーの必要性が説かれているのも、働き手が減少するなかで労働生産性向上に直結するためである。

世界で最も早く、20年前(1995 年)に働き手が減少し始めた日本では、女性の一層の社会進出、定年後の高齢者の再雇用促進、外国人労働者の採用など、様々な手法で働き手の確保を行い、労働生産性を維持・向上させてきた。しかし、より高い生産性を求めて人々は都市に集中するようになり、地方創生がさけばれるようになった。

この状況を打開し、地方創生を進めるためには一朝一夕では立ち行かない。抜本的な制度やシステムのイノベーションが必要だ。その方法として、「働き方(休み方)改革」の一環としての「ワーケーション」と、「学校改革」という意味での「(中略)(オンライン大学)の創設」を提案したい。共通するコンセプトは「マルチ・ベース」。すなわち、都市と地方の両方をベースにして働き、学ぶことにある。

これまでの働き方は、都市にある職場に毎日通勤し、休暇を取って地方へ観光に出かけるという方法がふつうだった。学校も、毎日同じ校舎に通学し、修学旅行などで時々地方に出かけるという学び方が当たり前だった。しかし、インターネットが普及した現在、「こうしたやり方は古い」といえる時代にしていかねば、地方創生の実現は難しいと思う。

日本航空株式会社は2017年夏より、「ワーケーション」という仕事と休暇を組み合わせることができる制度を導入する。本誌ではこれまで「ビジネス」と「レジャー」を合わせた造語「ブリージャー」として紹介してきた働き方で、「ワーク」と「バケーション」を融合し、出張先で有給休暇を取ったり、休暇先でもテレワークで業務を行う日を設けたり、場所と時間を指定せずに自由に働けるスタイルである。

同社では、主に海外での休暇やテレワークを想定しているようだが、今後、国内の各地に設置したサテライト・シェアオフィス等をベースに働くことを推進する企業も出てくれば、国内でも仕事と休暇の融合が起きてくるだろう。サテライトオフィスにはホテルを併設し、短長期の滞在もできるようにしておく。むしろ、既存のリゾート施設にシェアオフィスを設置するリノベーションを図るほうがより現実的だろう。そして、サテライトオフィスを起点に有給休暇を取れば、余計な交通費をかけずに観光もできる。

毎日同じオフィスに缶詰めとなり、上司が残業している間は帰れない「忖度残業」が蔓延し、往復2 時間かけて週5 日通勤することを考えれば、週1 回往復6時間かけてでも自然環境豊かなサテライトオフィスに出かけ、オンラインで業務を行い、いつでも有給休暇が取れる環境で仕事をしたほうが労働生産性は確実に高まると思う。

 

井門隆夫(2017)「観光イノベーションで地域を元気に 第5回」『センター月報』2017年8月号

 

感想

政府が今年3月にまとめた「働き方改革実行計画」の中でも、IT(情報技術)を活用しながら自宅等で働く「テレワーク」の普及が盛り込まれています。

加えて、井門先生がおっしゃる通り、サテライトオフィスが地方で設置されるようになると、当たり前だと思われていた「毎日、同じ顔を眺めながら働く」スタイルも数年後には変わっていくかもしれません。

さらに、「働く」と「家庭生活」、「働く」と「旅行・レジャー」の境目が曖昧になってくる時代がすぐそこまで来ているのかもしれません。

いずれにしても、時代の変化に対応できるように、常に柔らかい頭のままでいたいものです。