新潟県内の企業におけるソーシャルメディアの利用状況は?

新潟経済社会リサーチセンターの近です。

スマートフォンの普及によって、SNSやブログといったソーシャ ルメディア¹の利用者が増加しています。こうしたなか、企業活動においてもソーシャルメディアを活用する動きが広がっています。

そこで、新潟県内企業のソーシャルメディアを利用した情報発信の現状と課題を把握するために、県内企業1,000社(有効回答626社)を対象にアンケート調査を行ないましたので、本日はその結果の一部をご紹介いたします。

 

ソーシャルメディア スマートフォン SN

ソーシャルメディアを利用している企業の割合

調査対象となったすべての企業にソーシャルメディアの利用状況を尋ねたところ、「Facebook」「YouTube」「Twitter」「Instagram」などのソーシャルメディアを1つ以上「利用している」と回答した企業の割合(以下、『ソーシャルメディアを利用している』)は30.4%、「利用していない」は69.6%となりました(図表1)。

ソーシャルメデイアの利用割合

参考までに、総務省の「通信利用動向調査報告書」(従業者規模100人以上が対象)によると、ソーシャルメディアを利用している企業割合は2018年で36.7%となっています。比較のため、当調査において、従業員規模101人以上(n=179)での利用割合をみると38.5%となっており、県内と全国の利用割合はほぼ同程度となっています。

『ソーシャルメディアを利用している』と回答した割合を業種別でみると、製造業で29.8%、非製造業で30.7%となっており、なかでも食料品(66.7%)、小売(46.5%)、サービス他(35.7%)などで高くなっています。

なお、すべての企業にどのソーシャルメディアを利用しているかを尋ねたところ(複数回答)、「Facebook」の割合が19.5%と最も高くなりました(図表2)。以下「YouTube」(7.0 %)、「Twitter」「Instagram」( ともに6.7%)などが続いています。

利用しているソーシャルメディアについて業種別にみると、製造業は非製造業に比べ、「YouTube」などの割合が高くなっている一方、非製造業では製造業に
比べて「blog」などが高くなっています。

利用しているソーシャルメディアの種類

ソーシャルメディアを利用した成果

『ソーシャルメディアを利用している』と回答した 企業にソーシャルメディアを利用して成果が得られたかを尋ねたところ、「どちらとも言えない」の割合が46.2%と最も高くなりました(図表5)。半数近くの企業はソーシャルメディアを利用した情報発信の成果について、評価の判断を迷っていることがうかがえます。

ソーシャルメディアを利用した成果

一方で、「大きな成果が得られた」の割合は4.9%、「やや成果が得られた」は38.5%となり、これらを合わせた『成果が得られた』割合も4割を超えています(43.4 %)。なお、「あまり成果が得られなかった」(8.2%)と「全く成果が得られなかった」(2.2%)を合計した『成果が得られなかった』の割合は10.4%にとどまりました。

業種別にみると、『成果が得られた』と回答した企業の割合は製造業で42.5%、非製造業で44.0%となっており、なかでも電気機械(66.7%)、小売(65.0%)、食料品(52.2%)などで高くなっています。

具体的な成果

『成果が得られた』と回答した企業に、どのような成果が得られたか尋ねたところ(複数回答)、「問い合わせ件数の増加(SNSや自社ホームページ、メール、電話等)」の割合が52.6%、「自社ホームページなどのアクセス数の増加」が50.0%と特に高くなりました(図表6)。売り上げ増加に結びつくような直接的、短期的な成果ではなく、潜在顧客や見込み顧客の裾野を広げていくといった間接的、中長期的な視点に立った成果の項目が上位となりました。

ソーシャルメディアの具体的な成果

なお、どのような成果が得られたのか自由回答で尋ねたところ、「Facebookで最新技術を紹介したところ、多くの顧客から問い合わせが寄せられた」(サービス他)、「他業種とのコラボレーション企画などにより、異業種のフォロワーを獲得することができた」(食料品)、「ユーザーからユーザーへの紹介が増えた」(サービス他)など、これまで繋がりが持てなかった相手との接点が生まれ、新たな顧客を獲得したとの声が寄せられました。

また、「Facebookで商品情報を発信すると『いいね!』が押され、情報が拡散されるので商品の認知はもちろん、特に限定商品の売り上げが上昇した」( 食料品)、「商品のメンテナンス手順をYouTubeで発信したことで、顧客満足度の向上がみられる」(その他製造)との声も挙げられました。

ソーシャルメディアの利用に関しての課題、または利用しない理由

調査対象となったすべての企業に、ソーシャルメディアの利用にはどのような課題(または利用しない理由)があるかを尋ねたところ(複数回答)、「ソーシャルメディアを運用する人員や時間が不足している」(43.1%)、「営業上の成果が見えづらい」(38.1%)の割合が高くなっており、以下「情報漏えいなどセキュリティ面で不安がある」(24.6%)、「成果を測定する基準がわからない」(20.2%)などが続いています(図表8)。

ソーシャルメディアの課題

利用状況別にみると、『ソーシャルメディアを利用している』と回答した企業では「ソーシャルメディアを利用していない」企業に比べ「成果を測定する基準がわからない」「営業上の成果が見えづらい」の割合が高くなっています(図表9)。一方、「ソーシャルメディアを利用していない」企業では『ソーシャルメディアを利用している』企業に比べ「情報漏えいなどセキュリティ面で不安がある」「顧客からの反応が薄い(反応がありそうにない)」などの割合が高くなっています。

ソーシャルメディアの課題 利用状況別

なお、自由回答では「運用するための人材育成、確保が課題である」(小売)や「投稿頻度をあげるため、投稿する人数を増やしたいが、何を投稿してよいかわからないという人が多い」(サービス他)といった声が挙げられました。

また、「ソーシャルメディアを利用しない」理由については「顧客が固定しているためメリットが少ない」(建設)、「業種上、必要性を感じない」(金属製品)といった業種の特性や取引先との関係性から利用する必要がないとの声が複数寄せられました。

まとめ

今回のアンケート調査では、ソーシャルメディアを利用して情報発信している新潟県内の企業は3割程度にとどまりました。

その一方で、ソーシャルメディアを利用している企業の約4割が『成果が得られた』と感じており、「人気イベントをリポートし投稿したところ、多くのユーザーから良い反応があった」(卸売)など、顧客の関心の高い情報を投稿するといった工夫により、顧客とのコミュニケーションを深めている企業もみられました。

ソーシャルメディアは、低コストで情報発信ができるほか、ユーザーから直接、情報を受信でき企業の規模に関わらず取り組むことのできるツールです。ただし、自社の意図とは異なる情報が拡散していくといったリスクもあわせ持っており、取り組みにあたっては適切なリスク管理を行なうことも必要となってくると思われます。

なお、本調査に関する詳しい内容については、当センターの機関誌「センター月報2019年8月号」をご覧ください。

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¹ 総務省の「平成27年度版 情報通信白書」によると、ソーシャルメディアとは、インターネットを利用して誰でも手軽に情報を発信し、相互のやりとりができる双方向のメディアであり、代表的なものとして、ブログ、FacebookやTwitter等のSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)、YouTubeやニコニコ動画等の動画共有サイト、LINE等のメッセージングアプリなどとされています。