新潟のお土産の定番としてはずせないものといえば、やはり笹団子ですよね。天然の笹とイグサに包まれ、よもぎの風味とともに粒あんの甘さが口いっぱいに広がる、なんとも贅沢なスイーツです。
この笹団子がカゴに山盛りの状態で売られている風景は、新潟ならではのものです。
新潟のお土産の定番が生まれた背景とは?
昔から稲作が盛んな新潟では、各地で端午の節句などの「ハレの日」になると、保存しておいた米をお団子にしてお祝いをしていました。もちろん、新潟県以外にも福島県会津地方など一部の地域にはその習慣は残っていますが、食生活の欧米化が進んだ今になっても、こうした習慣が最後まで残っている地域が、新潟県だということのようです。
地域の食文化が長く受け継がれるのは素晴らしいことですね。
微妙に違う呼び名とかたち
ところで、笹団子といえば、上の写真のような、笹にくるまれたイメージですが、実は地域によって微妙な違いがあるようです。
「食は新潟にあり」(本間伸夫著、新潟日報事業社)によれば、
笹だんごと呼ぶ俵型のだんごは新潟県の代表的な節句だんごであるが、分布は蒲原から古志、三島、刈羽、魚沼に限定されていて、頚城と佐渡ではつくらない。しかし、新潟県の東南に隣接した会津地方ではつくられている。
~中略~
また、単にちまきと呼んでいる正三角形の三角ちまきも笹だんごと同じような分布であるが、少し広くなって中頚城までつくっている。西頚城でつくらないのは、富山と共通している。
笹だんごをつくらない頚城では、そのかわりに節句に笹もちをつくる。この笹もちは県央地域と魚沼でもつくるので、この両地域が遷移地域として、いろいろのだんごやもちをつくる地帯となっている。笹もちはあん入りもちを笹の葉で包んだものである。
とあります。
そういわれてみれば、県内のスーパーでは、笹団子のコーナーに、ちまきのほかに「柏餅」や「笹餅」などをみかけることがあります。
▲ 岩船地方の「柏餅」(左)と上越地方の「笹餅」
縦に長くて広い新潟県では、地域によっていろいろな方言があるように、食文化もまた微妙な違いがあるのです。こうした地域の違いが残されていることも、また素晴らしいことですね。
ひとこと
笹団子を手土産に、こうしたエピソードを添えれば、新潟の食文化の素晴らしさがより伝わるのではないでしょうか?