旅館業の将来を予測してみると・・・

 

旅館業の将来

 

こんにちは。新潟経済社会リサーチセンターの江口です。

ジェレミー・リフキン氏が書かれた書籍『限界費用ゼロ社会―<モノのインターネット>と共有型経済の台頭』が話題となっています。

 

 

私どもの機関誌「センター月報2月号」では、この書籍をもとに「シェアリング・エコノミー(共有型経済)」、つまり人々が協働でモノやサービスを生み出す経済・社会が誕生した際の影響について取り上げています。

具体的には、シェアリング・エコノミーの流れの一つが、議論を巻き起こした民泊ビジネスであると仮定し、将来の旅館業はこうなる可能性が少なからずあるでは?とのたとえ話を紹介しています。執筆は毎月、連載をお願いしている井門観光研究所の井門隆夫先生です。

 

20年後にやってくる温泉地の未来の姿とは?

井門先生は、20年後となる2036年の温泉地について、あくまでも可能性の一つして、次のようなたとえ話を語られています。

 

2036年。新潟県の温泉地にある旅館は、平日にもかかわらず、多くのお客様で賑わっていた。2~3割は外国人だ。多くのサービススタッフもきびきびと案内し、お客様には笑顔がこぼれている。このスタッフは
16年にここで働いていた従業員の子どもや孫だ。

なかには素泊まりのお客様もいるようだ。スタッフは町の案内地図を取り出し、食堂を教えている。他のグループは、自炊もできる立派なキッチン&レストランに行き、自炊を始めている。プロの調理人を雇い、
郷土料理を楽しんでいるグループもいる。キッチンは昔、厨房だった場所だ。その頃は、定番の会席料理を多くの調理人が作っていた。その調理人も今では全員独立し、町で料理屋をしていたり、こうして料理を作
りに来ている。

この20年間に決定的に変わったのは、その旅館の客室をインターネット上で売っているのは、経営者ではなく、一般の市民だという点だ。町を案内したり、一緒に料理を楽しんだり、工夫を凝らしたプランが、16
年当時は「民泊ビジネス」といわれたオンライン上の販売サイトに登録され、世界中に発信されている。

(中略)

昔の旅館業法では、旅館はお客様を断ることができなかったが、このシステムはマッチングシステムなので、ホストが「合わない」と思ったお客様は断ることができる。さらに、お客様の詳細なプロフィールもわ
かるので、客室の備品等に損害があった場合は、補償が受けられる。昔は旅館が泣き寝入りしていたというのだから、ずいぶん公平な仕組みになったものだ。

今では、旅館や民宿は「間貸し」ビジネスとなり、市民の誰もがその客室を売ることができる。なかには、その温泉地が好きで何度も通うお客様も、あるときはホストになり、その旅館を売っている。ある旅館
は観光系の大学にまるごと実習の場として貸し出し、学生が競うようにSNSを使って海外に販売し、自分たち自身で接客実習を行っている。昔の大学は教室で勉強したものだが、今では実学が主体だ。販売実績が成
績になるというのだから学生も必死だ。

かつては、旅館の女将に「おもてなしとは」と教えられたものだが、日本国民が全員でおもてなしをする時代がやってきた

 

井門隆夫(2016)「地域観光事業のススメ方第71回」『センター月報』2016年2月号

 

読み終えて

温泉地の全ての旅館がたとえ話のようになるとは思えませんが、一部の旅館では、こうしたビシネスモデルを取り入れた経営をされる可能性は十分にあるように私には思えますが、皆さんはどう予測されますでしょうか。