なぜ米菓の出荷額は新潟が日本一になれたのか?米菓業界が成長した背景を探る

 

新潟経済社会リサーチセンターの銀山です。

先日、新潟県経済の特徴について講義する機会があり、製造業や鉱業のなかで、新潟県が日本一となっている項目をご紹介しました(図表参照)。聴講者の方から、「どうして、これらの項目は日本一になれたのか」という質問を頂きました。そこで、これから数回にわたり新潟県が日本一になっている項目の背景や要因についてご紹介したいと思います。

初回は、出荷額が最も多い米菓についてご紹介したいと思います。

 

 

図表 新潟県の日本一

新潟県の日本一

(資料)新潟県 統計課統計情報班

 

新潟で米菓業界が発展した背景

経済産業省「経済センサス」によると、2015年の新潟県の米菓出荷額は1,946億円となり、全国の52.7%を占めています。新潟県の米菓業界が現在のような全国に確固たる地位を占めるに至った背景や要因には、主には下記の4つが考えられます。

 

①お米の生産が適している

米菓の原料は主にお米です。新潟県は広大な越後平野があり、そこに全国一の長さを誇る信濃川が流れています。加えて、気候が適していたことがあり、古くから稲作が盛んでした。そのため、良質なお米が多く取れたことで、お米を加工した米菓産業が勃興したと考えられます。

 

②新潟県食品研究所の研究成果

新潟県食品研究所 (現在の新潟県農業総合研究所食品研究センター) 内に全国初の米菓研究施設が1960(昭和35)年に完成しました。

これが米菓製造業の生産技術向上・原料品質の科学的解明に大きく貢献することとなりました。特に研究成果の中から生まれた「新潟型」と呼ばれるせんべいが開発・販売され、これまでにない売れ行きとなりました。「新潟型」せんべいとは、草加せんべいをはじめとしたそれまでの堅焼きを特徴とした商品に比べてやわらかく、歯ごたえの良いソフトな食感の商品を指し、本県の米菓出荷金額を今なお押し上げています。

 

③大量生産方式への対応

新潟県内の米菓メーカーの中には、新潟県食品研究所による研究成果を活かして、生産用の機械開発に取り組むことにより、生産工程を手作業主体から流れ作業・自動化による量産体制へといち早く取り組んだところがありました。これが高品質・高生産性を兼ね備えた企業へと成長させました。

 

④販売先の開拓

技術や設備のほかにも、早くから市場を全国に求めて販売先の開拓に努めたことも新潟県内の米菓メーカーが全国の主要な地位を占めるに至った理由の一つとみられます。中でも、量販店などが全国展開を進め、急成長を遂げた時期に、これらの業態を新たな販売先として積極的に開拓する努力を行なっています。加えて、多額の費用をかけて、テレビ・新聞などへの広告宣伝に取り組み、イメージアップを図ったことも大きな要因と思われます。

 

まとめ

新潟県を代表する米菓業界は稲作に適した気候に加え、行政や業界の努力により築かれました。他の業界でもこのように地理や歴史的な優位性に背景に、行政や業界全体を巻き込んだ取り組みを進めることができれば、さらに育成・成長させることできるかもしれません。

 

 

本投稿は当センター「センター月報2005年7月号」に掲載した「新潟県内における米菓製造業の現状と課題」の一部を加筆・修正して掲載しております。