【基礎編】RESASの使い方・3~新潟県の滞在人口・流動人口の事例~

 

こんにちは。新潟経済社会リサーチセンターの江口です。

さて、先日から連載している「【基礎編】RESASの使い方」の3回目(最終回)をお伝えいたします。過去2回でお示しした通り、「RESAS」を使って地域分析する際の手順を、a)人口、b)主要産業、c)人の動き――の3点に沿って、ご紹介しています。

今回は、c)人の動きの分析方法をご説明します。

なお、これまでの分析方法については、下記の投稿をご覧下さい。

→ 「【基礎編】RESASの使い方~新潟県の分析事例をもとに~

→ 「【基礎編】RESASの使い方・2~新潟県の産業の特徴~

 

人口減少

 

滞在人口率

まずは、自分の住む地域について、実際の人口に対し年間平均で何倍の人口が来訪しているのかを把握します。概ね平日ならば、通勤者や通学者、買物客がどの程度、流入しているのか?が確認できます。一方、休日ならば、観光客がどのくらい、来訪しているのか?がつかめるようになります。

①出典

出典は、Agoop「流動人口データ」(2013年3月~12月と2014年1月~12月・1日あたりの年間平均)となっています。

滞在人口とは、スマートフォンアプリ利用者の位置情報を年・月・時間単位、平日・休日(土日・祝日)別に集計した上で、午前4時時点で滞在している自治体を出発地として、2時間以上特定の地域にとどまった場合を「滞在」としてカウントしているようです。なお、実数ではなく、国勢調査の人口をもとにした推計値となっています。

 

②操作方法

まずは、「RESAS」のトップページから「観光マップ」→「滞在人口率」をクリックします。そして、右上の「分析対象地域」を任意の市区町村に設定して下さい。ここでは「新潟県」とします。すると、「分析対象地域」は自動的に「新潟市北区」になると思われます。

 

滞在人口率 操作画面

 

さらに、右メニューの「表示する内容を指定する」を「休日の動向を表示する」とします。

 

滞在人口率 休日 湯沢町

 

図をみると、新潟県全体の滞在人口率が表示されます。実際の人口(国勢調査)に対し、年間平均で滞在者数の多い自治体ほど、赤色に表示されています。このうち、新潟県内で最も滞在人口率(2014年)が高い自治体は湯沢町で、4.43倍となっています。

そこで、右上の「分析対象地域」を「湯沢町」として、右メニューの「グラフを表示」をクリックします。すると、3つのグラフが表示されますので、スクロールさせながら1つ1つ確認していきます。

 

③分析結果

滞在人口月別推移

滞在人口月別推移 2014年 湯沢町

 

このグラフは、滞在人口(人数/日)を月ごとに、平日・休日別に表したものです。これをみると、スキーヤーの来訪などから、湯沢町では12月から3月までの期間に観光客の流入が多くなっています。また、ゴールデンウィーク期間が含まれる5月や、夏休み期間の8月も滞在者が多くなっています。

一方、6月、9月、11月あたりがややオフシーズン期に当たるようです。

 

滞在人口時間別推移 2014年 湯沢町

 

こちらのグラフは、滞在人口(人数/日)を時間ごとに、平日・休日別にみたものです。当然ながら、12時頃が滞在者のピークとなり、18時頃になると一気に減少している様子がうかがわれます。

滞在人口率の順位

滞在人口 順位 湯沢町

 

滞在人口率については、県内自治体内の順位と、全国での順位が表示されます。

なお、平日についても分析することで、地域の状況がより正確に把握できるようになります。

 

From-to分析(滞在人口)

続いて、滞在者がどの地域から来訪しているのかを平日・休日別に把握します。

①出典

出典は、先程と同じく、Agoop「流動人口データ」(2013年3月~12月と2014年1月~12月・1日あたりの年間平均)となっています。

 

②操作方法

「RESAS」のトップページから「観光マップ」→「From-to分析(滞在人口)」をクリックします。そして、右上の「分析対象地域」を任意の市区町村に設定して下さい。ここでは「湯沢町」とします。

 

From-to分析 操作画面 湯沢町

 

さらに、右メニューの「表示地域単位を切り替える」を「都道県→市区町村(指定地域)」、「表示する内容を指定する」を「休日の動向を表示する」に設定して下さい。そして「グラフを表示」をクリックします。

 

From-to分析 操作画面 都道府県

 

すると、分析対象とした自治体における滞在人口の実数と、全体に占める割合が都道府県内・外別に表示されます。

From-to分析 湯沢町 県レベル

このグラフをみると、県外からの滞在者については、湯沢町の場合、「東京都」からの来訪者が最も多く、次いで「埼玉県」「群馬県」となっており、上位3県で約8割を占めています。

続いて、一旦、グラフを閉じた後に、先程の画面で右メニューの「表示地域単位を切り替える」を「市区町村→市区町村(指定地域)」に設定した上で、「グラフを表示」をクリックします。

 

From-to分析 湯沢町 市町村レベル

 

すると、市区町村別に詳しく滞在者を確認することができます。

まず、新潟県内の滞在者については、対象地域に指定していた「湯沢町」が当然ながら最も多くなっており、次いで隣接する「南魚沼市」となっています。「南魚沼市」の場合は観光客や買物客というよりも通勤者が主体かもしれません。

一方、新潟県外の滞在者については、「群馬県高崎市」「群馬県みなかみ町」「東京都練馬区」の順となっています。

なお、2014年の休日のみを取り上げましたが、2014年の平日も合わせて確認した方が良いでしょう。

 

メッシュ分析(流動人口)

最後に、流動人口を月別、平日・休日別、時間帯(1時間単位)別に500mメッシュ単位で、ヒートマップで把握してみましょう。

①出典

出典は、先程と同じく、Agoop「流動人口データ」(2013年3月~12月と2014年1月~12月・1日あたりの年間平均)となっています。

なお、流動人口とは、ある地点に滞留している人の合計値と説明されています。

②操作方法

「RESAS」のトップページから、「観光マップ」→「メッシュ分析(流動人口)」をクリックします。その後、右メニューの「表示年、月、時間を指定する」と「表示する内容を指定する」に分析してみたい項目を適宜、指定して下さい。今回は、「表示年、月、時間を指定する」を「2014年8月12時」、「表示する内容を指定する」を「休日の動向を表示する」に指定しました。

 

メッシュ分析 操作画面2

 

さらに、「地域選択モード」を「任意の地域を選択する」にして分析することもできますが、今回は、地図の右上にある「+」「-」を使いながらマウスをドラッグすることで、湯沢町近辺を表示してみました。その上で、「メッシュを読み込む」をクリックします。読み込むのに時間を要する時もあるので、その際は少し待ってみると、メッシュが表示されると思います。

 

メッシュ分析 時期指定画面

 

③分析結果

「表示年、月、時間を指定する」を「2014年8月12時」のほかに、「2014年8月14時」「2014年10月12時」「2015年1月12時」に指定して、比較してみました。

湯沢町 地図

▲メッシュ表示する前の地図(クリックすると拡大します)

メッシュ分析 地図 140812

▲2014年8月12時(クリックすると拡大します)

メッシュ分析 地図 140814

▲2014年8月14時(クリックすると拡大します)

メッシュ分析 地図 141012

▲2014年10月12時(クリックすると拡大します)

メッシュ分析 地図 150112

▲2015年1月12時(クリックすると拡大します)

 

2014年8月の12時と14時のグラフを比較すると、場所によっては多少の違いがあるものの、全体的にはあまり変化がみられません。お昼時には飲食店のある地域に集中し、14時頃になると、観光スポットに分散するのかと思いましたが、あまり違いがみられませんでした。2時間程度では差が出にくい、あるいは観光スポット周辺に飲食店が立地しているため図が同じになりやすいのかもしれません。もちろん、観光スポットを周遊する人が少ない可能性もあります。この点は機会を改めて、湯沢町の観光関係者に意見をうかがいたいと思っています。

また、2014年8月の12時と、2014年10月の12時を比較すると、紅葉の時期に入っていることもあり、10月の図では、山間部に人が移動していることが確認できます。

さらに、2015年1月の12時をみると、当然ながらスキー場周辺に人が移動しています。

このように月別、時間別、そして平日・休日の別に詳しく見比べることで、想定していなかった意外な行動や、それに伴うビジネスチャンスをつかめるかもしれません。

 

感想

今回は、c)人の動きを把握する方法をご紹介しました。特にスマートフォンアプリ利用者の位置情報は、これまで手軽に利用できるデータではなかったため、ひじょうに魅力的です。今後、時系列のデータが追加されると、さらに使い勝手がよくなると思われます。

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さて、以上3回にわたって、「RESAS」を使って地域分析する際の手順を説明してきました。今回、お示しした、a)人口、b)主要産業、c)人の動き――の3点に沿って分析を進めれば、対象地域の特徴・課題などを短時間で大まかに把握できると思います。色々な分析手法が「RESAS」には装備されていますが、まずは基本的な分析手法から始めてみては、いかがでしょうか。

なお、分析にあたっては「RESASを使う際に注意すべき5つのポイント~新潟県の観光分析事例から~」でお伝えした通り、幾つか注意すべき点はあるものの、まずは実際に使ってみることをおすすめします。「意外に簡単なんだ」と感じていただけると思います。

【ここまでの連載】

→ 「【基礎編】RESASの使い方~新潟県の分析事例をもとに~

→ 「【基礎編】RESASの使い方・2~新潟県の産業の特徴~

→ 「【基礎編】RESASの使い方・3~新潟県の滞在人口・流動人口の事例~

【関連投稿】

→ 「【初心者向け】地域経済分析システム(RESAS)を使ったインバウンドデータの分析手法

→ 「新潟県の観光(インバウンド)データを分析して分かったRESASのメリット

→ 「RESASを使う際に注意すべき5つのポイント~新潟県の観光分析事例から~

 


 

【資料】

内閣官房 まち・ひと・しごと創生本部事務局「地域経済分析システム(RESAS)について<ver.19>」(2015年9月)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/
sousei/resas/pdf/h27-09-11-nousui.pdf
(2016年3 月29 日閲覧)

内閣官房 まち・ひと・しごと創生本部事務局「地域経済分析システム(RESAS) 第Ⅱ期2次リリースについて」(2015年12月)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/
sousei/resas/pdf/verup2-setsumei.pdf
(2016年3 月29 日閲覧)

経済産業省「地域経済分析システム 基本操作マニュアル」(2015年12月18日第3版)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/
sousei/resas/pdf/manual.pdf

(2016年3 月29 日閲覧)

経済産業省関東経済産業局「地域経済分析システム(RESAS)の分析手法例 ~RESASを使って地域経済を把握してみよう~」(2016年3月)
http://www.kanto.meti.go.jp/
seisaku/kikaku/index_chiikikeizai.html

(2016年3 月29 日閲覧)

経済産業省関東経済産業局「地域経済分析システム( RESAS ) の分析手法例」(2016年3月)
http://www.kanto.meti.go.jp/
seisaku/kikaku/data/syuhou.pdf

環境省のホームページ「地域経済循環分析とは」(2015年12月4日)
https://www.env.go.jp/press/
files/jp/28653.pdf
(2016年3 月29 日閲覧)

価値総合研究所のホームページ「地域経済循環分析解説書」(2015年12月22日)
http://www.vmi.co.jp/reca/
pdf/download-04.pdf
(2016年3 月29 日閲覧)

内閣官房 まち・ひと・しごと創生本部事務局「Q&A (第2期2次リリース版)」(2015年12月18日)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/
sousei/resas/pdf/h27-12-18-ver2q-and-a.pdf

(2016年3 月29 日閲覧)