【基礎編】RESASの使い方・1~人口マップの分析事例~

 

こんにちは。新潟経済社会リサーチセンターの江口です。

さて、内閣官房(まち・ひと・しごと創生本部事務局)が提供している「RESAS(地域経済分析システム):リーサス」が3月25日に機能拡充されました。産業間の財務比較やインバウンド(訪日外国人旅行)に関する追加データをはじめ、分析できる範囲がより一層広がっています。

その一方で、使えるツールが増えれば増えるほど、「何からどう分析を始めれば良いのか……」が分かりにくく感じる人もいらっしゃると思います。

そこで本日は、初めて「RESAS」を使ってみる人を対象に、自分の住む地域をザックリと把握するための分析手順を1からお伝えたいと思います。具体的には「新潟県」のデータを使って説明していきます。

 

分析のフレームワーク

まず、「RESAS」を使うにあたっては、Google Chrome のブラウザを利用する必要があります。利用につきましては、Chrome ヘルプセンターなどをご参照の上、閲覧者ご自身責任においてご判断下さい。

なお、「RESAS」のトップページはこちらです。アクセスすると分かる通り、様々な分析ツールがあります。「どこからクリックすれば………」と迷ってしまうほどです。

こうした中、今回は経済産業省関東経済局RESAS研究会報告書」及び「RESASの分析手法例」を参考にしながら、自分の住む地域の特徴を把握する方法を分かりやすくお伝えしていきたいと思います。ただし、国及び地方自治体の職員が一定の制約の下で利用できる「限定メニュー」が当然ながら使えないので、「一般メニュー」のみを使用して分析します。さらに、「RESAS」以外のデータは使わずに進めていきます。

大まかな分析の流れとしては、a)人口、b)主要産業、c)人の動き――の3点を確認していきます。

 

人口マップ

1.人口推移

それでは、早速、分析を始めていきましょう。まずは、地域の活力は人口と密接な関係がありますので、新潟県の人口推移から確認していきます。

①出典

最初に、使用するデータの概要を抑えておきましょう。どのようなデータなのかを把握していないと、間違った分析結果につながりやすくなります。

まず、2015年までの人口推移の実績値については、総務省「国勢調査」を使用しています。また、将来予測については、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」のデータです。

このうち、「国勢調査」は日本国内に住む全ての人と世帯を対象に、5年に1度実施する大規模な統計調査です。

一方、「日本の地域別将来推計人口」とは、将来の人口を都道府県別・市区町村別に求めることを目的にした調査です。2010年の国勢調査をもとに、2010年10月1日から2040年10月1日までの30年間(5年ごと)について、男女年齢(5歳)階級別に推計しています。

②操作方法

次いで、実際の操作方法をご紹介しましょう。

まずは、「RESAS」のトップページからスタートします。画面左にある三本線を左クリックした後、「人口マップ」→「人口構成」を左クリックします。

 

RESAS 人口構成

 

続いて、右上の「分析対象地域」を左クリックして、今回は「新潟県」を選択します。さらに、右メニューの「都道府県単位で表示する」をクリックした後、右下の「人口推移」をクリックします。

 

RESAS 人口ピラミッド

 

なお、市町村単位で分析する場合は、右メニューの「市町村単位で表示する」をクリックし、右上の「分析対象地域」を該当市区町村に指定して下さい。

③分析結果

すると、1960年から2010年までの人口推移と、2015年から2040年までの人口予測が表示されます。

 

 

新潟県 人口推移

新潟県の場合、2000年をピークに人口は既に減少傾向にあり、今後、さらに減っていく予想です。内訳をみると、老年人口(65歳以上)は2020年以降、ほぼ横ばいで推移すると見込まれますが、年少人口(0歳~14歳)と生産年齢人口(15歳~64歳)の減少は続くとみられます。

当然ながら年少人口(0歳~14歳)の減少は問題ですが、地域の雇用や生産、消費などにも影響を与える生産年齢人口(15歳~64歳)の減少も大きな懸念材料です。なお、グラフを閉じる場合、グラフ左上の✕印をクリックして下さい。

 

2.人口ピラミッド

併せて、新潟県の人口ピラミッドもみてみましょう。

①出典

出典は「1.人口推移」と同じく、総務省「国勢調査」と、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」を使用しています。

②操作方法

同様に、「RESAS」の画面で、「人口マップ」→「人口構成」→右下の「人口ピラミッド」をクリックします。

③分析結果

すると、2010年と2040年の男女別の人口ピラミッドが表示されます。

 

新潟県 人口ピラミッド

この2つのグラフを比較すると、先行き、より少子高齢化が進展することが理解できます。年少人口(0歳~14歳)が県全体に占める割合は2010年の12%から2040年の9%へと低下します。一方、老年人口(65歳以上)が県全体に占める割合は2010年の26%から2040年の38%へと上昇します。特に女性の90歳以上の割合(2040年)は、年齢(5歳)階級別で一番、高い割合となっているのが目立っています。

 

3.自然増減・社会増減の推移

それでは、人口が減少している要因を探っていきましょう。

①出典

出典は、厚生労働省「人口動態調査」と、総務省「住民基本台帳人口移動報告」です。このうち、「人口動態調査」は出生、死亡、婚姻、離婚および死産の全数を対象した調査です。一方、「住民基本台帳人口移動報告」は、住民基本台帳に基づいて、国内における人口移動の状況をまとめたものです。

②操作方法

「RESAS」の画面で、「人口マップ」→「人口増減」→右下の「グラフを表示」をクリックします。その後、表示されたグラフを下にスクロールして3つめのグラフを表示させます。

③分析結果

すると、1960年から2013年までの人口増減数の要因が確認できます。

 

新潟県 自然増減・社会増減

 

つまり、2000年前後から新潟県では、死亡数が出生数を上回る「自然減」と、転出者が転入者を上回る「社会減」が同時に進んでいます。特に近年は少子高齢化の進展などにより「自然減」が拡大傾向にあります。

 

4.人口の社会増減From-to分析

新潟県では「自然減」と「社会減」により人口が減少していることが分かりましたが、このうち「社会減」について、より詳しくみていきましょう。具体的な転入先と転入元を確認します。

①出典

出典は、先程もご紹介した総務省「住民基本台帳人口移動報告」です。この調査結果から自分の住む地域では、どの地域から転入があり、反対にどの地域へ転出したのかが分かります。

②操作方法

「RESAS」の画面で、「人口マップ」→「人口社会増減」→右メニューの「都道府県単位で表示する」→右下の「From-to(定住人口)」をクリックします。その後、表示されたグラフについて、右メニューの「表示する移動要件を指定する」を「転入数・転出数」にします。

③分析結果

まずは、新潟県(2014年)の転入者についてみていきます。すると、「東京都」が全体21.2%を占めて最も高く、以下「神奈川県」(9.8%)、「埼玉県」(9.8%)、「千葉県」(6.1%)と続き、首都圏からの転入者が多くなっています。

 

新潟県 定住人口 総数

 

続いて、転出者について確認すると、「東京都」が全体24.4%を占めて最も高く、以下「埼玉県」(11.0%)、「神奈川県」(10.6%)、「千葉県」(7.4%)と続き、こちらも当然ながら首都圏への転出者が多くなっています。

この2つを合算した「転出入超過数」(転入<出>数-転出<入>数) を確認するには、右メニューの「表示する移動要件を指定する」を「転入超過数・転出超過数」にします。

 

新潟県 定住人口 転出入超過数

 

そして、「転入超過数内訳」(転入数-転出数) をみると、「山形県」「秋田県 」「岡山県」などでプラスとなっています。これに対して、「転出超過数内訳」(転出数-転入数) をみると、やはり「東京都」「埼玉県 」「神奈川県」「千葉県」などの首都圏で大幅なマイナスとなっています。つまり、首都圏から戻ってくる人もいるけれど、それ以上に多くの人が首都圏に転出している状況です。

 

5.年齢階級別純移動数の時系列分析

さらに「社会減」について、年齢別の移動数と移動時期を把握したいと思います。

①出典

出典は、総務省「国勢調査」と「住民基本台帳人口移動報告」です。

②操作方法

「RESAS」の画面で、「人口マップ」→「人口社会増減」→右メニューの右下「人口移動(グラフ分析)」をクリックします。その後、表示されたグラフを下にスクロールして3つめのグラフを表示させます。

③分析結果

下のグラフをみると分かる通り、いつの時代でも高校卒業時期などに当たる「15~19歳→20歳~24歳」の時期に、新潟県から転出する人が多くなっています。

また、就職時期などに該当する「20~24歳→25歳~29歳」の時期に新潟県に転入する人が多くなっています。しかしながら、「15~19歳→20歳~24歳」の時期に転出した数に比べれば、少数にとどまっています。しかも、年々、転入者が少なくなってきているのも気がかりな点です。

 

新潟県 コーホート分析

 

感想

以上の5つの分析から、新潟県の人口については、

  • 2000年をピークに人口は既に減少傾向にあり、今後も、年少人口(0歳~14歳)と生産年齢人口(15歳~64歳)を中心に、減少が続く予想である

 

  • 人口が減少している要因としては、死亡数が出生数を上回る「自然減」と、転出者が転入者を上回る「社会減」が同時に進んでいることがあげられる

 

  • このうち「社会減」については、「東京都」「埼玉県 」「神奈川県」「千葉県」などの首都圏で大幅な「転出超過」(転出数-転入数)となっている点が背景にある

 

  • また、年齢別にみると、高校卒業時期などに当たる「15~19歳→20歳~24歳」の時期に、新潟県から転出する人が多くなっている一方、就職時期などに該当する「20~24歳→25歳~29歳」の時期に新潟県に転入する人が多くなっている。ただし、「15~19歳→20歳~24歳」の時期に転出した数に比べれば、少数にとどまっている

といったことが理解できます。

このような分析結果を操作に慣れれば、短時間に得られるのが「RESAS」の最大のメリットだと思われます。

なお、長くなりましたので、a)人口、b)主要産業、c)人の動き――の3点のうち、b)主要産業、c)人の動きについては、日を改めてお伝えいたします。

【関連投稿】

→ 「【初心者向け】地域経済分析システム(RESAS)を使ったインバウンドデータの分析手法

→ 「新潟県の観光(インバウンド)データを分析して分かったRESASのメリット

→ 「RESASを使う際に注意すべき5つのポイント~新潟県の観光分析事例から~

 


 

【資料】

内閣官房 まち・ひと・しごと創生本部事務局「地域経済分析システム(RESAS)について<ver.19>」(2015年9月)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/
sousei/resas/pdf/h27-09-11-nousui.pdf
(2016年3 月29 日閲覧)

内閣官房 まち・ひと・しごと創生本部事務局「地域経済分析システム(RESAS) 第Ⅱ期2次リリースについて」(2015年12月)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi
/sousei/resas/pdf/verup2-setsumei.pdf
(2016年3 月29 日閲覧)

経済産業省「地域経済分析システム 基本操作マニュアル」(2015年12月18日第3版)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/
sousei/resas/pdf/manual.pdf

(2016年3 月29 日閲覧)

経済産業省関東経済産業局「地域経済分析システム(RESAS)の分析手法例 ~RESASを使って地域経済を把握してみよう~」(2016年3月)
http://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/
kikaku/index_chiikikeizai.html

(2016年3 月29 日閲覧)

経済産業省関東経済産業局「地域経済分析システム( RESAS ) の分析手法例」(2016年3月)
http://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/
kikaku/data/syuhou.pdf

環境省のホームページ「地域経済循環分析とは」(2015年12月4日)
https://www.env.go.jp/press/files/
jp/28653.pdf
(2016年3 月29 日閲覧)

価値総合研究所のホームページ「地域経済循環分析解説書」(2015年12月22日)
http://www.vmi.co.jp/reca/pdf/
download-04.pdf
(2016年3 月29 日閲覧)

内閣官房 まち・ひと・しごと創生本部事務局「Q&A (第2期2次リリース版)」(2015年12月18日)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/
sousei/resas/pdf/
h27-12-18-ver2q-and-a.pdf

(2016年3 月29 日閲覧)

総務省「国勢調査とは
http://kokusei2015.stat.go.jp/about/
(2016年3 月29 日閲覧)

社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(平成25年3月推計)
http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/
j/shicyoson13/t-page.asp

厚生労働省「人口動態調査
http://www.mhlw.go.jp/toukei/
list/81-1b.html#08

(2016年3 月29 日閲覧)

総務省「住民基本台帳人口移動報告
http://www.stat.go.jp/data/
idou/index.htm

(2016年3 月29 日閲覧)

総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数に関する調査の概要
https://www.e-stat.go.jp/SG1/
estat/GL08020103.do?_to
GL08020103_&tclassID=
000001028698&cycleCode=
0&requestSender=estat

(2016年3 月29 日閲覧)

内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局「地域経済分析システム(RESAS) 第Ⅱ期3次リリースについて」(平成28年3月)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/
sousei/resas/pdf/
verup3-setsumei.pdf

(2016年3 月29 日閲覧)