中食市場の拡大とともに上昇しているのは?

 

新潟経済社会リサーチセンターの小林です。

先ごろ発表された一般社団法人日本惣菜協会の資料によると、2017年の中食(惣菜)の市場規模は10兆555億円となったとのことです。近年の同市場規模の推移をみると、2005年から2017年の10年余りの期間で約3割も拡大しています。また、同協会の資料によると、約40年前の市場規模(9,000億円)と比べると、10倍以上の規模に成長してきているとのことです。そこで今回は、中食(惣菜)市場の統計についてご紹介いたします。

 

 

中食市場拡大の背景

2017年の中食(惣菜)市場を業態別にみると、「百貨店」の販売額のみ前年を若干下回ったものの、その他の4業態〔「専門店、他」「総合スーパー」「食料品スーパー」「CVS(コンビニエンスストア)」〕はいずれも前年水準を上回っています。各業態とも、食料品市場のなかで、中食(惣菜)市場に注力している様子が伺える結果となっています。そして、各業態が中食(惣菜)市場に力を入れる背景には、共働き世帯と高齢者世帯の増加などがあるとみられます。

2015年に、弊社が県内の勤労者世帯に対して実施した「中食(惣菜・弁当等)の利用状況に関するアンケート調査」の結果をみると、8割近く(76.5%)の人が中食を「利用している」としています。年代別にみると、若い年代ほど「利用している」とする割合が高い傾向にありますが、『60代以上』でも約6割の人が「利用している」としています。

また、中食を利用する理由(複数回答)をみると、「忙しくて食事を作る時間がないから」とする割合が最も高く、いずれの年代でも第1位の理由となっています。特に、『30代』~『50代』の年代のそれぞれ約5割~6割の人が「忙しくて食事を作る時間がないから」と回答しています。働き盛りの年代では、子育てや共働きなどによる時間的制約を主たる理由として中食を利用している様子がうかがえます。

他方、『60代以上』でも約3割の人が「忙しくて食事を作る時間がないから」と回答しています。その一方で、「少量でも買えるから」や「いろいろなメニューが楽しめるから」「自分で作るより安いから」などの割合が他の年代に比べて高くなっています。高齢者においては、時間的制約もさることながら、少量・多品種・価格(安さ)といったことを理由として中食を利用している様子がうかがえます。

つまり、共働き世帯と高齢者世帯が増加するなか、上記のような働き盛りの年代および高齢者層それぞれのニーズに、中食市場における各小売業態の取り組みが合致することで、同市場の拡大が続いていると言えそうです。

 

 

「弧食」の人の割合が上昇

他方、「一日のすべての食事を一人で食べる=弧食」の人の割合が上昇しているそうです。最近公表された農林水産省「食育白書」によると、「一日のすべての食事を一人で食べる」頻度が週の半分以上ある人は15.3%となっているそうです。これは2011年の調査から約5ポイントの上昇となっています。また、週に1日程度の人までを含めると26.8%と、2011年の22.8%から4ポイント上昇しています。少しずつではありますが、「弧食」の人が増えつつあるようです。

そして、「弧食」となる理由(複数回答)をみると、「一人で食べたくないが、食事の時間や場所が合わないため、仕方ない」や「一人で食べたくないが、一緒に食べる人がいないため、仕方ない」の回答割合がそれぞれ3割台で上位1・2位を占めています。つまり、こちらも共働き世帯や高齢者世帯の増加が背景にあるとみられ、加えて単身世帯や夫婦のみの世帯などが増加していることも大きく影響しているものとみられます。

以上から、共働き世帯や高齢者世帯の増加といった家族形態やライフスタイルの変化などによって、食生活の中身や形態なども変化を余儀なくされてきているものとみられます。

 

まとめ

前掲の「食育白書」では、「主食・主菜・副菜を3つそろえて食べる頻度」についての調査結果も掲載しています。その結果を先ほどの「弧食」の状況別にみると、『ほとんど「弧食」はなし』という人は、ほぼ毎日主食・主菜・副菜を3つそろえて食べるとする割合が『週2日以上「弧食」』の人に比べて高くなっています。つまり、家族や仲間などと一緒に食事を摂ることを通じて、バランスの良い食生活を送れるのかもしれません。

中食市場の拡大と「弧食」の人の増加との間に因果関係はないと思います。とはいえ、「時間がない」「忙しい」「手軽に済ませたい」「面倒くさい」などの理由で、栄養バランスを考えずに、手軽な中食を買って一人で食事を済ませるという人も中にはいらっしゃると思います。その一方で、最近の中食市場では、栄養バランスに配慮した弁当やバラエティに富んだ惣菜類も多く販売されているようです。また、「弧食」を防ぐことなどを目的に地域での食事会や子供食堂などが各地で開催されるようになっています。

心身ともに健康な生活を送るためには、中食や上記の地域での催しなどを自らの判断で上手く活用していくことが必要になってきているようです。