【アンケート調査】設問の仕方で結果が変わる?

 

新潟経済社会リサーチセンターの小林です。

仕事柄、アンケート調査を実施することが多々あります。特に最近、一から設問を考えて調査票を作成するケースがいくつかありました。調査票を一から作るのは、毎回なかなかに骨が折れますし、「これだ!」と納得できる調査票を作るのは難しいものだと痛感しているところです。

特に、質問文や選択肢の表現の適否もしくは巧拙次第で、調査結果が大きく変わる可能性があることから、細心の注意を払うようにしています。そこで基本に立ち返り、アンケート調査に関する書籍を改めて読んでみました。

 

同じことを表現した設問なのに・・・

平松貞実著(2011)「事例でよむ社会調査入門」(新曜社)の第1章で、以下の設問の違い(選択肢の表現の違い)によって、調査結果が異なる事例が紹介されています。

設問文

甲と乙という二つのタイプの課長がいるとします。あなたはどちらの課長の下で働きたいと思いますか?どちらか一つを選び、該当する番号に○を付けて下さい。

[選択肢パターン1]

1.規則を曲げてまで無理な仕事をさせることはありませんが、仕事以外のことでは人のめんどうを見ません    (12%)

2.時には規則を曲げて無理な仕事をさせることもありますが、仕事以外のことでも人のめんどうをよく見ます   (81%)

[選択肢パターン2]

1.仕事以外のことでは人のめんどうを見ませんが、規則を曲げてまで無理な仕事をさせることはありません    (48%)

2.仕事以外のことでも人のめんどうをよく見ますが、時には規則を曲げてまで無理な仕事をさせることがあります (47%)

 

 

パターン1とパターン2の選択肢1および選択肢2は、それぞれ表現に違いはあるものの、意味するところは同一のものです。そして、それぞれの選択肢の右部分の括弧書きの数字が回答結果ですが、パターン1とパターン2で回答結果が大きく異なっていることが分かります。面倒見の良し悪しを評価軸にすると、パターン2でみれば、上司に期待することとして「面倒見軽視」と「面倒見重視」がほぼ半々で、上司に対する志向は二分との判断となりますが、パターン1では「面倒見重視」が志向されるという判断を下すことになります。

 

実際に試したら、別の結果に

以前、統計に関するある勉強会の講師として呼んでいただいた際に、受講者の皆さん(約50名)を対象に、先ほどの設問のパターン1を半分の皆さんに、パターン2を残りの半分の皆さんに回答していただきました。その時の結果は以下のとおりです。

[選択肢パターン1]

1.規則を曲げてまで無理な仕事をさせることはありませんが、仕事以外のことでは人のめんどうを見ません    (46%)

2.時には規則を曲げて無理な仕事をさせることもありますが、仕事以外のことでも人のめんどうをよく見ます   (54%)

[選択肢パターン2]

1.仕事以外のことでは人のめんどうを見ませんが、規則を曲げてまで無理な仕事をさせることはありません    (92%)

2.仕事以外のことでも人のめんどうをよく見ますが、時には規則を曲げてまで無理な仕事をさせることがあります ( 8%)

パターン1とパターン2で回答結果が大きく異なっているのは同様ですが、回答結果の割合に注目すると、先の結果と研修会の結果とでは、様子が異なります。

パターン1でみると、上司に期待することとして「面倒見軽視」と「面倒見重視」がほぼ半々で、上司に対する志向は二分との判断となります。一方、パターン2でみると、「面倒見軽視」が志向されると判断することになります。この場合、パターン2の選択肢1の「規則を曲げてまで無理な仕事をさせることはありません」という後半部分を重視した回答者が多かったのでしょう。

 

まとめ

以上のように、同じ内容のことを尋ねているにも関わらず、設問や表現の仕方次第で調査結果が大きく変わる可能性があることが分かります。それに加えて、回答する調査対象者の属性や時代によっても回答結果が変わる可能性もあります。

したがって、調査票に記載する質問文や選択肢の表現には十分な吟味が必要であると考えられます。また、場合によっては、調査票がある程度できた段階で、家族や友人・知人などに試しに回答してもらうと良いと思います。