【アンケート調査】似た選択肢なのに答えが変わる?

 

新潟経済社会リサーチセンターの小林です。

前回、投稿した「【アンケート調査】設問の仕方で結果が変わる?」に引き続き、アンケート調査の選択肢についてみていくことにします。

 

 

国で聞くか、都市で聞くか・・・

前回もご紹介した、平松貞実著(2011)「事例でよむ社会調査入門-社会を見る眼を養う」(新曜社)の第2章で、観光に関するアンケート調査の例で「行きたい所はどこか」を国名で尋ねるか、都市名で尋ねるか、それとも観光地名で尋ねるかで回答結果の様子が変わる事例が紹介されています。

【設問文】

1つ目の調査の設問文 次のどこの国を見たいですか。1つだけ選んでください。

2つ目の調査の設問文 次のどこを見たいですか。1つだけ選んでください。

3つ目の調査の設問分 次のどこを一番見たいですか。1つだけ選んでください。

【選択肢】と【回答結果】

1つ目の調査の選択肢と回答割合 アメリカ(24%)イギリス(8%)フランス(11%)ドイツ(26%)イタリア(11%)スイス(11%)ギリシャ(11%)

2つ目の調査の選択肢と回答割合 ニューヨーク(5%)ロンドン(16%)パリ(5%)ベルリン(16%)ローマ(26%)ジュネーブ(8%)アテネ(28%)

3つ目の調査の選択肢と回答割合   ナイアガラ(10%)大英博物館(19%)モンマルトルの丘(10%)ライン川(2%)ピサの斜塔(7%)アルプス(29%)パルテノンの神殿(24%)

1つ目の国名での結果をみると、ドイツが1位、アメリカが2位、フランスとギリシャが3位となっています。

一方、2つ目の都市名での結果をみると、アテネ(ギリシャ)が1位、ローマ(イタリア)が2位、ロンドン(イギリス)とベルリン(ドイツ)が3位となっています。

さらに、3つ目の観光地での結果をみると、アルプス(スイス)が1位、パルテノン神殿(ギリシャ)が2位、大英博物館(イギリス)が3位となっています。

以上のとおり、海外旅行の目的地として、どこを訪れたいかを尋ねる同種の設問でありながら、国名で尋ねるか、都市名で尋ねるか、それとも観光地で尋ねるかで、回答結果の様子が異なることが分かります。

 

まとめ

以上の3つの設問について「同種とはいえ、選択肢が異なるのだから、結果が異なるのは当たり前」という意見もあるかもしれません。しかし、例えば都市名を尋ねる設問文の結果をみて、アテネが1位だから、一番訪れたい国はギリシャというふうに考えてよいのでしょうか?

もし都市名を尋ねて、一番訪れたい国を探りたいのであれば、各国ともすべての都市名を選択肢として列挙したうえで、都市の選択数が最も多かった国を一番訪れたい国と推測するといった対応が必要と思われます。

また、まずは一番訪れたい国を尋ね、そのうえで、次の設問としてその国のどこの都市を訪れたいかを尋ねる形式を採るということも考えられます。

アンケート調査において、設問内容と選択肢を検討する際には、アンケート調査の結果を通じて、何を知りたいのかを明確にしたうえで進めなければならないことを改めて考えさせられる事例でした。逆に言うと、例えば都市名の結果から国の人気を探るといった、曖昧さが残る結果から拡大解釈することの危険を感じたところです。