注目を集める公共施設の老朽化問題

 

こんにちは。新潟経済社会リサーチセンターの小林です。

さて、皆さんは日頃、図書館や公民館、公営の体育館といった公共施設を利用されることは多いですか、それとも少ないですか?私はと言うと、2~3か月に数回程度、新潟市内にあるいくつかの図書館や体育館などを利用することがありますが、久しぶりに訪れる施設では、知らぬ間に改装や修繕、模様替えなどが行なわれ、利用者の利便性が向上している場合があります。また、学校や公民館などでは耐震化を進める所も多いようです。

しかし、これまで当たり前に行なわれると思っていた公共施設の維持・管理や更新が、今後は十分に行なうことができない可能性が高いと言われ始めています。その背景には、各地の公共施設の老朽化がこれから集中するとともに、日本国内で続く人口減少と財政難などがあります。このようななか公共施設の老朽化問題が注目を集め、同時に国が主導する形で公共施設の老朽化対策が進み始めています。

 

図書館 老朽化

 

築30年以上が45%以上

国土交通省「公共建築物の老朽化対策に係る事例集」を(以下、「事例集」)をもとに、公共施設の老朽化の現状をみてみます。

国、都道府県および政令指定都市が使用する建築物の経年別の延床面積の割合をみると、「10年未満」(9.8%)と「10年以上20年未満」(22.9%)とを合わせた「20年未満」が約3割であるのに対し、「20年以上30年未満」(20.8%)、「30年以上40年未満」(25.8%)、「40年以上」(20.7%)を合わせた「20年以上」は6割台半ば、「30年以上40年未満」と「40年以上」を合わせた「30年以上」は4割台半ばとなっています。

つまり、過去20年未満の間に建築された施設よりも、過去20年以上前に建築された施設の面積が大きいことが分かります。

 

 

また、「事例集」をもとに建設年度別に延床面積の推移をみると、1970年~80年の間に建設された施設の面積が大きいことが分かります。この間に建設された施設を中心に老朽化が進み、今後維持・更新の必要性が増すことが予想されます。

 

新潟県内においても同様の傾向

新潟県「公共施設等総合管理計画」をもとに、新潟県が使用する公共施設の建設年度別に延床面積の推移をみると、70年~80年の間に建設された施設の面積が大きくなっています。国や全国と同様、建築から40年以上経過した施設の維持・更新が今後集中するものとみられます。なお、これには県内の各市町村が使用する公共施設は含まれていません。各市町村が使用する公共施設の現状等については、各市町村が策定している「公共施設等総合管理計画」などで確認することができます。

例えば、新潟市「新潟市財産経営推進計画」をもとに、新潟市が使用する公共施設の建設年度別に延床面積の推移をみると、70年代後半から80年代にかけて整備された施設の面積が大きいことが分かります。市町村によって多少の違いはあるにせよ、多くの公共施設の老朽化が進み、今後の維持・更新を効率的に進めなければいけない状況は共通の課題と言えます。

 

公共施設の効率的な維持管理に向けて

以上のような現状をふまえ、この度「公共施設の効率的な維持管理に向けて」と題したレポートを作成しました。概要は以下のとおりです。

新潟県内における公共施設の現状は上記のとおりですが、加えて新潟県の住民1人あたりの公共施設の延床面積をみると、全国水準を上回っています。また市町村によっては、新潟県の住民1人あたりの公共施設の延床面積の水準を大きく上回っている所もあります。

このようななか県・市町村とも、それぞれ独自の「公共施設等総合管理計画」を策定し、効率的な維持管理に向けた対策に着手しています。ただし、対策を進めるにあたり、一般的には以下のような問題点を抱えることが多いようです。

①庁内・住民の合意形成が難航・・・庁内・住民の合意形成に時間がかかる、または合意が得られない

②総量が削減されない懸念・・・統廃合等が進まず、公共施設の総量が減らない

③施設統廃合後の跡地の賃貸・売却等が困難・・・遊休地の賃貸・売却等が進みにくい

レポートでは、以上のような問題点を克服しながら、効率的な維持管理を行なっている事例として、南魚沼市、秦野市(神奈川県)、習志野市(千葉県)の3つの自治体のお取り組みを紹介しています。各事例とも、遊休施設の有効活用や、庁内・住民との合意形成、総量自体の削減などを着実に進めています。

▲秦野市は市役所敷地にコンビニを誘致

 

最後に、今後の公共施設の効率的な維持管理に向けた具体的な方向性を4つにまとめました。

①公共施設のみえる化を推進

②複合化による住民サービスの維持向上

③十分な対話を通じた住民との合意形成

④民間事業者との協働

以上の4つの方向性は、3自治体のお取り組み内容を参考にしてまとめました。上記3自治体の事例は、今後の公共施設の効率的な維持管理を進めるうえで大いに参考になるものと思います。レポートは「センター月報」(2017年11月号)に掲載いたしました。ご興味があれば、ぜひご覧下さい。