カリギュラ効果を使った商品の価値の伝え方

 

新潟経済社会リサーチセンターの江口知章です。

突然ですが、鶴の恩返しや浦島太郎などの昔話を思い出してみて下さい。禁止されているのにそれを守らなかった例が多い気がしませんか?それがなぜなのか?子供の頃から不思議に思っていました。

どうやら、人はダメと言われると、反対にその行為をおこないたくなる時があるようです。

フリー百科事典「ウィキペディア」によると、

 

カリギュラ効果(カリギュラこうか)とは、禁止されるほどやってみたくなる心理現象のことである[1]。一例としては、「お前達は見るな」と情報の閲覧を禁止されると、むしろかえって見たくなるなどの心理が挙げられる。

ローマ帝国の皇帝カリグラをモデルにした1980年のアメリカ・イタリア合作映画『カリギュラ』が語源で、過激な内容のため、ボストンなどの一部地域で公開禁止になったことで、かえって世間の話題を惹いたことにちなむ[2][3] 。 ちなみにアメリカには「ボストンでは禁止(Banned in Boston)」という慣用句がある。

この効果は、広告宣伝やテレビ番組でも利用されている。例えば、テレビ番組で、「ピー」などの効果音を付けて発言を聞こえなくしたり、モザイク処理をかけて映像の一部を見えなくすることにより、いっそう視聴者の興味をかき立てるなどである。

 

「カリギュラ効果」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。

2016年6月22日 (水) 22:51 UTC、URL:http://ja.wikipedia.org/

 

こうした効果をビジネスに応用する工夫・ヒントを「センター月報10月号」でご紹介いたします。執筆は毎月、連載をお願いしているビシネス心理学講師 酒井とし夫氏です。

 

酒井とし夫氏 商売繁盛心理学

 

これは覚えなくてもよいです

 

 

私は講演会でよく次のような話をします。

「相手と良好なコミュニケーションを取るためには5つの要素があります。それは環境、行動、能力、状態、関係性です」

そして、ホワイトボードにペンで環境、行動、能力、状態、関係性と大きく書いてから、参加者の方に顔を向けて、こう言います。

「これは覚えなくてもよいです」

すると不思議なことが起こるのです。覚えなくてもよいです、と言っているにも関わらず会場内でメモを取る人が増えるのです。

(中略)

民話鶴の恩返しでは

「絶対にこの戸は開けないでください」

と言われた与平は戸を開けてしまいました。

竜宮城の乙姫様に

「決して開けてはいけません」

と言われた浦島太郎は玉手箱を開けてしまいました。

ギリシャ神話では冥界の王ハデスに

「地上に着くまで後ろを振り返ってはいけない」

と言われたオルフェウスは後ろを振り返ってしまいました。

少し想像して欲しいのですが、あなたは打ち合わせの場にいます。そこは少し小さめの会議室です。待ち合わせている先方の担当者は5分程度遅れてその場にやってくると連絡がありました。資料をパラパラとめくっていたあなたがふと顔を上げると、前の壁に小さな穴が空いていることに気がつきました。あなたは椅子から立ち上がりその穴に近づきます。穴の横には小さな張り紙があり、こう書かれていました。

「決してのぞかないでください」…、ものすごくのぞきたくありませんか?

人は

「見てはいけません」

「開けてはいけません」

「言ってはいけません」

と言われるとなぜかそれをしたくなります。

これを心理学ではカリギュラ効果と言います。

(中略)

私は30代の頃パソコン教室を運営していたことがありますが、当時使っていた入校案内資料には次のコピーを大きく書いておきました。

「今はまだ申し込みをしないでください」

そして、そのコピーの下に

「他のパソコン教室も見学に行って、じっくりと他校と比較検討してください。当教室では自分は何もしなくても手取り足取り指導をしてもらい、簡単にパソコンの修得ができると安易にお考えの方の入校はお断りしています。知識の習得に積極的な方以外は申し込みをしないでください」

といった内容の説明文を書いておきました。

すると不思議なことにその場で入校を決める人が多くなりました。しかも、とても熱心な生徒が増えました。

もし、あなたの扱っている商品やサービスの中で

「これは質の高いとても良い商品なのだけど、その良さを本当に分かる人にだけ届けたい」

そう思う商品やサービスがあれば、チラシやPOPやカタログあるいはセールストークでこのカリギュラ効果を試してみてください。

 

酒井とし夫(2016)「街でみつけた商売繁盛心理学 今すぐできる選りすぐりのアイデア 第7回」『センター月報』2016年10月号

 

感想

酒井先生の原稿を読み、子供の頃から不思議に思っていた疑問を解消することができました。

ただし、カリギュラ効果をビジネスに利用する際には、煽りすぎるとマイナスの印象を与えかねないので、表現方法には気を付けたいものです。