新潟市の人口推移と将来推計人口

 

新潟経済社会リサーチセンターの江口知章です。

最近、「人口減少」をテーマにした講演会の講師を依頼される機会が増えています。それだけ、人口減少に対する危機感が高まっているのだと思われます。

そこで、本日は新潟県の県庁所在地である「新潟市」の人口減少の行方について調べた結果をご紹介いたします。

 

グラフ 日本経済

 

新潟市の人口(県内自治体との比較)

人口減少の現状と将来の人口推計については、経済産業省と内閣官房(まち・ひと・しごと創生本部事務局)が提供している「RESAS (地域経済分析システム)」を使いながら調べていきたいと思います。

まずは、新潟市の人口推移をみると、2000年の81万3,847人をピークに減少傾向をたどっています。2015年では81万150人となり、今後も減少傾向が続くと推計されています。

この結果を人口規模県内第2位の長岡市と同3位の上越市と比較してみたのが、下の図です(1980年=100)。ご覧のように、新潟市の人口は減少が続くものの、減少のカーブは長岡市や上越市と比べて緩やかなものにとどまっています。

 

新潟、長岡、上越の人口推移と予測

 

背景の一つとして、転入者と転出者の差がマイナスである、いわゆる「社会減」の大きさがあげられるようです。新潟市は「社会増」の年がみられる一方、長岡市や上越市では大幅な「社会減」が続いています。

 

新潟市の人口と将来推計人口

▲新潟市(RESAS)

 

長岡市の人口と将来推計人口

▲長岡市(RESAS)

 

上越市の人口と将来推計人口

▲上越市(RESAS)

 

新潟市の人口(全国の自治体との比較)

続いて、新潟市と全国の他の主要自治体の動きを比べてみたのが、下の図です。

新潟市は福岡市、札幌市、仙台市、広島市と比較すると、大きな差が生まれていることが分かります。

 

新潟、札幌、仙台、福岡の人口推移と予測

 

その要因として、他の全国主要都市に比べて新潟市では、出生と死亡の差がマイナスである「自然減」が大きい上、「社会増」が少ない、あるいは年によっては「社会減」となっていることがあげられます。

このうち、「社会増減」についてみると、新潟市は県内の他自治体から転入超過となっているものの、首都圏の自治体には転出超過となっているため、結果的には2016年で約700人の「社会減」となっています。

 

 

新潟市の人口と将来推計人口

▲新潟市(RESAS)

 

新潟市の転入超過数・転出超過数

▲新潟市の転入超過数・転出超過数(RESAS)

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※RESASをみると、「自然増減・社会増減の推移」は2016年まで表示されている一方、「転入超過数上位5地域2017年」「転出超過数上位5地域2017年」は2017年まで表示されています。このように表示年が異なっているものの、参考のためにそのまま掲載しました。新潟市以外の札幌市、仙台市、広島市、福岡市の数値も同様です。

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これに対して、札幌市では首都圏の自治体に転出超過がみられるものの、道内自治体から転入超過がみられ、全体としては2016年で約8,800人の「社会増」となっています。

 

札幌市の人口と将来推計人口

▲札幌市(RESAS)

 

札幌市の転入超過数・転出超過数

▲札幌市の転入超過数・転出超過数(RESAS)

 

また、仙台市でも首都圏の自治体などに転出超過がみられるものの、同県内の自治体に加えて周辺県の自治体から転入超過がみられ、全体としては2016年で約1,700人の「社会増」となっています。

 

仙台市の人口と将来推計人口

▲仙台市(RESAS)

 

仙台市の転入超過数・転出超過数

▲仙台市の転入超過数・転出超過数(RESAS)

 

さらに、広島市でも同県内の自治体や首都圏など他県の自治体などに転出超過がみられるものの、同県内の自治体に加えて周辺県の自治体から転入超過がみられ、全体としては2016年で約600人の「社会増」となっています。

 

広島市の人口と将来推計人口

▲広島市(RESAS)

 

広島市の転入超過数・転出超過数

▲広島市の転入超過数・転出超過数(RESAS)

 

最後に、福岡市では同県内の自治体や首都圏の自治体などに転出超過がみられるものの、同県内の自治体に加えて周辺県の自治体から転入超過がみられ、全体としては2016年で約9,000人の「社会増」となっています。

 

福岡市の人口と将来推計人口

▲福岡市(RESAS)

 

福岡市の転入超過数・転出超過数

▲福岡市の転入超過数・転出超過数(RESAS)

 

このように札幌市を除く全国の他の主要自治体をみると、周辺県からの転入増が「社会増」の原因の一つにあげられるようです。ただし新潟市の場合、首都圏に近いという立地環境もあり、なかなか周辺県からの転入増は難しいかもしれません。

その一方で、札幌市、仙台市、広島市、福岡市など全国の主要自治体の「社会増」の状況をみると、以前に読んだ下記の指摘を思い出します。

 

全国では東京への集中が生じているのだが、各ブロック(北海道、東北、九州など)ではブロック中心都市(札幌、仙台、福岡など)への集中が進んでおり、

(中略)

つまり、全国に1つあればいいもの(例えば、企業の本社機能)は東京に、ブロック1つあればいいもの(例えば、プロ野球の球団)はブロック中心都市に、県に1つあればいいもの(例えば、県立大学)は県庁所在地にという具合に、昨日の階層ごとに地域集中が起きており、それが総合されて日本全体で多層的な集中が起きているというのが正しい診断ではないか。

 

小峰隆夫(2017年)『日本経済論講義』日経BP社

小峰氏が指摘されているとおり、もしかすると、東京への一極集中というよりも、多層的な集中と捉えた方が良いのかもしれません。

 

感想

今回のデータ整理を通じて、データを確認する際は、どこと比較するのか?によって意味合いが大きく異なる、ということを学んだ気がします。単にデータをまとめるのではなく、どこと、どのように比較すると、何が分かるのか?までを意識したいと改めて実感しました。