市町村別の人口予測を短時間に確認する方法とは?


新潟経済社会リサーチセンターの江口知章です。

お陰様で最近、人口減少をテーマに含んだ講演のご依頼をいただきます。その際、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部「地域経済分析システム(RESAS)」をもとに、対象自治体の人口についてお話をさせていただいています。すると講義後に、自分でも同じ分析・操作をしてみたいとのお声をいただくことも多いので、本日はRESASを使った簡単な人口予測の確認方法とその見方についてご紹介したいと思います。

 

RESAS・トップページ

▲内閣府『RESAS』のトップページ

 

将来推計人口

まずは自分たちの住む地域の人口が今後どの程度、減少するのかを確認することから始めましょう。できれば対象自治体以外にも周辺自治体、都道府県全体の3つを比較すると実感が伴って良いと思います。

それでは、実際の分析手法を説明いたします。操作方法は下記の通りです。

①最初にRESASのWebsiteにアクセスします。アドレスは内閣官房まち・ひと・しごと創生本部「地域経済分析システム(RESAS)」を左クリックして下さい。
https://resas.go.jp/

 

RESAS

 

②RESASのトップページが表示されたら、左上のメインメニューを左クリックします。クリックすると、様々なメニューが表示されますが、今回は「人口マップ」を左クリックします。

 

RESAS将来推計人口1

 

③すぐ右にメニューが自動的に表示されますので、その中から「人口構成」を左クリックします。

 

RESAS将来推計人口2

 

④表示が変わったら、右上の緑色の範囲から「表示レベルを指定する」の「市町村単位で表示する」をチェックして下さい。

 

RESAS将来推計人口3

 

⑤続いて「表示レベルを指定する」の上部にある「都道府県名・市区町村名」をプルダウンさせて、調べたい自治体を表示させて下さい。今回は現在「糸魚川荒波あんこうフェア」を開催中の新潟県糸魚川市を対象にして分析していきます。

 

RESAS将来推計人口4

 

⑥対象自治体が表示されたら、さらに同じ緑色の表示範囲にある「人口推移」を左クリックして下さい。

⑦クリックすると、対象自治体の人口推移が表示されます。青い線が総人口となります。

 

糸魚川市の人口推移・将来推計人口

 

⑧このグラフを対象自治体以外にも、周辺自治体、都道府県全体で表示させて比較してみると、減少具合がどの程度なのかが分かります。なお、グラフを閉じる際は左上の×印を左クリックして下さい。

 

上越市の人口推移・将来推計人口

 

新潟県の人口推移・将来推計人口

 

上の「人口推移」のグラフを見比べると、糸魚川市の人口は隣接する上越市や新潟県全体の人口よりも減少具合が急であることが理解できます。

⑨一方、人口の減少具合を確認するだけではなく、人口構成の変化を確認することも大切です。具体的には、生産年齢人口(15~ 64 歳)に注目しましょう。

例えば、大正大学の教授である小峰隆夫氏はこのように述べられています。

 

人口以上に生産年齢人口が減る(同義だが、人口に占める生産年人口の比率が低下する)ことが「人口オーナス」

(中略)

私は、本当の問題は生産年齢人口(15~64歳)が減ることだと考えている。

(中略)

この人口オーナスこそが、人口問題の基本だと考える

 

小峰隆夫(2017年)『日本経済論講義』日経BP社

 

小峰氏は生産年齢人口の減少は労働力人口の減少につながりやすく、また創意工夫に満ちた若年層の割合低下は革新的なアイデアが生まれにくくなることを懸念する見方もあるなど、経済の長期的な潜在成長力低下を招きやすいと述べられています。また、潜在成長力の低下している地域では、雇用・所得機会が限定されるのため、地方部から都市圏への人口移動が起こり、地域間格差の問題や、賦課方式による社会保障の行き詰まりといった問題にもつながるとも指摘されています(小峰,2017)。

そこで上の「人口推移」のグラフを見直してみると、今後、糸魚川市では老年人口がほぼ横ばいで推移する一方、年少人口が減少するとともに、生産年齢人口が大幅に減っていくことが分かります。特に2035年頃から生産年齢人口と老年人口が拮抗し、2040年には逆転することが分かります。例えば労働力不足の常態化への対策、具体的には高齢でも働ける職場環境の整備や、女性の経済参画の促進などが不可欠なのかもしれません。

 

人口ピラミッド

続いて人口の減り具合をより詳しく把握するために、性別・年代別の人口割合(人口ピラミッド)も確認しておきましょう。操作方法は下記のとおりです

①先程の人口推移を調べる際には緑の表示範囲から「人口推移」を左クリックしましたが、今回は「人口ピラミッド」を左クリックして下さい(人口マップ→人口構成→人口ピラミッド)

 

RESAS将来推計人口4

 

②緑色の表示範囲にある「表示年を変更する」の年数を適宜、変更しなが、その変化を確認してみて下さい。今回は下のグラフのように1985年を起点として15年ごとにその変化をたどってみました。

 

糸魚川市人口ピラミッド1

 

糸魚川市人口ピラミッド2

 

 

糸魚川市人口ピラミッド3

 

糸魚川市人口ピラミッド4

 

上の「人口ピラミッド」のグラフをみると、1985年は団塊ジュニア世代を中心に15歳未満の年少人口が一定割合を占めていた時期でした。しかし15年後の2000年には各年代差が縮小し、2015年には少子高齢化が鮮明になります。さらに2030年、2045年と少子高齢化がより一層進展していき、逆ピラミッドになっていく様子が確認できます。

特に2045年の糸魚川市の場合は90歳以上の女性が最も多い属性(性別・年代)となります、しかも、90歳以上の男性に比べて人数が大幅に多いので、1人で自宅あるいは高齢者向け施設で暮らす90歳以上の女性が多くなることが見込まれます。

 

人口減少の背景

人口の減少具合が確認できたならば、その背景についても確認してみましょう。具体的な操作は以下の通りです。

①画面上部にある黒色のメニューから「人口増減」を左クリックして下さい(人口マップ→人口増減)。

 

人口増減

 

②右の緑の表示範囲から「表示レベルを指定する」の「市区町村単位で表示する」をチェックした後、その下方にある「グラフを表示」を左クリックして下さい。

 

 

③画面が変わると、「人口の増減」のグラフが表示されますが、そのまま下にスクロールして2つめに表示された「出生数・死亡数 / 転入数・転出数」のグラフをみて下さい。

 

出生数・死亡数・転入数・転出数

 

上の「出生数・死亡数 / 転入数・転出数」のグラフをみると、対象自治体から他の自治体へと転出した人数(転出数)と、他の自治体から対象自治体へと転入した人数(転入数)の推移も1年ごとに分かります。一方、対象自治体で亡くなられた人数(死亡数)と、誕生された人数(出生数)も1年ごとに確認できます。

続いて、「出生数・死亡数 / 転入数・転出数グラフ」のグラフを下にスクロールさせ、「自然増減・社会増減の推移(折れ線)」を表示させて下さい。

 

新潟県の自然増減・社会増減

 

上の「自然増減・社会増減の推移(折れ線)」のグラフをみると分かるとおり、先程、確認した①「転出者」が「転入者」より多い「社会減」と、②「死亡数」が「出生数」よりも多い「自然減」が同時におこっていることが分かります。

このうち、「社会減」についてより詳しく確認してみましょう。

 

社会減の内訳:転入超過・転出超過先

「社会減」について、まずは転出超過先(自治体)を確認してみましょう。つまり、対象自治体からどの自治体に転出しているのかを把握します。具体的な操作は以下の通りです。

①画面上部のメニューから「人口の社会増減」を左クリックして下さい(人口マップ→人口の社会増減)。

 

新潟県社会増減

 

②右の緑の表示範囲から「表示レベルを指定する」の「市区町村単位で表示する」をチェックした後、その下方にある「From-to(定住人口)」を左クリックして下さい。

 

糸魚川市の社会増減

 

③画面が変わると、「新潟県糸魚川市 From-to分析(定住人口)2017年」のグラフが表示されますが、そのまま下にスクロールして2つめの「転入超過数上位5地域 2017年」と「転出超過数上位5地域 2017年」を表示させて下さい。つまり、先程の「社会減」について、どこの市町村に転出入しているのかを把握します。

 

糸魚川市転出入超過自治体

上の「転入超過数上位5地域 2017年」のグラフをもとに転入超過先の自治体をみると、長岡市からの転入がここ数年、若干のプラスとなっています。一方、「転出超過数上位5地域 2017年」のグラフをもとに転出超過先の自治体をみると、上越市への転出が最も大きくなっています。

 

社会減の内訳:年代別

「社会減」については、年代別の減少具合も確認してみましょう。つまり、どの年代で対象自治体から転出しているのかを把握します。具体的な操作は以下の通りです。

①先程、転出入超過の自治体を調べる際には緑の表示範囲から「From-to(定住人口)」を左クリックしましたが、今回は「人口移動(グラフ分析)」を左クリックして下さい(人口マップ→人口の社会増減→人口移動(グラフ分析)。

 

糸魚川市の社会増減

 

②画面が変わると、「新潟県 地域ブロック別純移動数」のグラフが表示されますが、そのまま下にスクロールして3つめの「新潟県糸魚川市 年齢階級別純移動数の時系列分析」を表示させて下さい。つまり、先程の「社会減」について、どの年代が他の自治体に転出入しているのかを把握します。

 

糸魚川市 コーホート分析

 

上の「新潟県糸魚川市 年齢階級別純移動数の時系列分析」のグラフをみると、主に高校を卒業した後の「10~14歳→15~19歳」で市外に転出し、概ね大学・専門学校などを卒業した後の「15~19歳→20歳~20~24歳」でさらに市外に転出超過している状況が分かります。ただし、少子化の影響もあり、以前よりも転出超過数は少なくなっています。

その後、社会人となった頃の「20~24歳→25~29歳」で転入超過がみられますが、以前よりも転入超過数は少数にとどまっています。

なお、「25~29歳→30歳~34歳」から「50~54歳→55歳~59歳」までは転出超過が続いています。特に30代~40代の減少は結果的に子供の減少につながりますので、「社会減」が「自然減」の要因の一つにもなっています。

 

まとめ

上記のとおりにRESASで操作すれば、誰でも手軽に対象自治体の人口の現状と先行きが確認できます。一度操作をしてみると、その簡単さが実感できると思いますので、ぜひ試してみて下さい。