働き方改革関連法の施行により「時間外労働の上限規制」が導入されました

新潟経済社会リサーチセンターの神田です。

昨年7月に公布された働き方改革関連法のうち、時間外労働(残業)の上限規制や年次有給休暇(年休)の年5日取得義務化などを盛り込んだ改正労働基準法などが4月に施行されて1カ月が経過しました。

そこで今回は、改正法の柱のひとつである時間外労働の上限規制に関するポイントを確認するとともに、全国と県内における常用労働者の残業時間の推移についてご紹介したいと思います。なお、「働き方改革関連法」に関する詳しい内容については、厚生労働省のホームページをご覧ください。 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322.html

 

調査

 

 

「時間外労働の上限規制」のポイント

時間外労働(休日労働は含まず)の上限は、原則として月45時間・年360時間となり、臨時的な特別の事情がない限り、これを超えることはできません。また、臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、時間外労働は年720時間以内、休日労働を含む時間外労働は月100時間未満(2~6カ月平均で1カ月あたり80時間以内)とする必要があります。さらに月45時間を超えることができるのは年6カ月までと定められています。

なお、時間外労働の上限規制については、大企業は既に適用されていますが中小企業は2020年4月から適用されることとなっています。

時間外労働の上限を罰則付きで規定

これまで労働基準法第36条に基づく労使協定(36協定)で定める時間外労働については、厚生労働大臣の告示(労働時間の延長の限度等に関する基準)により上限が定められていましたが、罰則による強制力がなく、また労使が合意する特別条項付きの36協定を締結することで上限なく時間外労働を行わせることが可能となっていました。

しかし、今回の法改正により、上述した時間外労働の上限規制を超えた場合には、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されることとなります。

全国の常用雇用者の時間外労働の推移

それでは、常用雇用者の時間外労働(所定外労働時間)の状況はどうでしょうか。厚生労働省が公表している「毎月勤労統計調査」において、直近10年間における全国主要産業の常用雇用者・1カ月あたり所定外労働時間の推移をみると、建築業や製造業は増加傾向にあるものの、その他の産業は概ね横ばいで推移しています。

なお18年は製造業が16.4時間と最も多く、次いで建設業(14.2時間)、卸・小売業(7.5時間)などとなっています。

所定外労働時間・全国

 

 

新潟県の常用雇用者の時間外労働の推移

続いて県内の常用雇用者の時間外労働(所定外労働時間)の推移をみてみます。

新潟県が公表している「新潟県賃金労働時間等実態調査」において主要産業の動向をみると、建設業や製造業のほか、宿泊・飲食サービス業が緩やかな増加傾向にあることが確認できます。18年は製造業が13.2時間、宿泊・飲食サービス業が13.1時間、建設業が11.0時間などとなっています。同じく18年の所定外労働時間を全国と比べると、建設業、製造業などは全国を下回っているものの、卸・小売業、宿泊・飲食サービス業は上回っています。

所定外労働時間・新潟

 

 

まとめ

国は、長時間労働を是正することにより、ワークライフバランスが改善し、女性や高齢者も仕事に就きやすくなり労働参加率の向上に結び付くとしています。今回確認した統計データをみるかぎり、全国・新潟県ともに常用雇用者の時間外労働は法改正後の上限に収まっているものの、新潟県では緩やかな増加傾向で推移している業種がありました。働き方改革の取り組みを通して、労働環境がより一層整備され、さらには企業の魅力が高まっていくことが期待されます。