新潟県内中小企業、海外市場開拓に積極的にチャレンジ!

海外進出

 

こんにちは。新潟経済社会リサーチセンターの佐藤です。

海外市場開拓と聞くと大企業が海外に大きな工場を建設するイメージが強いですが、最近は中小規模のメーカーや非製造業による取り組みも増えているようです。今日は新潟県内企業の海外市場開拓の取り組み状況をご紹介します。

 

海外市場獲得サポート事業

にいがた産業創造機構(NICO)が公表した海外市場獲得サポート事業(注)の採択状況をみると、県内の中小企業が海外市場の開拓に積極的にチャレンジしている様子がうかがえます(図表1)。

 

海外市場獲得サポート事業 採択企業数

(注 )貿易や進出を目指して海外市場の調査や海外見本市への出展を行う中小企業に、アドバイスや助成金などの支援を行う

 

県内企業が海外市場開拓に取り組んでいる状況について、ジェトロ新潟より以下のようなお話を伺いました。

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  • 貿易や投資に関する2014年の相談は約2,100件、前年に比べて約800件も増えた。
  • 相談件数が大きく伸びたのは、海外展開への関心が全体的に高まっていることに加え、小規模企業の相談が増えていることが大きい。農業経営の個人事業主からの相談などもある。
  • 業種別には農林漁業・食品業の相談が全体の約1/4を占める。次いで機械、電子機器産業の相談が多い。
  • 輸出、輸入、投資別にみると、輸出の取り組みに関する相談が全体の約7割を占める。海外進出など投資の相談は全体の1割程度であり、他県に比べるとやや割合が低い感じを受ける。
  • 海外への直接進出についてはある程度の規模の中小企業からの相談が多い。
  • 相手国・地域では中国、米国、台湾、香港が多い。直接進出ではなく貿易を考える場合、中国の巨大市場はまだ魅力が大きいのだろう。
  • メーカーからの相談が多いが非製造業からの海外進出の相談も増えている。卸売、外食、サービス産業など非製造業の業種は多岐にわたっている。

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非製造業についてさらに聞いてみました。

  • 従来は内需型産業であった卸・小売、飲食、サービス業などが、近年積極的に海外市場へチャレンジしている背景には、人口減少により国内需要が頭打ちとなっていることがある。
  • 加えて、新興国を中心とした海外の市場が拡大していることも挙げられる。

大きな伸びが期待しにくい国内需要に対し、若年人口が多い新興国においては消費が順調に拡大しています。これら新興国の人口構成をみると今後もしばらくは消費拡大が期待できそうです。加えてこれまでの順調な経済成長により新興国各国の所得水準が上がってきており、中~高価格帯の商品が売れ出していることも大きな魅力です。

さらに、「おもてなし」の心を込めたサービス、日本食の普及、安心安全な国産食品への信頼など様々な点で日本に関する理解が進み、日本の商品やサービスが海外で受け入れられつつあることも非製造業の進出拡大につながっているものと思われます。

 

公的支援機関による支援の現状

ところで、中小企業にとっては海外市場の情報収集や現地調査、さらには海外事業計画の策定などを独自で進めることは負担が大きいと思われます。この点についてはジェトロ新潟やNICOなどの公的支援機関が手厚い支援を行っています。

当センターは月報2015年6月号で、県内で海鮮居酒屋を経営する「株式会社よね蔵」が香港に新店を開業した経緯を紹介しました。当社は、出店計画策定、現地での物件探し、現地オーナーとの契約、取引業者選定など、多くの難題をジェトロ新潟の個別支援サービスを受けながら見事にクリアされました。

現在もジェトロ新潟では、海外進出や輸出の取り組みについて9社に個別支援を行っているとのことです。

一方、NICOならびに新潟県では「海外市場獲得サポート事業」「中核企業海外販路拡大促進事業」「海外見本市等出展事業」などの助成金を設け海外市場にチャレンジする県内企業の活動を支援しています。本年度の採択企業はそれぞれ29社、5社、20社です。

NICOは、平成28年度も引き続き県内企業の海外進出を支援するので、積極的に取り組んで欲しいとしています。

 

まとめ

今後TPPが発効すれば製造業はもちろん非製造業が海外に進出する勢いは一層加速すると思われます。現在、新興国においては、小売、飲食、サービス業などについて出資比率や最低投資金額などの規制が設けられているのが一般的です。本邦企業の出資が認められない、あるいは認められる出資比率が小さいため経営の主導権を握れないなどの問題があります。

しかし、TPP発効後は締結国におけるこれらの規制が緩められる見込みです。流通小売業(スーパー、コンビニなど)の例を挙げると、マレーシアでは現状外資禁止であるが30%までの出資が可能となります。また、ベトナムでは出店時に課されている市場需要テストが不要となるなどの措置が採られます。

アジア諸国ではシンガポール、マレーシア、ベトナム、ブルネイが今般TPPを締結し、さらにタイ、インドネシア、フィリピン、韓国が今後の参加を表明しています。

県内で店舗を展開している小売、飲食、サービス業などが、規制が緩和され、消費の伸びが期待できる海外市場開拓に取り組むのは自然だと思われます。

海外市場開拓には、現地の規制や市場の調査、視察、提携企業探し、そして担当者の育成など時間と労力を要しますが、ジェトロやNICOがサポートしている海外見本市への出展や現地コーディネーターなどを活用しながらこの大きな課題にチャレンジしてみてはどうでしょうか。

 

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『センター月報』2016年4月号の「潮流 県内最新トピックス 第1回」を加除修正いたしました。