人口はどこから流入し、どこへ流出しているのか?

 

こんにちは。新潟経済社会リサーチセンターの小林です。

これまで11回にわたり、新潟県の人口減少問題のポイントとは?と題し、「国勢調査」を用いて新潟県全体と県内各地域の年齢別の人口の増減状況についてみてきました。これまでのポイントを以下のようにまとめてみました。

 


 

(1)新潟県全体では、15~24歳の時点での転出超が恒常化している

(2)その一方で、過去には25~39歳の時点で転入超だったものが、近年は転出入が±0になりつつある

(3)地域別・市町村別にみると、グラフの形状から大きく以下の4つのパターンに分けられる。

①Uターン有り型・・・・・・・・・・・15~24歳の時点で転出超となるも、25~29歳の時点で転入超 例)魚沼地域、十日町地域、佐渡市など

②Uターン有り・子育て世代流入型・・・15~24歳の時点で転出超となるも、25~29歳に加え、30~39歳の時点でも転入超 例)県央地域、聖籠町など

③Uターン無し型・・・・・・・・・・・15~24歳の時点で転出超となり、かつ25~29歳の時点でも転出超ないしは転出入が±0 例)下越地域

④Uターン無し・子育て世代流入型・・・15~29歳の時点で転出超となるも、30~39歳の時点で転入超 例)新潟市、長岡市

 


 

新潟県の人口減少は、いわゆる自然減に加え、上記の(1)~(2)に伴う若年層を中心とした社会減が大きな要因と言えます。また、若年層の流出が子育て世代の減少と出生数の減少につながり、自然減にも拍車をかけていると言えます。

その一方で、上記の(3)からも分かるとおり、地域や市町村ごとにみると、人口の増減のパターンには違いがみられます。これまでの11回の原稿でも触れてきたとおり、その背景には、それぞれの産業構造の違いや交通インフラの整備状況などが影響していると思われます。さらには、人口減少に対する各地の対応策や支援策の有無も影響していると考えられます。

そして現在、新潟県はもとより、県内の各市町村では人口減少を抑えるための独自の対応策や支援策の打ち出す、または検討している市町村が増えてきているようです。その際、これまでの年齢別の人口増減分析に加え、人口の地域間の転出入状況、つまり、どこから流入し、どこへ流出しているかを知ることで、現状をより詳細に把握できるようになります。以下では、簡単に地域間の転出入を知ることができる方法についてみていきます。

 

RESASの人口マップを活用

従来、人口の地域間の転出入状況を把握するには、総務省「住民基本台帳移動報告」などをもとに、自ら地域間の転出入状況のデータを探したうえで加工し、場合によってはグラフや表を作って視覚化する作業をしなければなりませんでした。

しかし、人口の地域間の転出入状況については、地方創生の一環で提供されている「RESAS」を活用すれば、簡単に人口の地域間の転出入状況を把握することができます。

 

1.新潟市の人口の転出入状況

例えば、新潟市の人口の転出入状況をみてみたいと思います。

人口の地域間の転出入状況をみるには、「RESAS」のトップページから、「人口マップ」→「人口の社会増減」へと進みます(「RESAS」の操作手順の詳細は、「RESAS基本操作マニュアル」や、「【基礎編】RESASの使い方・1~新潟県の分析事例をもとに~」 「 【基礎編】RESASの使い方・3~新潟県の滞在人口・流動人口の事例~ 」などを参照して下さい)。

 

「人口の社会増減」の画面で、右側上段に表示されている「表示レベルを指定する」で「市区町村単位で表示する」を選択し、「新潟県」「新潟市」を選択します。

 

▲クリックすると鮮明に見えます。

▲クリックすると鮮明に見えます。

 

その後、右側下段に表示されている「人口の社会増減関係を図表で見る」の「From-to分析(定住人口)」を選択します。すると、以下のような画面が現れます。

 

▲クリックすると、鮮明に見えます。

▲クリックすると、鮮明に見えます。

 

画面の左側に転入超過の市町村と人数が、右側に転出超過の市町村と人数がそれぞれ表示されています。ちなみに、転入超過とは、一定期間における転入数が転出数を上回っている状態のことで、反対に転出超過とは、一定期間における転出数が転入数を上回っている状態のことです。

新潟市(2014年)の状況をみると、転入超過市区町村の上位10先の市区町村はすべて新潟県内の市町村となっています。一方の転出超過の市区町村の上位10先は、4位の田上町を除き9市区町村が県外となっています。しかも8市区町村が東京都・千葉県・埼玉県のいずれかとなっています。

つまり、新潟市は、県内の周辺市町村から人口を集めているものの、それ以上に首都圏を中心とした市区町村に人口を奪われているということが分かります。

 

2.新潟市の「From-to分析(定住人口)」

また、この「RESAS]の「人口マップ」の「From-to分析(定住人口)」では性別・年代別の状況もみることができます。

そこで、新潟市について、年代別にみてみると、どの年代も転入超過については県内の市町村が上位を占めています。一方、転出超過について、30歳代以降の年代の転出先上位先は県内外にばらけているのに対し、20歳代では上位10先の市区町村は東京都ないしは千葉県の市区町村に集中しています。

 

まとめ

以上から、新潟市においては、年齢別の人口増減でも明らかなとおり、15~29歳の若年層の流出先が首都圏に集中していることが分かります。

「RESAS]の「人口マップ」を使うことで、これまで肌感覚で捉えられてきたことが、意外と簡単にデータで裏付けることができます。

このようなデータの裏づけをふまえて、首都圏に進学した若年層を就職時にUターンしてもらうための対応策を考えていくことがますます重要になっているのではないでしょうか?