ニッチトップ企業の現状とその秘訣に関するレポートをまとめました


新潟経済社会リサーチセンターの江口大暁です。

我が国には高い技術を有して製品やサービスを提供している企業が多数存在しているものの、国内市場の縮小、海外との競争激化に伴い、従来のサプライチェーンのなかでは十分に受注を確保することが難しくなっています。そのようななかで、中小企業が限られた経営資源(ヒト、モノ、カネ)を最大限に活かすため、ニッチ市場で適切にマーケティングを行ない、そのシェアを拡大し、トップとしての地位を築くという成長シナリオに取り組んでいるニッチトップ企業が存在します。

そこで、今回はニッチトップ企業の概要と中小企業が限られた経営資源を活かして、ニッチトップ企業となるための秘訣を県内の事例などをふまえてまとめましたので、本日はその概要をご紹介いたします。詳しくは「センター月報2019年9月号 ニッチトップ企業の現状とその秘訣」をご覧ください。

 

工場 事業所数

ニッチトップ企業の概要

(1)ニッチトップ企業とは

ニッチトップ企業の明確な定義はないため、本調査では「ニッチ市場において高いシェアを有し、優れた経営を行なっている中小企業」をニッチトップ企業と定め、特に技術などで差別化しやすい製造業を対象として調査を進めました。

(2)ニッチトップ企業の特徴

ニッチトップ企業は企業規模や業種などにばらつきがあるものの、近年の主な調査・研究を参考にその特徴を以下の3つにまとめました。

①他社と差別化できるコア技術がある

②顧客と緊密なコミュニケーションがとれる

③外部機関を活用している

一方、ニッチトップ企業の課題はニッチ市場の縮小や市場そのものが無くなるリスクがあるため、市場をさらに深堀りするか、もしくは新しい市場を探し続ける必要があります。

県内のニッチトップ企業の現状

中小企業庁が全国各地で活躍する中小企業を集めた「元気なモノ作り中小企業300社」や新潟県が世界的に注目される技術や国内外でトップクラスのシェアを持つ企業をまとめた「にいがたモノ・クリエイト(2019−2020)」などを参考に対象先を以下のとおりまとめました。

県内の主なニッチトップ企業

県内の事例

人口減少などから国内市場が縮小していくなかで、特定の市場でシェアを拡大し、ブランドを確立して優れた技術やサービスを提供している県内のニッチトップ企業について以下の5社を紹介しています。

■和田ステンレス工業株式会社(燕市)─ステンレス製ビール樽で国内トップシェア─

■株式会社システムスクエア(長岡市)─魚の残骨検査機で国内トップシェア─

■マコー株式会社(長岡市)─ ウェットブラスト工法による表面処理装置で国内トップシェア─

■株式会社マルト長谷川工作所(三条市)─プロ向け精密ニッパーで北米市場トップシェア─

■ナミックス株式会社(新潟市北区)─半導体用封止材料などで世界トップシェア─

ニッチトップ企業に学ぶ成長の秘訣

中小企業が限られた経営資源を活かして、ニッチトップ企業となるための秘訣について事例などを踏まえて以下の3つに整理しました。

①核となる技術力への経営資源の集中

②技術者による営業力の強化

③外部機関の活用

おわりに

今回の調査を通じて中小企業が自社の経営資源を最大限に活かす方法の1つとして、ニッチトップ企業を目指すことが有効であることがうかがえました。

一方、ニッチ市場は特定の市場であるため常に顧客ニーズを把握しながら、新製品の開発や既存製品の改良を続ける必要があります。そのため、「コア技術」を磨き、付加価値の高い製品を提供し続けることが重要となります。

その結果、顧客から直接相談を持ち込まれるようになり、従来のサプライチェーン以外からの受注が増え、地域経済を牽引する企業が増えることを期待したいと思います。