地域のキャッチコピーを決める際の鉄則とは?

観光マーケティング

「うちは自然が素晴らしいのだけれども、知られていなくて……」
「とても良いお湯で癒やされる観光地なのだけれども、全然、有名でなくて……」

といった話を何度となくお聞きしたことのある新潟経済社会リサーチセンターの江口です。そのため、観光地の中には都内でイベントを開催したり、雑誌や新聞などに広告を掲載したりする地域がとても多いですよね。観光地の抱える悩みで一番多い悩みが実は、知名度の低さなのではないかと思うくらいです。

こうした中、私どもの機関誌「センター月報6月号」では、知名度向上を目指した長崎県佐世保市の九十九島の挑戦をご紹介しています。執筆は毎月、連載をお願いしている井門観光研究所の井門隆夫先生です。

 

伝えようとしていたから伝わらなかった

フリー百科事典「ウィキペディア」によると、九十九島は「くじゅうくしま」と読み、

長崎県佐世保市平戸市にかけての北松浦半島西岸に連なるリアス式海岸の群島である。全域が西海国立公園に指定されている。島の総数は現在公式には208とされている。

「九十九島」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。
22015年5月4日 (月) 7:45 UTC、URL:http://ja.wikipedia.org/

と説明されています。

この九十九島を主に首都圏の方に知ってもらおうと、様々なクリエーターが参加した新たなプロジェクトがスタートしているようです。従来は「伝えようとしていたから伝わらなかった」とし、今後は、どうやったら「伝わるか」に考え方を切り替えて頑張っているようです。

プロジェクトは当初から難航した。それは、九十九島の「キャッチコピー決め」だ。

地元の方が受け入れたいコピーとは、自分たちが納得できるコピーで、「美しい島々」「自然をはぐくむ海」といったイメージが入ってほしい。そう願い、東京のコピーライター数名に頼んだが思う通りのコピーが出てこない。

しかし、キャッチコピーは、地元がいくら正しいと思っても「伝わらなければ、意味がない」。あくまで、伝わって欲しいエリアの人々の言葉で書かないと伝わらない。それが、時として、「おしい県」(広島県)や「元祖、過疎県」(島根県)などの自虐的なコピーになったりもする。

(中略)

観光地のコンセプトやキャッチコピーを決めるうえでの鉄則は、「自分たちの思い」だけではダメ。しかし「相手の気持ち」はわからない。その両者が交わり、共感できる部分を言葉として綴ることである。

井門隆夫(2015)「地域観光事業のススメ方第63回」『センター月報』2015年6月号

 

以上の考えのもと、最終的に決まった九十九島のキャッチコピーは「シマッた、ハマった、九十九島」。なかなかの素敵なキャッチコピーですよね。

現在、このキャッチコピーを核にし、全国の発信力のある複数のクリエイターたちと協力しながら、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を含む様々なメディアを駆使して、プロジェクトを進めているようです。詳細は、機関誌「センター月報6月号」をご覧下さい。

 

読み終えて

知名度を高めるには、イベントや広告も必要です。

ただ、九十九島のように、自分たちの良さをお客様に伝わる言葉に変換する作業、いわば観光地のキャッチコピーを決める作業も大切です。

単に観光地名を連呼しているだけでは、他の観光地との違いが分からず、知名度は高まらないでしょう。

自分たちの特徴をお客様に分かりやすい言葉=キャッチコピーで表現し、その後、キャッチコピーに沿って情報発信すれば、お客様には随分、伝わりやすくなると思います。

こうした抽象的かつ、すぐに売上につながらない作業は後回しにされがちですが、一度、観光地内で話し合ってみると、これまでとは違った展開が生まれるはずです。