映画で学ぶ営業テクニック

 

新潟経済社会リサーチセンターの江口知章です。

私どもの機関誌「センター月報」では、毎月、ビシネス心理学講師 酒井とし夫氏より、商売に役立つ心理学的なヒントやアイデアなどをご紹介いただいております。

今月の「センター月報11月号」では、映画で学ぶ営業テクニックについて、ご説明いただきました。本日はその原稿の一部をご紹介いたします。

 

映画で学ぶ営業テクニック

 

不動産会社の営業

 

『摩天楼を夢見て』…これは私の好きな映画の1本です。

(中略)

映画はニューヨークの不動産会社で働く4人のセールスマンのお話。

(中略)

そして営業成績がダントツトップのリッキー・ローマ(アル・パチーノ)が4人のセールスマンとして登場します。

(中略)

この映画はピューリッツァー賞文学賞を受賞した名作戯曲が原作なのでストーリー自体もかなり面白いのですが、アル・パチーノが人間心理を理解したうえで行なう見込み客へのアプローチ方法や話法、説得の仕方がとても上手く、セールスに大いに役立つ映画です。

(中略)

たとえば3人の売れないセールスマンは見込み客に会った最初から不動産の話をします。あなたはいきなり会った人から営業トークを受けたいでしょうか?話を聞きたいでしょうか?そんなセールスマンがきたら身構えますよね。話も聞きたくないはずです。

リッキーは最初から仕事の話はしません。面白おかしい世間話で場を盛り上げます。そして、好意と信頼性を築いてから仕事の話をします。

これを心理学ではラ・ポール形成といい、供給過剰な時代でのセールスの鉄則です。

私の経営戦略の師匠の一人であるランチェスター経営戦略の第一人者・竹田陽一先生も次のようにいっています。

「会って4回目までは売りを出すな。信頼関係を築け」

リッキーは人の心をよく理解していますね。

確かに映画のなかの主人公は売る前に信頼関係をちゃんと築いています。

そして、暗示。リッキーは「株や美術品、不動産はただのチャンスだ。金を儲けるただのチャンスに過ぎない」と独り言をつぶやくようにいいます。

もし、あなたが

「株や美術品、不動産はチャンスなのです。金を儲けるチャンスなのです。今すぐに契約すべきです!」

といわれたら反発したくなる人もいるはずです。

子供の頃に勉強しようと思っていたら、親から「早く勉強しなさい」といわれて反発心が起きて、やる気がなくなった人もいると思いますが、これを心理的リアクタンスといいます。

人によっては説得ではなく、暗示のほうが、効果が高いことをアル・パチーノは見抜いてセールスを行なっています。

(中略)

さらに、アル・パチーノは自己否定トークも駆使します。

あなたは相手の人が

「私の店には全然自慢するようなところが無いんです」

と先にいわれて

「いやいやそんなことないですよ。たくさん良いところがあるじゃないですか」

といったことがありませんか。

アル・パチーノは「俺はくだらんと思うが、これを見てくれ」といってカタログをみせますが、このように先に自分で自分を否定することにより相手が肯定しやすくなるという心理も見事に見抜いているわけです。

さすがに一流の役者はよく役のことを研究しているなあ…と関心しながら、ビジネスにも役立つ作品です。秋の夜長にどうぞ。

 

酒井とし夫(2018)「街でみつけた商売繁盛心理学 今すぐできる選りすぐりのアイデア 第32回」『センター月報』2018年11月号

 

感想

映画からここまで具体的な営業テクニックを学べるとは、驚きです。日頃の問題意識が高いからこそなのでしょうか。人は何を見ても何を体験しても、学ぼうとすれば、どこからも学べるということを酒井先生に教えいていただいたような気がします。