都道府県別にみた人口の純移動数(転入・転出超過数)

 

新潟経済社会リサーチセンターの江口知章です。

先日、長期間にわたるデータを都市別にみると、地方圏でも人口が増加している都市があることをお伝えいたしました。その際、周辺県の県庁所在地から人口が流入している都市があることも併せてご紹介いたしました。

そこで、今回は都市単位ではなく都道府県単位でみた場合に、どの地域から人口が転入し、どの地域へと人口が転出しているのか(=純移動数「転入数-転出数」)を調べた結果を以下にご紹介したいと思います。

 

転入数 転出数

 

転出超過数の多い都道府県は?

総務省「住民基本台帳人口移動報告 平成28年(2016年)結果」により、都道府県別の転入・転出超過数をみると(2016年)、転入超過となっているのは7都府県で,東京都(74,177人)が最も多く、以下、千葉県(16,075人)、埼玉県(15,560人)などとなっています。

一方、転出超過となっているのは40道府県で、北海道(6874人)が最も多く、以下、熊本県(6791人)、兵庫県(6,760人)、静岡県(6,390人)、青森県(6,323人)、新潟県(6,189人)などとなっています。

私たちが住む新潟県は転出数が多いとは思っていましたが、まさか第6位の多さだとは予想していませんでした。

 

どの地域から転入し、どの地域へと転出しているのか?

続いて、転入・転出超過先、つまり、どの地域から転入し、どの地域に転出しているのかを表す「人口移動の状況」を地域ブロック別にみてみたいと思います。具体的には、上記結果と調査年が異なるものの、内閣官房「地域経済分析システム(RESAS)」を使って、幾つかの都府県について以下のようなグラフを作ってみました(以下は2010~2014年のデータと使用しています)。

まずは、東京都からみていましょう。ご覧のとおり、中部や関西をはじめとして、全国から広範囲に転入していることが分かります。

 

東京都 純移動数

 

次いで、三大都市の名古屋市と大阪市を抱える愛知県と大阪府の純移動をみてみましょう。

愛媛県は東京圏へ人口が転出しているものの、中部や関西などから転入しており、全体としては概ね転入超過で推移しています。

 

愛知県 純移動数

 

一方、大阪府は関西からの転入が多いものの、東京圏への転出が多く、全体としては転出入数がほぼ拮抗した状況が続いています。

 

大阪府 純移動数

 

続いて、私たちが住む新潟県です。転入数は毎年少なく推移する中、東京圏への転出が極めて大きいことから、全体としても大幅な転出超過が続いています。新潟県に住んでいると、恐らく、地方圏ではどの地域も新潟県と同じ傾向なのかと思ってしまいがちですが、調べてみると、実はそうでない県も多いです。例えば、宮城県です。

宮城県は東京圏への転出が続くものの、東北地域からの転入が多く、全体としては転入超過が3年連続で続いています。

 

新潟県 純移動数

 

宮城県 純移動数

 

また、福岡県も東京圏への転出が多い傾向にあるものの、九州・沖縄からの転入があり、転入超過の状況が続いています。

 

福岡県 純移動数

 

これに対して、石川県は東京圏への転出が多く、全体としてはやや転出超過の状況が続いているものの、中部地域などからは転入しています。

 

石川県 純移動数

 

同様に、広島県も東京圏や関西への転出が多く、全体としては転出超過の状況が続いているものの、中国地域や四国地域からの転入が続いています。

 

広島県 純移動数

 

まとめ

以上の結果をみると、新潟県の転出超過数を抑えていくためには、①新潟県から東京圏に転出する人を少なくする、②新潟県から東京圏に転出した人に、再び新潟県に転入していただく、③周辺県などを中心に新潟県に転入してもらう人を増やす、ことが大切なのだと思われます。しかし当然ながら、その3つとも極めて難しいことです。

なお、「①新潟県から東京圏に転出する人を少なくする」ことについては、新潟県外に住んだことのない人が増えることにつながるため、もしかするとマイナス面もあるのではないかと懸念した時期がありました。

こうした中、以前、ルディー和子(2014)合理的なのに愚かな戦略』日本実業出版社 を読んでいたところ、以下のような箇所があり、考え方を改めた時があります。

 

世界では羽ばたこうとしない若者は内向きで元気がない。日本のグローバル化を進めるのには役立たない……というのは前の世代の押しつけだ。自分が生まれた地域に住み続けることに安心感を抱くのはごく自然な性向だ。生まれた地域で友人、家族に囲まれた環境の中で、仕事を見つけ働くことは、持続性のある安定した幸福感が味わえることを意味する。

ルディー和子(2014)『合理的なのに愚かな戦略』日本実業出版社

何事も自分の勘・経験・思い込みだけを頼りにするのではなく、他者の考えやデータを参考にしたほうが良いようです。