地域ブランドで企業の知名度向上~長岡ブランド「豪技」の取り組み~


新潟経済社会リサーチセンターの尾島です。

本日は、地域ブランド事業に取り組む新潟県内の事例をご紹介いたします。

 

地方叢生の視点

 

地域ブランドとは?

東北経済産業局によれば、地域ブランドとは「地域独自の価値を込めた商品やサービスの提供を通じて、その価値を求める顧客の期待と信頼に永遠に応え続けることにより、一定の収益性と地域還元効果を実現している地域資源及び知的資源を結集した事業プロジェクト」と定義付けています。

東大阪市の「東大阪ブランド」や堺市のブランド「堺技衆」、東京都墨田区の「すみだモダン」などの地域ブランドが有名だが、いずれも企業単独では限界のある情報発信と他地域との差別化を地域ブランドの活用によって目指しています。

長岡ブランド「豪技」で認知度向上

次に、NPO(民間非営利組織)が中心となって、地元企業や大学等と連携して地域のモノづくり産業の活性化に取り組むインタビュー先を紹介します。

NPO法人長岡産業活性化協会NAZE

業務内容:長岡地域のモノづくりの生産性向上、 人材確保支援、モノづくりブランド (長岡市)

〜長岡地域におけるモノづくり産業の特徴〜

長岡市は、石油・天然ガスを産出したことから、明治以降急速に高まった石油需要に伴い、掘削機械製造とその関連企業が育ち、工作機械や産業機械等の多くの企業が生まれた。現在では40あまりの工業団地に、鉄工・鋳物関連から、電子・精密機械、液晶・半導体等の幅広い分野で高度な技術力を持つモノづくり企業が集積しています。

〜頑張る地域企業の成長を応援するNAZE〜

NPO法人長岡産業活性化協会NAZEは、2005年4月に長岡地域のモノづくり産業の活性化のために、新潟県のアクションプランとして活動をはじめました。現在は、NPO法人を中心に製造業や地元大学など約80の会員とともに活動しています。

事業としては、工場などモノづくり現場の改善スキルを高めるためのインストラクターの養成や、後継者・幹部候補者育成のための経営塾などの「人材育成事業」、産学・産産連携など「ネットワーク事業」、展示会への出展や販路拡大のための「情報発信事業」、そして新事業の企画・検討を行なう「技術力向上事業」を実施するほか、近年はIoT等の先進技術を活用した現場改善にも注力されています。以下は、事務局長である小林信行氏へのインタビュー結果です。

 

小林事務局長様



〜長岡「豪技(ごうぎ) 」ブランドで世界にアピール〜

地域の企業が有する優れた技術・製品を発掘し、様々な展示会でのPR、ホームページや機関誌で情報発信を行なってきました。しかし、最終製品を製造する企業が少ないことから、一般的なモノづくり地域としての認知度は低く、内外に強い産地像を示し、長岡の認知度向上を図るため、地域ブランド事業を実施しています。

長岡地域企業の優れた技術・製品を「豪技」と認定して、長岡の卓越した技術を世界にアピールしており、2011年度の開始から8年間で15社の技術・製品が「豪技」の認定を受けています。

〜今後の取り組み〜

「機械要素技術展」など各種見本市・展示会への出展により新たな取引先の開拓を進めるほか、高い技術力を駆使したモノづくりに挑戦できるよう、商品開発に向けた研究会を実施します。

さらに、長岡地域にある3大学1高専が行なう企業の課題解決型授業JSCOOPの開催時には、NAZE会員企業が参加して解決策や学生の指導を行なうなど、モノづくりの後継者となる若者の人材育成にも取り組んでいます。

地域に根差すモノづくり企業と、大学・高専など教育機関が連携し、豪技ブランドとともにモノづくり地域としての長岡の認知度を高める。今後は経済情勢の変化においても、安定的な受注が確保できるような強い産地を目指したいとしています。

次に、2019年度の「豪技」認定先から、インタビュー先を紹介します。

小川コンベヤ 株式会社

業務内容:コンベヤ製造、同ライン製造、保守・点検 (長岡市)

〜 お客様の困りごとを解決するオーダー・メイドの搬送システムで改善提案〜

小川コンベヤ㈱は、工場のコンベヤ搬送システムの新設や増設、既存設備の更新、レイアウト変更、ライン改造など製造事業、さらに定期点検・整備、修理などのメンテナンスサービスを提供しています。

同社は、製品の搬送作業におけるお客様の様々な困りごとを解決するための改善提案を通じてオーダー・メイドの搬送システムを提供している点が高く評価されて、豪技としての認定を受けています。以下は、社長である小川智史氏へのインタビュー結果です。

 

小林社長様



〜事業内容の特徴〜

企業では、工場現場の形状や高低差、配置などによって設置条件が様々です。このため、垂直搬送、傾斜搬送、水平搬送、3D搬送などの技術を組み合わせ、あらゆる条件に合わせたコンベヤ搬送ライン計画を提案しています。

お客様は、コンベヤの機械が欲しいというよりも、工場内の作業効率を高め、人手不足を解消したいというニーズをもたれています。これに対して機械・設備を使って搬送の道を作るのが当社の仕事です。物流システムと違って工場内の搬送システムは、基本的にひとつとして同じやり方はありません。パターン化できない生産現場だからこそ、お客様のニーズに応えるための改善提案が求められます。そのためには、経営層、管理者、現場の担当者まで、各層の人達の話を聞き、改善の要望が合致するところまですり合わせるアシスト役に徹しています。お客様の声を充分に聴き、改善提案を繰り返して一緒に作り上げる搬送システムだからこそ、他社が参入できない当社の強みにもなっています。

 

コンベアシステム

 

〜長岡ブランド「豪技」の認定〜

当社の改善提案による搬送システムが推薦によってNAZEの豪技に認定されたことで社員が喜んでくれたことがなによりも嬉しいです。自分たちがこれまでに取り組み続けてきたことが認められたからです。私も、認定後は多くの方から声をかけていただき、当社の存在価値を認めてもらえたことを心から嬉しく思っています。

長岡は、設計図さえあれば何でも作れる幅広い分野の事業者が集積するモノづくり都市だが、地域としての特徴がやや弱いように思われます。今後は、営業活動や展示会で当社をアピールするために豪技ブランドを活用していきたいと考えています。

NAZEは、NPO法人だからこそ、産業界、学校・経済団体からの参加者が利害を超えて参加でき、互いに話しやすい環境が作れる場を提供していると思います。

長岡においてもモノづくり人材が減少するなかで、現在も取り組むロボットコンテストや企業同士が共通の加工技術を競う全日本ハンドスピナー大戦等、子どもから大人までモノづくりに興味が持て、長岡のモノづくりの繁栄につながるようなNAZEの活動に今後も期待しています。


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『センター月報』2019年7月号の「地方叢生に向けた、地域の取り組み」を加除修正いたしました。