「地域の茶の間」 高齢者の見守り、支え合いに大きな期待!(後編)

 

新潟経済社会リサーチセンターの佐藤です。

前回お伝えしましたように、「地域の茶の間」(以下「茶の間」)とは、空き家などを活用して、高齢者をはじめ地域の様々な人々に寛ぎと交流の場を提供するものです。高齢者人口が増加する中、「茶の間」による高齢者の見守り、支え合いも期待し、新潟市は「茶の間」の普及に取り組んでいます。

今回は実際に訪問した「茶の間」の様子などをご紹介します。前編はこちらをご覧下さい。

 

「茶の間」の現状

前編でお伝えしたとおり、2016年6月、新潟市は、永年にわたり地域における支え合いの活動に取り組んでこられた河田珪子さんを講師に招き、「茶の間」の普及に向けてセミナーを開催しました。私もセミナーに参加しました。セミナーで聴いた河田さんの豊富な経験・実践談や運営を手伝うボランティアのご苦労話などから、「茶の間」の様子などをまとめてみました。

 

セミナー参加者による「茶の間」見学。

▲セミナー参加者による「茶の間」見学。常連の高齢者が「茶の間」の様子を生き生きと語ってくれました。

 

*「茶の間」の様子、利用する方など

  • 高齢者、子育て世代、小中学生など、地域の様々な人が気軽に寄って、思い思いの時間を過ごせる場、自宅の居間のように寛げる場所です。
  • 高齢者はお茶を飲みながら談笑し、また、できる範囲で居間の掃除や庭仕事などを手伝います。
  • 子育てママ・パパが寄って、高齢者に子供の相手を頼んで息抜きをしたり、小学生が放課後に立ち寄って高齢者に宿題を見てもらうこともあります。
  • 「茶の間」を利用する際のルールはあるが、ここで何をするかは自由であり、参加者は思い思いの時間を過ごします。
*運営主体、施設など
  • 自治会、NPO、任意団体などが中心となり、そこにボランティアが加わって運営するケースが多いようです。
  • 空き家を借りて開催、自宅の一部を開放、公民館の一室で開催など、さまざまな形態があります。
  • 1週間に1回、1カ月に1回など開催頻度も運営者によってさまざまです。

形態も頻度もさまざまであり、できる人が、できる範囲で取り組めばよいものだと感じました。

運営資金については、社会福祉協議会から光熱費見合い程度の補助金が出るものの、基本的には「茶の間」ごとの独立採算で行われています。「茶の間」利用者から1回数百円の利用料をもらい、お茶、菓子、備品などの必要経費をまかなう仕組みです。

新潟市によると、「市が必要以上に補助金を出すことで運営の自主性を損なわないことが大切です。また、運営主体者が地域の実情に応じて柔軟な運営を行えるよう、支援を行っていくことが必要です。現在、市は、セミナーなどを通じて『茶の間』運営に興味を持つ人にモデル事業で得たノウハウを伝えたり、生活支援コーディネーターを配置して様々な相談に応じることで、『茶の間』の更なる拡大を図っています」とのことです。

行政の補助金が望めないとなると、「茶の間」を運営したい者は知恵を絞り、空き家の所有者に「管理や掃除をするから無料で貸してほしい」などと交渉するのかもしれません。

河田さんは、ご自身の永年にわたる実践経験もふまえ、「知恵を絞ると誰かが何かを思いついて道が開けました。課題はたくさんあったが、自治会、近隣の企業、ボランティア、手に職を持つ高齢者など大勢の人たちに支えられて何とかやってこれました」と語っています。

 

セミナーの一環で、新潟市のモデルハウスである「実家の茶の間・紫竹」を見学しました。空き家を改修して14年10月にオープンし、現在は週2回「茶の間」が開催されています。河田さんを代表とする任意団体「実家の茶の間」が運営しているものです。

常連の高齢者を囲んで「茶の間」の様子を聞かせてもらいました。「毎回楽しみに参加しています」「先日は皆で庭作業をしました」「見学者が多いので我々の名刺を作りました」など、皆さんが生き生きと話す姿が印象的でした。「茶の間」へ来て作業をしたり外部の人と接することが生きがいとなっているのではないかと感じました。

 

2025年には団塊の世代(注)のすべてが後期高齢者となります。空前の高齢化社会を目前にし、今後、介護保険サービスのすべてを行政に頼るのは不可能となります。高齢者を含む地域住民に寛ぎと交流の場を提供し、高齢者に生きがいを感じてもらうことで介護予防も担うなど、様々な機能を有する「茶の間」が普及することを期待したいと思います。

(注)1947〜49年の戦後のベビーブームに生まれた世代。 2015年の国勢調査ではこの年代の人数は約630万人。

 

「実家の茶の間・紫竹」の様子。参加者が寛げるような工夫、効率的な運営を行うための工夫が随所にみられます。

「実家の茶の間・紫竹」の様子

 

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『センター月報』2016年8月号の「潮流 県内最新トピックス 第6回」を加除修正いたしました。