「地域の茶の間」 高齢者の見守り、支え合いに大きな期待!(前編)

 

新潟経済社会リサーチセンターの佐藤です。

皆さんは近隣の「地域の茶の間」を訪れたことはありますか。「地域の茶の間」(以下「茶の間」)とは、空き家などを活用して、高齢者をはじめ、地域の様々な人々に寛ぎと交流の場を提供するものです。高齢者人口が増える中、「茶の間」による高齢者の見守り、支え合いも期待し、新潟市は「茶の間」普及に力を入れています。

新潟市の取り組みや「茶の間」の様子を今回から2回にわたってご紹介します。

 

新潟市のモデルハウス「実家の茶の間・紫竹」

▲新潟市のモデルハウス「実家の茶の間・紫竹」

 

「茶の間」が期待されるようになった背景

2015年国勢調査の速報によると、新潟県の65歳以上者は約69万人、県の人口の30%を占めるまでになりました。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、新潟県の65歳以上者は今後も増加を続け、それに伴い県の人口に占める割合も34%(25年)、39%(40年)と伸びていく予想です。40年には県民5人のうち2人が65歳以上者となるとみられます(グラフ参照)。

 

65歳以上者数の推計

 

一方、仕事の都合などで子供が遠方に住むケースも多く、その結果、夫婦のみで暮らす高齢者、単身で暮らす高齢者が増えつつあります。これらの高齢者は、体力の衰えとともに買い物や通院などの日常生活が困難となり、適切な医療・介護サービスや生活支援がないと社会から孤立してしまう可能性があります。孤独死などの報道も増えており早急な対応が求められるところです。

2012年度の介護保険制度の改定では、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう、医療、介護、介護予防、住まい、生活支援の各サービスを切れ目なく提供する「地域包括ケアシステム」の構築を目指すことが定められました。

また、これまで、市町村が行う「地域支援事業」では、介護認定を受けていない一般の高齢者へ介護予防(体操教室、啓蒙セミナーなど)を行っていました。15年度の介護保険制度の改定で、今後は「要支援1・2」の介護認定を受けた者への訪問介護や通所介護も「地域支援事業」に含めることとされました。

各市町村は今後、地域の医療機関、介護サービス事業者、さらに自治会やNPOなどと協力しながら「地域包括ケアシステム」を構築するなかで、医療・介護の両方を必要とする高齢者に在宅のまま二つのサービスを一緒に提供する仕組みや、高齢者に介護予防や生活支援サービスを提供する仕組みを作ることなどを目指します。

医療機関や介護サービス事業者ばかりでなく、自治会、NPO、ボランティアグループなどの多様な主体の参加を期待する背景には、急増する高齢者全員に、一律のサービスを、介護保険制度により提供することが難しくなりつつあることが挙げられます。従来の介護サービスに加え、生活支援や介護予防などの新たなサービスも介護保険制度により提供することは、予算面でも介護担当者の面でも不可能です。

ヒト、モノ、カネの資源が限られるなか、医療機関、介護サービス事業者による専門サービスは主として中度、重度の要介護者に提供し、一人暮らし高齢者など、軽度の支援を必要とする者については、自治会、NPO、ボランティアグループなどの多様な主体による見守り・支え合いを期待することになったわけです。

 

「茶の間」の普及に向けて

各市町村が地域における見守り・支え合いの仕組み作りに取り組んでいるなか、新潟市が力を入れているのが「茶の間」の普及です。これは、冒頭に申し上げたとおり、空き家などを活用して、高齢者をはじめ、地域の様々な人々に寛ぎと交流の場を提供するものです。

16年6月、新潟市は、永年にわたり地域における支え合いの活動に取り組んでこられた河田珪子さんを講師に招き、「茶の間」の普及に向けてセミナーを開催しました。現在、河田さんが代表を勤める任意団体「実家の茶の間」は、新潟市のモデルハウス「実家の茶の間・紫竹」を運営しています。河田さんの豊富な経験を基に、「茶の間」に興味を持つセミナー参加者に、茶の間の立ち上げや運営のノウハウが披露されました。新潟市の担当者は、「市内には既に400カ所以上の『茶の間』があるのだが、参加者が多く賑わっている所がある一方で、参加者が少ない所も多い。『茶の間』を運営している人、運営に興味を持つ人などに、『茶の間』が期待される背景とともに河田さんの運営ノウハウを伝えることを狙った」としています。

 

「茶の間」セミナーの様子

▲「茶の間」セミナーの様子

 

私もセミナーに参加しました。セミナーで聴いた河田さんの永年にわたる経験・実践談や運営を手伝うボランティアのご苦労話などから、「茶の間」の様子などをまとめましたので、次回にご紹介したいと思います。

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『センター月報』2016年8月号の「潮流 県内最新トピックス 第6回」を加除修正いたしました。